© 2001-2024, Kyu-hachi TABATA updated on  2009/10/18

休八写真館中判カメラ室(6x6判 一眼レフ)

Pentacon six TL



Pentacon six TL このカメラを好きになったのはひとえにデザイン。特に真上から見たときの形がすばらしい。斜めについたシャッターもいい。たたんだウェストレベル ファイン ダーの形がぐっとくる。

ボディ・サイズは中判一眼レフとしては小振り。手にした時のバランスもいい。レンズ右横のシャッターボタンは、自然に人差し指のかかる位置に あ り、大きめ な こ ともあって、とても押しや すい。しかも、シャッターによって、フォーカルプレーンの走行と、ミラーアップ、絞りの開閉、という3つの動作が起こる が、クイックリターンが無いためか、振動は意外なぐらい小さい。このシャッターの基部にあるロックリング、巻き上げレバーの基部についている巻 き上げロックノブなども、自然な位置にあって操作性も良く好印象だ。標準レンズのビオメタール 80mm F2.8 はゼブラ柄の少しクラシックな年代のものだが、写真はシャー プでハイコントラスト。建物や橋など人工物の写真に向いている。

巻き上げのメカが不安定なのが唯一の欠点で、コマかぶりが起こりやすいという。私のペンタコンシックスは、むしろコマ間が開く傾向が あって、12枚撮りのはずが11 枚撮りになるような状況だ。幸い、シャッタースピードなどはほぼ正常。

このペンタコンシックスは東西冷戦時代を東独で生き抜いたカメラ。もともとは Praktisix という名前のカメラとして生まれたが(1957年)、VEB ペンタコンが製造を引き継いで Pentacon six となり(1966年)、TTL測光ができる Pentacon six TL となった(1968年?)。その後、ウクライナのアーセナルから Kiev 6、Kiev 6c、Kiev 60 が、西独のイハゲーから Exacta 66 などの同型機が製造されてマウントやオプションが引き継がれた。このため、P6 マウントは事実上のユニバーサルマウントで、東独製、ロシア製の安価で 個性的なレンズが楽しめる。

追記1: カー ル・ツァイスは1846年創立の世界最大の カメラメーカー だったが、第二次大戦後、カー ル・ツァイス・イェーナ(東独)とカール・ツァイス・オ プトン(西独)の二社に分かれてしまう。VEB ペンタコン社はイェーナ系のカメラ・ボディ製造会社だった(VEB=人民公社)。

追記2: シャッターが変則的な位置にあるからだろうか。出来た写真を見ると数枚に1枚の割合で、水平がとれていなくて、1-2度、右あ がりになってい た。

追記3: マミヤ645用のストラップが使用できるが、シャッターを押す時に指が金具にあたるため、どうにも使いづらい。

追記4: 本文中でTTL測光ができると書いたが、メーター付きのアイレベルファインダーを装着する必要がある。たぶん、このメーター付 きファインダーをとりつけると、Praktisix でも、先行機の Pentacon six でも、TTL測光できるのではないだろうか。

発売年
1968年   愛着度★★★★
型 式
中判フィルム 6x6cm/一眼レフカメラ
シャッター フォーカルプレーン・シャッター、1/1000〜1秒、B
レ ンズ
交換式(ペンタコンシッ クスマウ ント)
測 光
なし(アイレベルファイ ンダーを 装着すれば TTL 測光可)
ファ イ ンダー
全面マット。左右逆像。 視野率 70%
フィ ル ム交換
1.使用済みフィルムが ある時 は、上面の巻き上げレバーで全部巻き上げる。
2.左側面のロック部のレバーを引き出して背面を開ける。フィルムを取り出す。
3.古いスプールを巻き取り部に移して、新しいフィ ルムをセット。
4.巻き上げはスプールを回す。スタート位置までフィルムを巻き取る。
5.フィルムカウンターは背面の開閉で最初に戻る。カウントアップ式になっている。
大きさ・重さ w147mm x h114mm x d76mm 1,100g (Biometar 80mm 装着で 1,370g)
参考 web
Mike's Praktica Collection: http://www.praktica-collector.de/
The Pentacon Six Sytem:  http://www.pentaconsix.com/
参考文献
紺田楠二, 「プラクチシックス」, クラシックカメラ専科 No.21 pp38-40 (1992年)
大岩俊夫, 「ペンタコンシックスTLとエキザクタ66の使用記」, クラシックカメラ専科 No.21 pp41-43 (1992年)
「ハラショー ロシア&旧ソビエトカメラの世界」 日本カ メラ社 2003

<付記:主な中判カメラのマウント>

本家
マウント互換機
形状・備考
Pentacon Six
Praktisix
Kiev 6, Kiev 6c,  Kiev 60
Kiev 88CM
Exacta 66
フォーカルプレーンシャッター。3爪バヨネット。径59mm。フランジバック 74.1mm。
Kiev 88CM は Kiev 88 のマウントを替えたもの。

Praktica マウント, Pentacon マウント、Exacta マウントなどは名称が似ているが 35mm カメラのマウント名。
Hasselblad 1000F
(同 2000シリーズ)
Salyut C
Kiev 88
フォーカルプレーンシャッター。スクリュー型バヨ ネット。 内径69mm。フランジバック82.1mm。
Hasselblad 500
(同 V シリーズ)

レンズシャッター。4爪バ ヨネット。内径69mm。フランジバック74.9mm。

Pentacon six TL - Biometer 80mm
              F2.8

隅田川の永代橋。鋲がはっきりと写っていて描写が鮮明。
Biometar 80mm F2.8 / RDPIII
Pentacon six TL - Zodiak 30mm F3.5

隅田川の中央大橋。
Zodiak
30mm F3.5 / RDPIII
Pentacon six TL - Biometer 80mm F3.5

東京・佃の堀で。フォーカスのメリハリがいい。
Biometar 80mm F2.8 / 400TMAX
Pentacon six TL - Biometer 80mm F3.5

隅田川の月島川水門。
Biometar 80mm F2.8 / 400TMAX

とびら へ 前へ  次へ
↑ トップへ