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2022/04/19 |
1979 年、高校3年生の夏、 この本に出会った。鮮明な写真に驚いた。 ヒトの発生は美しい。生命の営みは美しい。そう思った。 撮影したのは、スウェーデンの写真家 Lennart Nilsson (レンナート・ニルスン) だ。 私にとっては、この本が、初めて買った洋書となり、写真集となった。 本書は、若者向けに書かれた「赤ちゃんを迎えるための本」であるが、学術的にも優れた写真が多数、掲載されている。どれも 美しく、神秘的で、いろいろなことが伝わってくる。 この本に出会わなかったら、今の自分はないと思う。 この本によって、"扉" がひとつ開かれたのだから。 |
 LIFE, vol 58 No. 17, (Apr 30, 1965) USD 0.35 1960年代を代表する写真週刊誌が LIFE だ。多数の著名な写真家が活躍した雑誌であり、ベトナム戦争や朝鮮動乱などの写真が誌面を飾った。そして、上掲のようなタイトルで、16頁の特集が組まれ る。 この特集は大変な評判を呼び、Nilsson は、年間最優秀フォトグラ ファーとなる。34.5 x 27 cmという大判である上に、すべてカラー。しかも見開き写真も多く、迫力の点ではこのあとのどの写真集もかなわない。 Nilsson の写真はさまざまな分野に影響を与えた。例えば、アーサー・C・クラーク（原作）とスタンリー・キューブリック（監督）の映画、「2001年宇宙の旅」の 最後に現 れるのは、新しい宇宙誕生の象徴である「スターチャイルド」であるが、その映像はこの表紙写真そのものであった。 |
 text by C.Wirsen & A.Ingelman-Sundberg published by Dell publishing, New York 160頁、17.5 x 25 cm、USD 9.95 LIFE の特集の年（1965年）にスウェーデン版（原書）が発行されたが、これはその翌年に出された 米国版。Nilsson の写真に Wirsen によるヒトの発生の解説と Sundberg による母親となるためのガイド解説が付いている。LIFE 掲載の写真を中心で、副題にも "The Drama of Life Before Birth" と付けられていた。 |
| A
Child Is Born, 2nd edition (1977） text by M.Furuhjel, A.Ingelman-Sundberg & C.Wirsen published by Faber and Faber, London 160頁、16.5 x 23.5 cm、GBP 4.95 私が1979年に入手した英国版（ソフトカバー）。原書はスウェーデン版 で 1976年発行。器官形 成期の写真や表紙をかざる 指吸いの写真などが新しく加わっている。構成や体裁も改善されていて、すべての版の中でももっともバランスがよいし、表 紙の美しさもよい。英語は平易であり、今でも eBay などで出品されている。 なお、米国版はほぼ同じ体裁と同じ発行年だがハードカバーになっている。出版社は Delacorte Press, New York (1977)。 |
 生
まれるー胎児成長の記録ー (1981）松山栄吉訳、講談社 168頁、17.5 x 23.5 cm、2,900円 第2版の日本語版。翻訳者の巻頭言などを除けば、ほぼ同じ体裁であり、すべての写真が掲載され ていた。後に講談社文庫（1984年）に収録されたが、出産シーンなどの何 枚かがカットされていて残念だった。 |
 pressed by NOVA, WGBH Boston Video VHS/DVD 55分。 スウェーデンのTV番組（1983）の英語 版。Nilsson 撮影の胎児の映像が出るのは40分ごろから。静止像も多いが、内視鏡で見る発生7週、10週、18 週の胎児の動きはインパクトがある。 |
 A
Child Is Born, 3rd edition (1993）text by Lars Hamberger published by Dell publishing, NewYork 216頁、16.5 x 23.5 cm、USD 19.95 スウェーデン版（原書）は1990年発行。受精から着床までのマクロ写真、 走査電顕写真などが新しい。 日本語版は 「誕生の神秘−レナルト・ニルソンの世界」 坂元正一訳、小学館 1992年 |
 The
Odyssey of Life The Photographer's Secrets (1996）pressed by NOVA, WGBH Bostob Video VHS/DVD 55分 スウェーデンでTV放送されたドキュメンタリーの英語版。Nilsson はプロ・カメラマンとしてポートレートなどを撮っていたが、1950年代から自然科 学の写真を撮るようになり、やがて医学映像に挑むようになる。Zeiss や Storz の協力で作成した内視鏡カ メラのレンズ、JEOL (日本電子) の協力による走査電顕などの紹介があり、さまざまな動物写真、医学写真の撮影風景などもあって興 味深い。 |
 Images of
Life (1998）published by Hasselblad Center 216 頁、16.5 x 23.5 cm、USD 19.95 ニルソンは、35mm判カメラはニコン、中判カ
メ ラはハッセルブラッド、ムービーカメラはボレックスをよく使っているようだ。
このうちのハッセルブラッドはニルソンの母国、スウェーデンのメーカー。中判カメラの 最高峰のカメラを作り続けており、写真の世界に大きな貢献をしている。そのハッセルブラッドが出版した写真集。写真が大 きく、紙が上質。写真としては受精までの内視鏡写真が新しい。 |
 A Child Is
Born, 4th edition (2004)text by Lars Hamberger published by Delta Trade Paperbacks, Random House, New York 240 頁、19 x 25 cm、USD 21.00 原書は2003年。最新の診断法や超未熟児の育児、エ
コー写真、体外受精などが加えられているがニルソンの写真集という要素がやや薄まってしまった。解説書としてはもっとも
充実した版。
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 Life
(2006)published by Abrams, New York 304頁、30 x 30 cm、USD 45.00 胎児のみならず、目、鼻、歯などの組織・器官などのマク ロ撮影写真、顕微鏡 写真、走査電子顕微鏡写真、偏光顕微鏡写真などを集めた大判かつ重量級 の写真集。ニルソ ンの医学生物学写真の集大成と言って良いだろう。巻末に Irving Penn が撮った Nilsson のポートレートもある。 |
 A Child Is
Born, 5th edition (2009）text by Lars Hamberger published by Jonathan Cape, Random House, London 220 頁、20 x 23 cm、USD 28.76 原書は2009年。解説をぐっと減らし、写
真を中心にすえた体裁。第4版とは対照的。原点回帰ともいえる版。左に１行程度の解説があり、右は1枚の写真。ハッセル
ブラッドを使っている と聞いていたが、この写真集ではまさにその多くがスクウェア・フォーマットで掲載されている。透
明なカバーに文字が印刷されていて、これをはずすと写真だけの表紙となる。贅沢な装幀。
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A Child
Is Born, 5th edition (2009）
text by Lars Hamberger published by Jonathan Cape, Random House, London 228 頁、27.5 x 31 cm、USD 28.76
上の版の豪華版。大判になっていてさらに迫力が増している。構成は全く同じ であるが、通常版と違うのは最後に Nilsson のクロニクル（8頁）が付くことで、1965年のLifeの紹介や A Child Is Born の詳しい紹介などがある。 |
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