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休八写真館アクセサリー室(赤道儀)

ケンジさんのハヤブサ Mk II



Slide
        Projector Color Cabin スライド映写機 カラーキャビン 月や日食などを撮っていて、天体の動きの 早さを知っ た。

1分間のバルブ撮影をしていると、その間、0.25度も動く。月の見かけの大きさが 0.5度であるから、2分後には月ひとつ分、隣に動いていることを意味する。500mm 望遠レンズならば画角 5度なので、どんな天体を中心に捉えても、
10分で視野の外へと逃げてしまう。天体の動きに合わせてカメラを動かす必要がある。

天体は、極軸を中心にして回転している(ように見える)わけだから、カメラの方も極軸中心に回転させる道具があればいい。これが赤道儀であ り、天体望遠鏡などの台座に据え付けて使われている。

しかし、天体望遠鏡の赤道儀は大きくて重くて、気軽に使うには無理がある。一方、カメラ専用のポータブル赤道儀は、
コンパクトで軽くてデザインもよいのだが、載せられ る機材の重さに制限があり、一眼レフを使った撮影はちょっと難しい。何かちょうどいい道具はないものだろうか・・・・と探していて、手作りの赤道儀、 ハヤブサ Mk II を見つけた。

オークションで落札。ハヤブサ Mk II が届いた。

溶接がきれいだ。切り欠きなどの形もよく考えられている。縁などはすべて磨いてから塗装さ れて いて手に優しい。少し重くて、ひんやりする。独特の質感である。ひざの上において眺めていて、ふと気づく。手作りの「溶接もの」は初めてだ。加えて、「溶 接 もの」は大きな構造物が普通で、手に乗るような小さな日用品は、あまり見たことがない。そういえば、趣味で作られた調理用品や園芸用品を見たことがあった が、仕上がりの 良さが段違いだ。プロの仕事ってすごいなぁと思う。

ボールヘッドの エツミ E-101 を取り付け、三脚に載せて使用する。カメラは、 EOS kiss X5 + EF 20-35mm にマルミのソフトフィルターAをつけた。

撮影地での準備は、まず、北極星を見 つけ、それをハヤブサのスコープで捉えることだ。これは、極軸と赤道儀の回転軸を合わせる作業なのだが、ハヤブサの構造がシンプルである ため、こ の作業の意味が実にわかりやすい。また、スコープが本体から90mmほど離れているために、この作業がやりやす い。

極軸あわせがすんだら、次にカメラをセットする。ボールヘッドにカメラを載せ、三脚とハヤブサは動かさないように気をつけながら、目的の天体 にカメラを向ける。マニュアルモードのバルブに設定して、電子レリーズタイマーをつける。ファインダーだけでは視野を決めにくいことが多いの で、私はアクセサリーシューにつけたビューファインダー(レンジファインダー用の古いもの)で大まかな視野を決める。天体望遠鏡の導入用ス コープのような使い方である。

撮影は
ISO 400、絞 り F8、露出1分でスタートする。私の使っている電子レリーズは、レリーズ・ホールドすると1秒ごとにピッピッと音が鳴ってくれる。カメ ラの液晶でも経過時間が示されるので、これらにあわせて、ハヤブサの下端にあるネジを秒針の動きと同じになるように廻していく。つまり、 1秒につき6 度、60秒で360度 (1周)まわす。ここがハヤブサのよくできているところで、操作がわかりやすい。さらに、ネジが一周廻ると、ハヤブサ本体が 0.25度回転するようになっ ていて、天体の回転と同じ だけカメラが回転することになる。

デジカメは、撮ったらすぐに出来映えを確認できるので、すぐに条件を整えられて、写真がどんどん良くなっていく。撮ったあとでもPC上で加工 できるので、さらに見やすい写真になる。フィルムの時には思いもよらない簡便さである。しかし、
星の写真は機材や知識に左右されるところが大きくて、 案外、敷居が高かった。眺めるだけだった星たちを写真に撮れるようになるとはありがたい限りである。

晴れた日の夜は、星空を撮る楽しみがある。冬の深夜の楽しみでもある。

追記1: 出っ張りがあるので持ち運びは工夫が必要。カメラバッ クの上に載せたり、三脚にくくりつけたりして運ぶことが多い。三脚は中軽量のものにストーンバッグを付けて使っている。

追記2: ポタ赤としてはポラリエを検討。気になったのは、電池が切れたら動かなくなること、重い機材を載せるにはバランサーがいること、極 軸合わせにはオプションのスコープが必要になりそうなこと。

追記3: 北極星が見えないところでは、スコープを北に向け(偏角も考慮する。東京なら針を北から西に約7度ずらす)、仰角を緯度に合わせる (東京なら35度)。ケンジさんによると沖縄(約27度)から北海道(約45度)まで合わせられるようハヤブサ Mk II の仰角は34度に設計しているのだという。

発売年
2013年  愛着度★★★★
型 式
手動式赤道儀
大 きさ・重さ w120mm x d105mm x h294mm  792g    (ボールヘッド Etumi E-101 装着で 917g )
関連 web
赤道儀を作ろう: https://ganref.jp/m/asagiiro/reviews_and_diaries/diary/1651
ハヤブサ(赤道儀)友の会: https://www.facebook.com/groups/801780069842363/

Hayabusa Mk II / Tokyo Winter Night
ぼたん雪が降った日の夜の星空。隅田川テラスの一角で。オリオン座や牡牛座が美し い。
(クリックで Flkr へ。写真を拡大して見ることができます)
EOS Kiss X5 + Tokina 10-17mm F3.5-4.5 + Hayabusa Mk II

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