©1998-2012, Kyu-hachi TABATA
休八の学会タイマー

Q-gakkai   ver 3.22


■1 動機

学会の発表には、口演発表とポスター発表がありますが、運営側からすると面倒なのが口演発表。ついつい長話をしてしまう演者がいたり、ディスカッ ションが だらだら続いたりして、進行が遅れがち。頼りの座長もあまり厳しくできなくて、ついつい長めになっていきます。そしてタイムキーパーは、ひとりや きもきし ながら、暗闇で睡魔と闘い続けます (笑)。

こうした状況を少しでも軽減するために、学会発表専用のタイマーを作ってみました。設定画面で口演時間(分)や討論時間(分)を入力して、あと は、開始ボ タンを押すだけです。定刻になるとちゃんと警告音を鳴らしてくれます。次のような効能があります。

1.タイムキーバーの仕事がかなり軽減されます。これにより会場の電灯係や場 合によっ ては座長がタイムキーパーを兼任できるようになります。
2.クールに時間厳守できるようになり、座長の心理的負担が減ります。
3. 発表練習に使うのも便利です。これも学会の時間厳守に間接的に貢献できます。

なお、計時はデジタル表示され、口演時間は緑で、討論時間は黄色で、時間を超過すると赤で表示されます。各時 間の終わりにはベルが鳴ります。ベルや時間などは自由に設定できます。






■2 PCの配置

会場・座長・演者に見えるようにして、かつタイムキーパーが操作しやすいようにすればOKです。普通なら、進行係の席において、あとは外部モニ ター接続 で、別なモニタや液晶プロジェクタに出力します。それから、音が出なくてはいけません。これには適当なサウンドボードとスピーカーが必要です。こ れらの設 定が可能かどうかは、それぞれのPCのマニュアル等をご覧ください。

なお、こうした条件を満たすマシンとしては、ノートPCが最適です。ノートPCには外部モニタの接続端子がついていますので、これに液晶プロジェ クタを つないで、スクリーン投影して計時を示します。また、投影するのは大袈裟だという場合は、液晶プロジェクタのかわりに液晶ディスプレイ(モニタ) などを つなぎ、これを座長や演者が見える位置に置きます。

ノートPCと背中合わせに液晶ディスプレイをおいて使用すると便利です。ノートPCは進行係と座長が、液晶ディスプレイは演者とフロアが見ること になりま す。配線などもシンプルでおすすめできます。


■3  設定

(1) 時間の設定

画面右下のボタン群にある「cfg」を押すと、右のような設定画面が現れます。口演時間、討論時間、1鈴のところに数字を入力し、リターンを押し てくださ い (リターンを押さないと入力したことになりません)。入力が正しく行われたかどうかは、合計の分数(または秒数)表示の変化で確認できます。

(2) 細かな設定

設定画面の下部にはチェックボックス群があり、細かな設定ができます。また、これらの多くが計時を止めずに切り替えできます。実際 に動かし ながらどのように表示や音が替わるか確かめてみてください。ver 3.00 からは「秒単位で設定」もできるようになりました。

(3) 計時の上限

上限は口演時間と討論時間の合計 546分 までです。また、このように長時間の設定がなされた時は、表示も 546:00 などと表示するために、少し文字サイズが小さくなります。

<以下はボタン群>

[時間補正] PC の内部クロックを計時して、タイマーの時間補正をすることができます(■4を参照)。
[作者 HP] HP「休八ソフトウェア」を参照できます。最新の情報などが入 手できま す。
[help] ヘルプファイルを参照できます。今、お読みになっている、この ファイル が開かれます。
[close] 設定画面を終了します。


■4.時間補正値の計測画面

コンピュータの 中には、計時のためのクォーツ時計があります。この時計は、コンピュータの操作に影響されないよう、電源も別 (多くはボタン型電池) なのですが、精度にばらつきがあり、また、熱に弱いため、時間精度が悪い場合があります。また、常駐ソフトの影響を受ける場合もあるでしょうし、 OS と VisualBasic では時間のやりとりにずれが生じることもあるようです。そこで、こうした時間のずれを補正し、より正確な計時をするための機能を ver 3.10 より追加しました。手順は次のとおりです。

(1) 設定画面(■3参照)の [時間補正] を押す。時間補正の画面が表示される(右図)。

(2) ストップウォッチや精度の高い時計を使って、3分間を測る。この計時の始めと終わりで [計時開始]  と  [計時終了] を押す。これによって、3分間に刻んだ PC内の時計の時間(=時間補正値)がわかる。

注) 時間補正値は、私が便宜的に定義した目安で、基準値は 18000 です。これよりも低い値が出た時は、クロックの遅いPC(時間がどんどん遅れるPC)、高い値が出た時は、クロックの早いPC(時間が早 くなるPC)で す。最初は 18000 が表示されるようにプログラムしています。

(3) この時間補正値を採用するならば、[補正する]、そうでないならば、[やり直す] を押します。時間補正値は Q-gakkai.clk というファイルに保存され、次回以降はこの時間補正値を使って、時間補正されます。

<補足>

1.Q-gakkai の時間精度は 1/100 秒 (10 ミリ秒) です。すなわち、1/100秒以下のずれ(1%以下の時間誤差)は、現時点では補正できません。 ご了承ください。

2.時間補正値を直接入力することもできます。時間補正値の表示枠(図で 11550 と表示されている部分)に直接数字を入力してください。これでよければ、[補正する]ボタンを押します。これによって任意の時間補正値を設定で き、微調整 がしやすいと思います。

注) リターンを押さないと入力したことになりません。入力が 正しく行 われたかどうかは、入力時に背景が黄色くなり、これが元の白色に戻ることで確認できます。


■5 操作

(1) 計時の開始

画面右下にあるボタン群は最初はパターン1(右図参照)になっています。このうちの「start」ボタンをマウスで左クリックすると計時開始でき ます。計 時が開始されるとボタン群はパターン2のように替わります。

(2) 計時の終了

発表が終わり、次の演題が降りるところで「pause」を押してください。pause しますとボタン表示がパターン3になりますので 「reset」をかけて、次の演題に備えます。

(3) トラブルなどによる一時停止

トラブルなどで、一時停止する際も「pause」ボタンを押します。pause しますとボタン表示がパターン3になりますので 、トラブル等が終わり次第、「contn.」ボタンを押して、計時を継続させてください。

(4) タイムライン表示

画面左下に表示される棒状の時間表示です(下図参照)。赤丸が現在の時間を示していて、これが1秒ごとに右へと移動していくので、今、どのあたり なのかが よくわかります。このタイムラインが不要な場合は設定画面で非表示にできます。



(5) ヘルプ

「?」ボタンを押します。 ヘルプを印刷したいときは、ヘルプ画面(今、ご覧になっているこの画面)の上でマウスを右クリックしますとポップアップメニューがでますので、 「印刷」を 選んでください。

(6) 画面のリサイズ

画面右上の×印の左横にあるボタンを押すと全画面表示と縮小表示が切り替わります。また、縮小画面の右枠、左枠、右下隅の部分などをマウスでド ラッグする と任意の大きさに変わります。

(7) プログラムの終わり方

ボタン群の表示がパターン1の時、「exit」を押すと時間設定が保存されて終了できます。一方、画面右上の×印のボタンを押しても終了できます が、この 時は時間設定が保存されません。


■6 カスタマイズ

(1) 学会タイマーの設定はテキスト形式のファイルに保存されています。この設定ファイルは Q-gakkai.cfg という名前で学会タイマーの実行ファイル( Q-gakkai.exe )と同じフォルダにあります。

(2) この設定ファイルはテキスト形式ですから、エディタなどで開き、直接、設定内容を書き換えることができます。そして、学会タイマー上からできる変 更よりも さらに細かい設定の変更が可能になります。例えば、表示メッセージの変更、予鈴やサウンドなどのファイル名の変更や入れ替え、計時停止時間(=サ ヨナラ音 楽の開始時間)の変更(通常は3分)などです。

(3) Q-gakkai.cfg の内容は次のとおりです。なお、ver. 1.2、1.3、2.0、2.8 で形式や内容が変わっておりますのでご注意ください。例として、デフォルト設定の内容を示します。表中の赤い文字のものは、設定画面(■3参照)でも設定できるパラメータ、そ れ以外はこの cfg ファイルを直接操作しないと変更できないパラメータです。


[内容の例] [内容の説明]
1行目
480,120,420,180,60,10 設定時間(秒): @口演時間、A討論時間、B予鈴時間、C超過何秒から音楽開始するか、D超過 時の警告 鈴は何秒おきか、E最後の点滅をするのは何秒間か
2行目
1,1,1,2,1,0,0,0,0
設定スイッチ(On=1, Off=0): @1鈴をならすかどうか、Aカウントダウン表示、B口演時間 と討論時間の合算表示、Cタイムライン表示、D予鈴を鳴らす、Eサヨナラ音楽を流す、F英語表示、G秒単位で設定、H点滅表示
3行目 Q-bell1.wav 予鈴の警告音(ベル1回)
4行目 Q-bell2.wav 口演時間終了の警告音(ベル2回)
5行目 Q-bell3.wav 終鈴/超過の警告音(ベル3回)
6行目 Q-sound.mid 計時停止時の警告音
7行目 口演時間 口演時間に表示されるメッセージ
8行目 討論時間 討論時間に表示されるメッセージ
9行目 時間超過 時間超過時に表示されるメッセージ
10行目 presentation
口演時間に表示される英語メッセージ
11行目 discussion
討論時間に表示される英語メッセージ
12行目 time over
時間超過時に表示される英語メッセージ
13行目 MS ゴシック
デジタル時刻の表示フォント
14行目 MS ゴシック メッセージの表示フォント

(4) 予鈴時間は、「口演時間開始から何秒か」です。口演時間、討論時間はそれぞれ何秒間ずつか、を意味します。

(5) wav ファイル名を別なものに代えることができます。例えば、ベル音が気に入らない時は、自分で用意した wav ファイルを指定することで任意のアラームに変更できることになります。そのファイル名を上記デフォルトにある名前にリネームしたりして使用する方 法と設定 ファイルにファイル名を書き込んでしまう方法の2種類があります。wav ファイル (拡張子は .wav) だけではなく、midi ファイル (拡張子は .mid) も使用できます。

(6) 7〜9・10〜12行目は、画面上に表示されるメッセージそのものです。ここも任意のメッセージに書き換えることができます。ただし、あまり長い メッセー ジですと画 面が乱れて、却って見づらいものになりますから、ご注意が必要です。

(7) 13・14行目は、デジタル時計やメッセージの表示に使うフォントです。ただし、「MS ゴシック」を標準として画面の設計をしていますので、これよりも横広なフォントやプロポーショナルフォントを指定すると文字の収まりが悪くなる可 能性があ ります。ただし、横長画面などでは、かえって見栄えがすることもあると思います。なお、指定したフォントが見つからないときは、標準フォントであ る「MS ゴシック」が自動選択されます。

(8) 書き換えの際には、改行箇所やピリオドなどの打ち方を変更しないでください。なお、書き換えの際の不備が原因で、学会タイマーがうまく動かなく なった場 合、書き換えたファイルを消去してから、学会タイマーを起動します。すると、デフォルト設定の Q-gakkai.cfg が自動作成されます。


■7 サウンドファイル

(1) 学会タイマーではベル音やサヨナラサウンドを自由に変えることができます。wave ファイル (拡張子は .wav) 、midi ファイル (拡張子は .mid) が使えます。デフォルトで用意しているのは次の4つのファイルです。

[ファイル名]
[用途]
[内容]
[備考]
"Q-bell1.wav" 1鈴
ベル1回 ベル 音は、本 物のベルを PCM 録音して作ったファイルです。2回のもの、3回のものは、ちゃんとベルを2連打したもの、3連打したものを録音しています。
"Q-bell2.wav" 2鈴
ベル2回
"Q-bell3.wav" 3鈴
ベル3回
"Q-sound.mid" 超過の警告
蛍の光
このMIDI ファイルは「童謡・唱歌の世界」というHPを作られている吉田さんのご厚意で添付させていただいております。URL は次のとおり。 http://www5b.biglobe.ne.jp/~pst/douyou-syouka/

(2) 超過の警告音楽は、時間超過しても延々としゃべり続ける困った演者への対策で作ってみた機能です。デフォルトのままですと、時間超過3分後に「蛍 の光」の サウンド開始です。この開始時間は設定ファイルで変更が可能です(→カスタマイズのページを参照)。

*これは1992年に京都で行われた発生生物学会で使われていたタイマーに組まれて いたもの の再現です。この学会はつわもの揃いなのですが、「蛍の光」が流 れ出すと聴衆からも静かな笑いが生じ、演者もさすがにそそくさと切り上げざるを得ないと言う状態でした。「蛍の光」はやりすぎだと思う場 合は、設定ファ イルでお好みのサウンドファイルや警告音に取り替えてみてください。もちろん、この機能はオン・オフできます。


■8 履歴

ver 3.22 100分以上の計時の際に、特定状況下で表示が枠からはみ出すバグを修正。 2012/8
ver 3.21 100分以上の計時の際に、特定状況下で表示が枠からはみ出すバグを修正。
2012/8
ver 3.20 100分以上の計時の際に、時間表示が乱れるバグを直しました(広島修道大学・有 田真理子さん)。 2012/6
ver 3.10 1) 時間精度を1/10秒から1/100秒にあげまし た。
2) 時間補正機能を追加。より正確な計時ができるようになりました。
2009/8
ver 3.00
1) フォントを指定できるように改良(慶応大学の藍澤さん)。この改良に伴い、設定ファイルの形式変更。
2) 横 長画面画面 モードに対応(慶 応大学の藍澤さん)
3) 作者HPのURL変更。
2007/5
ver 2.80 1) 設定画面での予鈴の表示方式を改善。ま た、予鈴のチェック方法を改善。
2)
プログラムを分中心から秒中心に書き直し、秒の設定を実現(voltex の池森さん)。
3) 内部での時間操作を0.1秒単位にして、最後の10秒でメッセージを点滅できるようにした
(voltex の池森さん)
2006/7
ver 2.70
1) 英語表記の設定画面ででる表示ミスの修正(金 沢大学・平 野晃宏さん)。
2) 計時のちらつきを最小限にしました(生振の里・大澤隆則さん)。
3) 設定画面の表示位置の改良。内部ルーチンのかなりの見直し。
2006/3
ver 2.63 インストーラのバグフィクス(古いバージョンが ある時、 インストールできませんでした)。 2005/12
ver 2.62 画面のまばたきを減らしました。音が時々でなく なるバグ を解消。
2005/8
ver 2.51
ver 1.35 のシンプルさと ver 2.0 の多機能性を同時に満たすバージョン。
1) ヘルプファイルをHTML化。  
2) 時間がずれるのを防ぐルーチンを導入(近畿大学・加藤暢宏さん)。ただし、まだ10分あたり最大10秒程度のずれがでます。
3) 操作ボタンを右下に移動。  4) 設定画面は別画面とする。
5) リサイズの時の数字や文字の変化を改善。   6) タイムライン表示を新設。
7) 合計60分を越えるとおかしくなっていたのを修正(佐宗龍俊さん)。最大546分までカウント可能に。
2005/3
ver 2.00
約3年ぶりの大 改造で す。多機能版のタイマーになりました。 ヘルプもやっと本格的なものにしました。
1) 画面上で予鈴時間(1鈴)の変更ができるようになりました。(小林しげるさん)
2) 予鈴(1鈴)はこれまでと違い、開始時刻からの時間で設定します。
3) 予鈴(1鈴)は、口演時間と討論時間のどちらにでも設定できます。(東邦大学・伊津野孝さん)
4) 口演時間と討論時間の合算表示が可能になりました。
5) 超過時間 3 分以降でのサウンド開始(終了を促す音楽など)が可能です。
6) メッセージの英語表記をワンタッチでできるようにしました。
7) 操作ボタンを整理しました。より簡単になりました。
8) 新設の Configuration ボタンで設定表示を消すことができます。 (徳島大学・中村浩一さん)
9) 時間の設定がわかりやすくなりました。
10) 多機能になったこともあり、ヘルプを大幅に改良。画像などもいれてわかりやすくする一方で、階層的にし、ページ・ジャンプな ども取り入れました。遅ればせ ながらのハイパーテキスト化です。

2002/9
ver 1.35
予鈴時間を画面上でできるようにしました。シンプル機能の ver. 1 シリーズの最終版のつもりです。遅ればせながら、この版から自動インストール・パッケージにしました。
2002/9
ver 1.32
予鈴変更のカスタマイズ機能のバグをフィクスしたもの。 1.30 で、Q-GAKKAI.CFG をエディタなどで編集すると予鈴時間を自由に変更できるようにしていたつもりだったのですが(ヘルプのカスタマイズの項目参 照)、これがきちんと機能して いませんでした。
2000/3
ver 1.30
1) 口 演時間終了1分前の 予鈴を可能に(Yoichiro Higuch さん)。
2)
カウントダウン表 示も可能に(寺 田弥生さん)。
3) 「分超過」表示も *.cfg ファイルから読み込む(
寺田弥生さ ん)。
4) ヘルプの目次が出なかったトラブルを解決(*.CNT ファイル添付)
5) ボタンの有効・無効をブルー・グレイ表示で示す。リ
セットボタンも 作成。
1999/10
ver 1.20
一般公開のために ヘルプファイル作 成。表示画面の大きさにあわせて、時計表示の大きさも自動で変わるようにしました。
1999/2
ver 1.10
(未 公開)ト ラブル発生時の対応を考えて、継続機能を加える一方で、操作と表示をよりシン プルにし、警告音にはPCM録音 した ホンモノのベル音を採用しました。おかげで音声ファイルが大きめになりましたが、やはり、電子音のブ ザーよりも「チーン」というベル音の方がいいようです。時間超過対策として、 1分過ぎるたびに警告 を ならすようにしました。目覚ましのスヌーズがヒントです。
1998/11
ver 1.00
(未 公開)学 会で試用。照明係と計時係を兼任することができ、人手の節約にもつながりまし た。
1998/11

*お名前は、バグ報告やリクエストをくださった方です。このほ かにも非公開版の動作テストに協力してくださった方々が多数おられます。みなさま、ありがとうございました。なお、私自身の都合やプログ ラムの変更の手間の関係で、だいぶ時間がたってからの対応もしばしばですが、どうか、ご容赦ください。



■9 著作権など

このソフトは、フリーウェアであり、著作権を放棄したものではありません。ヘルプファイルやアイコンも含めて、改変したものを第3者へ譲渡するこ とを禁じ ます。

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田畑 純 (休八)
たばた まこと (きゅうはち)