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休八写真館中判カメラ室(6x9判)

Kodak No.2 Beau Brownie



Kodak Beau Brownie ツァイスのボックス・テンゴールが王様ならば、さしずめこれは貴婦人だ。

ボックスカメラの中で も特に美しいカメラだと思う。前 面パネルには、黒/茶、赤/ピンク、青/水色、青/緑、茶/オレンジなどの色違いがあり、いずれも見事な配色だ。これら全てを並べて撮った写真を 見たこと があるが、本当に綺麗だ。

レンズはパンフォーカスで、シャッターをはさんで前玉と後玉が1枚ずつあるようだ。シャッターは単速で1/30程度。右側面にあるレバーを上 にあ げると チャージでき、下におろすとシャッターが切れる。ファインダーは縦位置用と横位置用があるが、小さいのとあまり目を近づけると見えないのとで、あ まり使い 勝手がいいとはいえない。パララックスも当然あるだろう。

上面にある手提げ部の手前にふたつのノブがある。ほぼ真ん中にある大きいノブが絞りノブ。サイズの違う丸穴が開いた鉄板をスライドさせるだけ の仕 組みだ。上部大ノブを最大にひいて F22、中間位置で F16、押し込んで F11 だという。絞りノブの横にあるちょっと小さなノブはタイムノブで、引き上げると絞りが開きっぱなしになる。

ボックスカメラがボックスカメラたるのは、単純さの徹底ゆえだ。

フォールディングカメラや大型一眼レフが全盛の時代に、ボックスカメラは生まれた。カメラを単純にして軽量化と操作の簡便化を図った。難しい もの を優しく し、重いものを軽くして、人々への普及を図った。こういう発想はいつの時代にもあって、カメラが大きく複雑になると必ずシンプルな小型機が現れ た。高島鎮 雄さんはボックスカメラを「使い切りカメラ」になぞらえていたが、なるほどと思う。

追記1: デザインはアール・デコの旗手 Walter Dorwin Teague (1883-1960)。コダックのカメラをいくつもデザインしている。

追記2: Beau Brownie は No 2 と No.2A の2機種あるので購入時は注意。No.2 は 120 フィルム(6cm幅)、No.2A は116 フィルム(7cm幅)なので、後者はやや大きめ。ただし、デザイン上の差はほとんどないので写真などを見ても区別できないことがある。

追記3: Beau は英語ならビューだが、フランス語ならばボー。アール・デコはフランス語なので、これもボーと読むべきか。

発売年
1930年   愛着度★★★
型 式
120フィルム  6x9cm/ ボッ クスカ メ ラ
レンズ 上部大ノブを最大にひいて F22、中間位置で F16、押し込んで F11
シャッター レンズシャッター、右レバーをあげるとチャージ、押し下げ ると シャッター(単速)
上部小ノブをひきあげると Time、押し込むと 1/30
シ ンク ロ接点
なし
測 光・ 測距
なし
ファ イ ンダー
反射ファインダー (縦 用と横用 と2ヶ所あり)
フィ ル ム交換
1.使用済みフィルムが ある時 は、右下クランクを使って巻き上げる。
2.右下と上面のロックを外して、箱を開ける。うまく開かない時は、クランク部分のかみ合わせが引っかかっていることが多い。
3.使用済みフィ ルムを取り出し、スプールを巻き取り部に移して、新しい120フィ ルムを入れる。
4.フィルムのリーダー部を引き出し、右手のスプールに差込み、巻き付ける。
5.上面クランクで巻く。赤窓でフィルムの位置を確認する。
大きさ・重さ w85mm x h108mm x d107mm  410g
参考 web
Kodak No.2 Beau Brownie: http://www.camerapedia.org/wiki/Kodak_2_Beau_Brownie
The Brownie Camera Page: http://www.brownie-camera.com/index.shtml
参考文献
高島鎮雄, 「クラシックカメラへの誘い」 朝日ソノラマ 2007

Kodak Beau Brownie
皇居の二重橋。 F11 / T-max 100

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