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休八写真館中判カメラ室(6x6判)

Ensign Ful-Vue II



Ensign Ful-Vue
      II 見ようによっては流線型の蒸気機関車のようだが、海苔おむすびのよう でもある。不細工にも見えるし、スマートにも見える。なんだか気になって仕方がないカ メラ のひとつだった。

ネット・オークションで探したら、$2 - $10 という値段。 ビニールレザーの速写ケースが付いていて、外観がいいものを購入した。しかし、シャッターがまともに動かないし、ファインダーもほとんど見えない ぐらい 曇ってい た。幸い、簡単に分解できたので、各部の掃除をしたら、あっさりと使えるようになった。

一見すると鋳造品のようだが、実際には鉄板のプレス加工のようで、見た目よりもは軽い。エバレディ・シャッターなのでチャージ やレバー操作がい らないのだが、片手での撮影は難しい。丸っこいカタチなので、どうしてもカメラを両手で持たないとホールドが安定しないからだ。

ホールドは、両手をほぼ対称型にして構えると安定するが、シャッターを押す時に右手が浮くのでちょっと手ぶれしやすくなる。それで、左 の手のひらでカメラ底部をささえ、レンズを親指と人差し指ではさむような形でホールドするようになった。右手は添える程度だが、右手がないとぶれ やすくな る。体のどこかにカメラを押しつける、または近くの柱や壁で体やカメラの一部をあてて構える。そうしないと手ぶれがでやすい。

ゆっくりと左人差し指でシャッター のレバーを押し上げる。軽い音がして、シャッターが切れる。

手ぶれをしやすいのはシャッターが単速で 1/30 程度、絞りがなくて開放 F6 のみだからだ。ISO 16-25 程度のフィルム感度の時代のカメラなので仕方がない。ネオパンF や ミニコピーがあればいいのだが、今では入手が難しい。それで、ISO100 フィルムで撮影し、これを減感現像する。巻き上げたフィルムを現像タンクに入れて、現像液を入れる。現像時間を短縮して、停止、定着、水洗。

少しどきどきしながらフィルムを見る。像が出ている。ほっとする。現像の楽しさもある。

追記1:エンサインはイギリスのカメラメーカー。Ensign, Barnet Ensign, Barnet Ensign Ross, Ross-Ensign と何度か名称を変えた。フルビューは1939年に発売し、1950年にレンズとシャッター部を少し変更して II 型とした。1959年には二眼レフのような形状にして Ful-Vue Super となったが、このカメラは630フィルムに変わってしまったので、購入するときは用心が必要。

追記2:減感現像は現像時間を短縮する、もしくは希釈した現像液を使って行うことが多い。ただ、せいぜい 1段程度の減感が普通で、3段の減感となるとかなり大きく、いろいろな解説書を見てもあまり具体的なデータは書いていない。とりあえず、 TMAX RSを使って 100TMAX (標準6分現像)を3分30秒で短縮現像してみた。3段減感にはこれでほぼ適正のようだ。


発売年
1950年  愛着度★★
型 式
120 フィルム 6x6cm/ボックスカメ ラ
シャッター エバレディ・シャッター、 Instant (1/30). Bulb
レ ンズ
85mm F6
測 光
なし
ファ イ ンダー
ブリリアント・ファイン ダー
フィ ル ム交換
1.使用済みフィルムが ある時 は、右上の巻き上げダイヤルを使って完全に巻き挙げる。
2.背面を開ける時は、左手側面のダイヤルを unlock にする。使用済みフィルムを取り出し、古いスプールを巻き取り部に移す。
3.新しいフィルムを入れ、リーダー部を引き出し、巻き取り部のスプールに差込み、巻き付ける。
4.巻き上げは上面左の巻き上げダイヤルを使い、赤窓を見ながら巻き上げる。
大きさ・重さ
w80mm x h100mm x d112mm  410g
参考 web
Ensign Ful-Vue: http://www.camerapedia.org/wiki/Ensign_Ful-Vue
参考文献
藤島広一, 「エンサイン・フルビュー」, クラシックカメラ専科 No.2 p134 (1980年)

Ensign Ful-Vue II

東京・隅田川の相生橋と中の島。3段減感のためか軟調。
85mm F6 / 100TMAX


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