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休八写真館中判カメラ室(6x4.5判)

小西六 Pearl II



Konishiroku Pearl II 小西六 パール II 風景を縦撮りしたくなるカメラ。

見慣れた風景であっても、縦撮りのファインダーで覗くと、なかなか新鮮に感じる。しかし、カメラの多くは、縦撮りか横撮りのどちらかを前提と した デザイン となっていて、縦撮 りがしやすいカメラというのはあまり無い。その点、パールは秀逸で、縦でも横でも自然な感じで写真が撮れる。

理由は、かなりの小型機でありながら距離計が連動していること、縦でも横でもホールドしやすいこと、ファインダーが覗きやすいこと、底 面にある巻き 上げノブが右手で操作しやすいこと、などが挙げられるだろう。

撮影の手順としては、まず、露出計を使って明るさを測り、絞りとシャッタースピードを合わせる。次にファインダーを覗きながら、ピ ントを合わせる。スプリングカメラの多くは前玉回転式だが、パールの場合はヘリコイド式だ。つまり、レンズとシャッターが一体となって 前後するわけで、大判カメラに似ている。距離が合った ら、シャッターをチャージして、前蓋のヒンジ部近くにあるシャッターボタンを押す。シャッターは、左手で押すことになるが、これまでのどのカメラ よりも 左手シャッターを切りやすい。

カメラとしてのデザインもよく、各部の仕上げも丁寧。とりわけ、軍艦部上部の形やタスキのカーブが美しい。これだけ小型なのに距離表示窓が あった り、アク セサリーシューがあるのもよい。

出かけるときに、気軽に持ち出したくなる。真珠という名前のカメラ。

追記1: 小 西六のパールは戦前のセミパール(1938年) を源流とする。戦後、単独距離計を付けたパールI (1949) を皮切りに、連動距離計を付けたパールII (1952年)、フィルムの自動巻止めを付けたパールIII (1955年)、デザインを大幅に変更したパールIV (1958年)と展開された。

発売年
1951年1月   愛着度★★★★
型 式
中判フィルム 6x4.5cm/距離計連動カメ ラ
シャッター レンズシャッター、コニラピッドS 1/500〜1秒、B
レ ンズ
固定式 Hexar 75mm F3.5
測 光
なし
ファ イ ンダー
二重像合致式・距離計連 動ファイ ンダー
フィ ル ム交換
1.使用済みフィルムが ある時 は、右底面の折りたたみハンドルで全部巻き上げる。
2.右側面のレバーを引き上げて背面を開ける。フィルムを取り出す。
3.古いスプールを巻き取り部に移して、新しいフィ ルムをセット。
4.巻き上げは右底面の折りたたみハンドル。
5.フィルム位置は赤窓で確認する。
その他
ホットシュー、X接点あり。
大きさ・重さ w119mm x h100mm x d93mm (収納時 d45mm) 570g
参考文献
川又正卓・山嵜省一 「スプリングカメラでいこう」 写真工業 2004年
田中政雄, 「日本のスプリングカメラ−小西六」, クラシックカメラ専科 No.8 pp58-61 (1986年)
谷村吉彦, 「パールII」, クラシックカメラ専科 No.35 p63 (1995年)

Konishiroku Pearl II 小西六 パール II
 
朝の隅田川と中央大橋。
Hexar 75mm F3.5 / RDPIII
Konishiroku Pearl II 小西六 パール II

ビルと競うように立つヒマワリ。

Hexar 75mm F3.5 / RDPIII
Konishiroku Pearl II 小西六 パール II
 
桜の新緑。
Hexar 75mm F3.5 / RDPIII

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