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休八写真館35mm判カメラ室

Canon 7



キヤノン Canon 7この 7(セブン) は大阪時代に出会ったカメラ。

古いがらくたの中で眠っていた。長いこと誰からも忘れられて打ち捨てられていた。キャノン7じゃあないか、と手にした。 嬉しいことにレンズは 50mm F0.95 がついていた。フロントレンズに小さなかき傷がはいっていたが気にしないことにした。アルミのレンズキャップがちゃんとついていたのがよかった。

重く大き なレンズが美しく見えた。こういう思い切った光学系をもった精密機械が設計され、製造されたこと、それが私の生まれた年であったことにちょっとし た因縁、 喜 び、誇りをもった。自分の机の傍らに置き、疲れたときやいやなことがあった時に、このカメラをぼんやりと見ている自分がいた。

このカメラ、セレン式の露出計が内蔵されており、ファインダーも35mm、50mm、80/100mm、135mm が切り替え可能で、巻き上げはレバー式、フィルムカウンターも自動リセットになっていて、レンジファインダーカメラとしては必要なものがほぼすべ て揃って いた。

使ってみると欠点がいくつかあった。まず第1にレンズとの連係が悪い。Lマウント(キャノンでの呼称はSマウント)と内3爪バヨネットマウン トの両対応になっていたが、Lマウントのライカ・エルマー 50mm レンズをとりつけるとフォーカス回転のロックピンが、バヨネット金具の一部にあたり、ロック解除されたままになってしまう。一方、内3爪バヨネッ トの 50mm f0.95だとレンズ径があまりに大きいため、ファインダー視野の右下がかなり広い範囲でレンズに隠されてしまい、フレーミングがしにくい。

それから、測光窓の位置がまずい。カメラを構えた時、右手の中指がかかりやすいのだ。この 7 の4年後にでた改良機 7s では、このセレンを CdS にして指のかからない小さな露光窓にしたところを見ると、CdS 搭載が間に合わなかったのかもしれない。セレン式は電池がいらない利点があるけ れど測光窓が大きくなるのが欠点だ。ストロボシューが無いのも、設置スペースを 作れなかったからだという。

やはり 7 は、一眼レフが軌道に乗るまでの間をつなぐ「過渡期のカメラ」だったのかもしれない。しかし、手持ちで低速シャッターを楽しみなさいよ、と誘惑し ているよ うなカメラでもある。フォールディングはかなりいいし、レンジファイン ダーなのでミラーショックも像消失 もない、ストロボはつけにくい、でも、超明るいレンズが付いている、というカメラなのだから。

追記1: キャノンのレンジファインダーカメラはライカ追走の歴史。I型から始まっ て、 IVSb型でついにライカに追いつき、追い越したが、1954年のライカM3登場で再び大きく突き離される。キャノンはV型、VI型、そ してこの7型と相 次いで新モデルを投入。特に7型には、ライ カM3とは違う形 でより優れたものを出したいという、キャノ ンのプライドと心 が感じられた。しかし、その一方で、ライカM3を凌ぐには、レンジファインダーではなく、一眼 レフしかない、というのが冷静な状況であったようで、1959年にはニコンが名機ニコンF、キャノンもレフレックス(Rシリーズ)を市場 に投入している。 7型は、まさに最後のレンジファインダー機としての使命を背負ったカメラだった。

追記2: キャノン7は 1965年に 7s として改良型が出されたが、それがキャノン最後のレンジファインダー機となった。フィルムカメラの一眼レフも EOS 7とその改良機 EOS 7s が最後だし、フィルムKiss シリーズも EOS Kiss 7 が最後。キャノンにとって"7"という数字はそういうジンクスなのだろうか。2009年10月に発売のデジタルカメラ EOS 7D は、ジンクスキラーになるのだろうか。

追記3: 正面ファインダー窓の左下にあるマイナスネジをはずすと中に距離計調整ネジが ある。また、二重合致像の上下のずれは、シャッターダイヤル横のカニ目ネジをはずして、中のネジで補正する。上下を補正すると左右もずれ るので、両方の補 正が必要な時は、上下をまず合わせてから左右を合わせるとよいようだ。

追記4: さすがに露出計が2段ほど低く出てしまう。セ レン露出計 の復活には太陽電池を利用する方法があるようだが、今のところスポットメーターで代用。


発売年
1961年9月  愛着度★★★
型 式
35mmフィルム/ フォーカルプ レーンシャッター/レンズ交換式/レンジファイ ンダーカメ ラ
レンズ Sマウント(ライカLマウント互 換)
内3爪バヨネットマウント (標準レンズ Canon 50mm F0.95)
シャッター 2軸式金属膜横走行/機械式フォーカルプレーンシャッ ター、 1/1000〜1 秒、B、T、X
シンクロ接点 X/FP (自動切り替え)、X = 1/60、側面にドイツ式同軸ソケット
測 光
セレン式、測光窓。読み 取りは上 面。高低の切り替えあり(EV6-13, 12-19)。
測距
二重像合致式レンジファインダー。
ファ イ ンダー
35mm、50mm、 80/100mm、135mm が切り替え可能。
フィ ル ム交換
1.使用済みフィルムは シャッ ター周囲のメインスイッチをR(=rewind?)にして、上面クランクを使って巻き戻す。
2.背面を開ける時は、底部回転ノブを半回転して、左側面のスライダーを動かす。
3.フィ ルムをパトローネ室に入れ、フィルムをセット。背面を閉じる。
4.巻き上げはシャッター周囲のメインスイッチをAにして、右手上面の巻き上げレバー。
5.カウンターは背蓋開放で自動復帰。順算式(0-40)。
大きさ・重さ w140mm x h81mm x d31mm 619g (50mm f0.95 装着で 1,271g)
関連 web
キャノン / 7  : https://global.canon/ja/c-museum/product/film42.html
M3後のキャノンのレンジファインダー: http://www5a.biglobe.ne.jp/~outfocus/contaflex/canon-....
参考文献
上野千鶴子, 「キヤノン7」, クラシックカメラ専科 No.2 p32 (1980年)
「マニュアルキャノンのすべて」 竢o版 2001

Canon 7 / キャノン 7

東京・佃、住吉神社の裏側、佃の渕。
Canon 50mm F0.95 / 400TMAX

Canon 7 / キャノン 7

東京・佃、住吉神社の水盤舎で。開放での撮影。
Canon 50mm F0.95 /
400TMAX

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