休八写真館＞35mm判カメラ室

Nikon F3

ニコンの頂点。F と F2 に連なる3つめの高峰。

フラッグシップ・カメラでありながらコンパクト。 高機能でありながらシンプル。ホールド性も高く、やさ しい造形で、優美でもある。 ペンタプリズム、グリップの曲面。赤いラインのアクセント。ダイヤルの配置。巻き上げレバーの形。すべてに品の良いバランスを感じる。

ファインダーは明るく、見えたものがそのまま写る。ファインダー上に液晶でシャッタースピードが、投影で絞りが見える。シャッタースピードの 表示はやや小さく暗めで見にくいが、夜間用にイルミネートもつく。電子シャッターであるけれど、緊急用の機械式シャッターがレンズ右横につ く。

デザイナーはイタリアのジョルジュエット・ジウジアーロ。工業デザイン、という言葉をこれ ほど強く感じさせてくれたカメラは F3 以前では無かった。ニコンのカメラだけでなく、日本のすべてのカメラメーカーに強い影響を与えた1台だろう。今でもニコンのカ メラには、赤いラインがよく似合うし、F3のデザイン思想が受け継がれていると思う。

撮れた写真は驚くほどシャープだ。一面に咲く花などを撮るとひとつひとつの花がすべて精緻に鮮明に撮れている。川面や波間を撮ると水の細かな 光の 反 射が隅々にまで広がる。目眩がするほどの精密な写真である。

季節が変わるたびに、F3を持ち出したくなる自分が居る。日常が少し違った 景色になり、そこに引き込まれる自分が居る。

追記１：　電池切れの時に使える機械式シャッターがあり、レンズ右にレリーズがついている。また、シャッタースピードは液晶でファイン ダー内に表示さ れるが、暗闇でもプリズム横の赤いボタンを押すと発光表示になる。細かいところまでよく考えて作られている。

追記２：　F3 はさまざまなバリエーションがあり、F3P、F3HP、F3 titan などがあった。

追記３：　1970年代後半、ジウジアーロの他、ポルシェ　（Contax RTS）、ルイジ・コラーニ　（Canon 試作モデル）などが日本のカメラデザインに参画した。時代をさかのぼると、1930年代のアール・デコ のテーゲ（Kodak Beau Brownie など）がある。

発売年	1980年3月　　　愛着度★★★
型 式	35mmフィルム／ フォーカルプ レーンシャッター／レンズ交換式／一眼レフカメ ラ
レンズ	ニコンＦマウント (AI シリーズ、AI AF シリーズ)
シャッター	フォーカルプレーン  8−1/2000, B, T, X
シ ンク ロ接点	X = 1/250
測 光	絞り優先オート。 EV1-18
測距	マニュアル
ファ イ ンダー	ファインダー内に露 出表 示。視野率約100%。
フィ ル ム交換	１．使用済みフィル ム は、底部のロックピンを押して、上面左のクランクを使って巻き戻す。 ２．背面を開ける時は、クランクを引き上げる。 ３．フィ ルムをパトローネ室に入れ、フィルムのリーダー部を引き出し、右手のスプールに差込み、巻き付ける。 ４．巻き上げは右手上面の巻き上げレバー。 ５．フィルムカウンターは背面の開閉で自動復帰。順算式。
大きさ・重さ	w148.5mm x h96.5mm x d65.5mm 715g (Ai ニッコール 35mm F1.4 装着で 1,115g)
関連 web	カメラアーカイブ / Nikon F3：　https://camerafan.jp/cc.php?i=194
参考書籍	「ニコンFのすべて」 �竢o版 1999

永代橋からの展望。正面がパリ広場と佃の高層マンション群。 Ai Nikkor 35mm F1.4 / RDPIII	朝倉響子  "SUMMER" (1984） 茅場町のビル街の一角で Ai Nikkor 50mm F1.4 / RDPIII	朝倉響子  "NIKE" (1981） 茅場町のビル街の一角で Ai Nikkor 50mm F1.4 / RDPIII
パリ広場の佃テラスからの展望。左に見えるのが永代橋。 上の写真の真向かいからの撮影になる。 Ai Nikkor 35mm F1.4 / RDPIII
ツルバラ "カクテル" Ai Micro-Nikkor 55mm F2.8 / RDPIII	２色のつつじ。混植されていた。 Ai Micro-Nikkor 55mm F2.8 / RDPIII

---

とびら へ

前へ 　次へ

↑　トップへ