updated on 2012/03/18

休八写真館＞35mm判カメラ室

Nikon FE10

ニコンのマクロレンズは、マイクロニッコールという。

ちょっと頑固なニコンらしく、接写レンズなのに、”マクロ” と言わず ”マイクロ” と言う。大学生の頃は、違う種類のレンズだと思いこんでいた。医学・生物学・形態系の教室などでは、昔はどこでもニコンのマニュアル機とマイクロニッコールがあったし、教室にメディカルニッコールなどがあるとちょっとしたステータスだったと思う。

このマイクロニッコールをFE10に付けて撮影する機会を得た。ファインダーに映る像がいい。これはいいレンズだ。フィルムの現像が出来てきて、 35mm判とは思えぬ描写力に心から驚いた。ニコンのレンズや製品をもっと使ってみたくなった。

FE10 は、ニコンのフィルムカメラでも最後期の製品だが、実際にはコシナの製造。FM と FE の関係同様、FM10 にオートと露出補正ダイヤルを追加した製品が FE10 である。使いやすく、撮れた写真も相当にいい。コシナ製ではあるけれど、ニコン製品を好きになるきっかけになった。

ボディはアルミダイキャスト。ボディ重量はわずかに400g しかなく、リトルニコン(Nikon EM) の 440g よりも軽い。操作性もよく、シャッターを半押しするだけで起動できるのは簡単だ。FE2 では巻き上げレバーに指をかけていないとイケナイのだが、このFE10にはそれがない。加えて、巻き上げの軽快さは格別で、「フィルムがスプロケットに噛んでないのかな？」と不安になるほどである。ファインダーはやや簡素で、指針式のように縦にならんだシャッター速度の横にLEDが点灯して適正シャッターが示される。

デザイン的にはペンタ部のカタチが結構いいと思う。グリップ部に入る赤いラインがニコンF3以来のもので、自分にはぐっと来る。ダイヤル部にはロックボタンが付いているが、いずれもわかりやすく操作しやすい位置にある。ただ、シャッターボタンはストロークが浅く、しかも軽いものだから、半押しのつもりで指をかけた途端、シャッターがおりてしまうことがある。少し困りものである。

追記１：　兄弟機であるFM10は、1996年の発売だが、現在に至るまで製造・販売されている。2012年現在のニコンのフィルムカメラは、F6とFM10の2機種だが、フィルムカメラを製造していないメーカーがほとんどになった現在、その意義は大きいと思う。

追記２：　コシナのOEMであるのは有名で、同様にOEMであったリコーXR-7 と共通のスペックであるらしい。最初は海外での販売のみであったが、逆輸入品の人気が高まり、国内でも販売されるようになったという。

追記３：　軍艦部のシャッターダイヤルは、1/1000 までしか目盛りがないが、auto では 1/2000 まであって、ファインダーにも表示されている。ちょっと奇妙だ。

発売年	1997年2月　　　愛着度★★★
型式	35mmフィルム／フォーカルプレーンシャッター／レンズ交換式／一眼レフカメラ
レンズ	ニコンＦマウント (AI シリーズ、AI AF シリーズ)
シャッター	フォーカルプレーン／１－1/2000, B
シンクロ接点	X = 1/90
測光	絞り優先オート。 EV2.5-18
測距	マニュアル
ファインダー	ファインダー内に露出メーター表示。視野率 93%。
フィルム交換	１．使用済みフィルムは、底部のロックピンを押して、上面左のクランクを使って巻き戻す。２．背面を開ける時は、クランクを引き上げる。３．フィルムをパトローネ室に入れ、フィルムのリーダー部を引き出し、右手のスプールに差込み、巻き付ける。４．巻き上げは右手上面の巻き上げレバー。５．フィルムカウンターは背面の開閉で自動復帰。順算式。
大きさ・重さ	w139mm x h86mm x d53mm 400g (マイクロニッコール 50mm F2.8 装着で 990g)
関連 web	ニコンFM3a ファン：　http://fm3afan.ikidane.com/

紅梅。神田明神の境内で。 Micro-Nikkor 55mm F2.8 / RDPIII	カザルスホール。この前をさらに下ると神田の古書店街。 Nikkor 45mm F2.8P / RDPIII
クスノキ。神田・太田姫稲荷神社の前で。 Micro-Nikkor 55mm F2.8 / RDPIII	カワヅザクラ。神田・駿河台のビル街で。 Micro-Nikkor 55mm F2.8 / RDPIII

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