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休八写真館資料室

4x5 フィルムの現像



4x5 (シノゴ) と は、大判のシートフィルムの規格です。

大判フィルムには、5x7 (ゴシチ、ゴナナ)8x10 (バイテン) などもありますが(フィルム実寸比較はこちら)、いずれも中判と比べるとかなり大きくて、すぐれた画質と描 写力があります。

ちなみに中判も 6x6 とか、6x9 などのフォーマットがあり、一見、数字の上では大きめに感じますが、大判はインチ表示、中判はセンチ表示ですから、同じ数字でも2.5倍の開きがあります (1インチ=2.5センチ)。

大判フィルムの特長としては、次のようなものが挙げられます。
  1. 画面サイズが大きい
  2. ロール状ではなく、シート 状
  3. フィルムベースが厚いので平 面性が高い。
こ れらフィルムの特長に加えて、大判カメラには、操作性、 柔軟性、レンズの良さなどもあって、フィルムカメラとしては、強烈な魅力があります。ですが、シートフィルムですから、平たい まま で現像する のが原則で、皿現像か、専用の現像槽が必要になります。ただ、プロではありませんから、こうした器材を揃えるのはちょっと大変です。何か、いい方法はない ものかと考えていまし た。

タンクの中

写真1.現像タンクの中のようす。
4つのフィルムを風車のように並べて、スプール留めで固定。

フィルムの巻き方

写真2.現像が終わった直後のフィルム。
乳剤面(オモテ)を内側に巻いて輪ゴムで留めてます。
無論、現像前に暗黒下でフィルムをこのように巻きます。

Taco法

いい方法がありました。Taco 法 です。

なんと、フィルムを輪ゴムで丸めて、Paterson の現像タン ク(つまりロールフィルム用のタンクを流用する)に4枚並べて現像する方法です(写真1)。

これなら、新たな出費がいらず、現像液も節約できます。しかも、やってみると失敗することもほとんどない簡単な手法でした。 一度に4枚ずつの現像も、趣味で大判を楽しむにはほどよいです。以下にご紹介します。

準備

1.Paterson の大型タンク(35mm判なら3本、中判なら2本を現像できるサイズ)を使います。ただし、中のスプールは使わないので取り出し、黒い支柱だけ残しておき ます。

2.フィルム枚数分の輪ゴムを用意します。髪の毛を結わえるために使うちょっとしっかりした輪ゴムが使いやすくお薦めで す。直径 5-6cmの輪ゴムを作ります。準備はこれだけです。

フィルムのセット

1.現像したいフィルムを暗黒下で取り出し、乳 剤面(レンズ側に来る面、オモテ面)を内側に して丸めて、輪ゴムで止めます(写真2)。丸めるときには、真円になるよ うにする必要はなくて、上下の短辺どうしを合わせるようにして涙型の輪にします。

乳剤 面を暗黒下で確認するには、ノッチが右上に来るようにすると乳剤面が自分に向いていることになります。
 
2.丸めたフィルムは、Paterson のタンクの内側に支柱を中心にして立てるように並べます。4枚ぐらいが収まりがよくて、失敗がありません(写真1)。

3.きちんと入れたら、スプール留め を入れて動かないようにして、タンクのフタを締めます。


現像

フタをきちんとしめたら、明 るいところで作業可能です。現像の手順は以下のとおり。

現像: D-76 (1:1希釈液)で 7.5 分から10分。室温 23℃。液量は900ml ぐらい必要。
停止: 5%酢酸で30秒。
定着: Super Fuji Fix で10分。
水洗: 10分。(タンクを開けて洗面器などで流水洗)
乾燥: DryWell に軽くつけたあと、吊し風乾。


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