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休八写真館資料室

露出補正



わかったつもりでいても、何かと間違えることの多いのが露出補正。ちょっと関連事項をまとめてみました。

● 適正露出 ●

適正露出のためには、EV (露出値 Exposure Value) から、適正な絞りとシャッター速度を求める必要がある。
F は絞り、Tはシャッター速度(秒)、ISO はフィルム感度。それぞれの関係は次式で表わされる。
  EV = log2F2 − log2T − log2(ISO/100)

これを表にすると、下記のとおり。

フィルム感度
(ISO)
50
100
400
EV (下 段は天気の目安)
0 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 13 14 15 16 17 18 19 20
          夜景 室内 暗 い
曇り
曇 り 薄 暮・
日陰
明 る い
曇り
晴 れ 快 晴 快 晴 (雪)        
シャッター
速度
30'
15' 8'
4 5.6 8 11 16 22 32                            
15'
8' 4'
2.8 4 5.6 8 11 16 22 32                          
8'
4' 2'
2 2.8 4 5.6 8 11 16 22 32                        
4'
2' 1
1.4 2 2.8 4 5.6 8 11 16 22 32                      
2'
1 2
1 1.4 2 2.8 4 5.6 8 11 16 22 32         開く←
(プラス補正)
→ 絞る
(マイナス補正)
 
1
2 4
  1 1.4 2 2.8 4 5.6 8 11 16 22 32        
2
4 8
    1 1.4 2 2.8 4 5.6 8 11 16 22 32                
4
8 15
      1 1.4 2 2.8 4 5.6 8 11 16 22 32              
8
15 30
        1 1.4 2 2.8 4 5.6 8 11 16 22 32            
15
30 60
          1 1.4 2 2.8 4 5.6 8 11 16 22 32          
30
60 125
  ↑ 遅い
(プラス補正)

    1 1.4 2 2.8 4 5.6 8 11 16 22 32        
60
125 250
 
    1 1.4 2 2.8 4 5.6 8 11 16 22 32      
125
250 500
  (マ イ ナス補正)
↓速い

      1 1.4 2 2.8 4 5.6 8 11 16 22 32    
250
500 1000
            1 1.4 2 2.8 4 5.6 8 11 16 22 32  
500
1000 2000
                    1 1.4 2 2.8 4 5.6 8 11 16 22 32
1000
2000 4000
                      1 1.4 2 2.8 4 5.6 8 11 16 22
2000
4000 8000
                        1 1.4 2 2.8 4 5.6 8 11 16

なお、EV は下記のようにも表記できます。Av, Tv, Iv は整数。

 EV = Av + Tv + Iv

絞り値 1 1.4 2 2.8 4 5.6 8 11 16 22 32
計算 式 20/2 21/2 22/2 23/2 24/2 25/2 26/2 27/2 28/2 29/2 210/2
Av 0 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10

シャッター速度 4' 2' 1 2 4 8 15 30 60 125 250 500
計算式 2-2 2-1 20 21 22 23 24 25 26 27 28 29
Tv -2 -1 0 1 2 3 4 5 6 7 8 9

ISO 50 100 200 400 800 1600 3200
Iv -1 0 1 2 3 4 5


●アンダーとオーバー●

普通に撮ったのでは、暗く写る場合をアンダー、明るく写る場合をオーバーと言う。
露出を適正にするには、露出アンダーはプラス補正、露出オーバーはマイナス補正をする必要あり。

 
 
必要な補正 絞 りで 補正なら シャッ タースピードで補正なら
アン ダー 逆光時の人物写真など +1.5
1〜1.5 段
開く
1〜1.5 段
遅くする
桜並木・帆船・滝 +1.0
雪景色 +1.5
オー バー 順光時の人物写真など -0.5
0.5〜1.5 段
絞る
1〜1.5 段
早くする
黒い被写体
-1.0
沈む夕日
-1.0

注) EVは プラス補正すると値が小さくなる。つまり、EV 10 を +1 補正すると EV 9 相当になる。ちょっと紛らわしい。


●光量と段表示●

光量が2倍に増える、もしくは 1/2 に減る、こうした光量比を「1段」と表現する。
絞りならば 1.4 倍ずつ(1.42 = 2なので)の増減を1段開く、1段絞る、という。
シャッター速度ならば 2倍ずつの増減を1段遅くする、1段速くする、という。

カメラによっては補正ダイヤルが付いているが、これには次の2種類の表示があるようです。

光量表示
4
2
1
1/2
1/4
段表示
+2.0
+1.0
0
-1.0
-2.0


●増感と減感●

ISO 100 フィルムを ISO 200 として使用したら +1 増感、ISO 400 として使用したら +2 増感として現像。

針穴カメラを使用するときは、感度をあげるために増感して使用することが多い。また、トイカメラなどでは、シャッターと絞りが固定なので、その日 の天気次 第では、増感、もしくは減感で露出を適正にすることがある。

減感をよく行うのは、昔のカメラ。高速シャッターがついていなかったり、速度がでなかったりするが、もともと昔のフィルムは感度が低かった。だか ら、減感 して使用する方が使いやすい場合もある。手ぶれはしやすくなるけれど。

-2減感
-1減感
元フィルム
+1増感
+2増感
+3増感
12.5
25
50
100
200

25
50
100
200
400
800
100
200
400
800
1600
3200


●相反則不規●

夜間や針穴カメラなどで長時間露光をする時は、計算値よりもさらに長めの露出時間が必要。

相反則というのは、絞りとシャッター速度の関係(EVの式)が保たれている状態のこと。ところが、極端に光量が少ないときは、フィルム面で光に対 する化学 反応が起こらなくなるため、この相反則が崩れてしまう。これは閾値のようなものがあるのだと考えればわかりやすい。

大体、計算上で1分以上の露出になるときは、相反則不規が起こりやすく、さらに長めの露出をするのが普通で、この加減はフィルムについいてくる データシー トを見て決める。

ただし、フィルムの進化も著しく、富士のプロビアなどは相反則不規が起こりにくい。


●反射率●

明るい色、暗い色、赤、青、黄色など、いろいろな色があるけれど、写真を撮るときには、光の反射率の方が大事。

普通、反射率18%のものを基準にして露出を決めている(標準反射率)。これは灰色や緑の反射率。
従って、これよりも明るい色、暗い色は補正が必要になる。表にすると次の通り。

反射率(%)
色(目安)

補正値
90
純白、銀色
+2.5
72
白い花、雪景色
+2.0

黄、淡いオレンジ、淡いピンク、桜
+1.5
36
女性の顔、濃いオレンジ、逆光、夜 景
+1.0

黄緑、濃いピンク
+0.5
18
灰色、コンクリート、緑、手の甲、空、海、赤土
0

濃い赤、濃い緑、夕景
-0.5
9


-1.0



-1.5
4.5
黒っぽい物、藍色、紫
-2.0
3
純黒
-2.5

反射率が倍になると補正値が+1段になる。反射率というけれど、単純に光量の増減を意味していると考えればわかりやすい。
スポット測光するときなどは、撮りたいものの近くにある灰色や緑色のもので測光すると適正露出を取りやすい。


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