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98時代の参考書



1986年の NEC PC-9801F (キューハチ初号機)に出会ってから、私の手元にはいつもパソコンがありました。当時は今のような Web はありませんし、パソコン通信の時代でもありませんでしたから、本や雑誌、それからショップなどでの情報が全てでした。

今でしたら、わからないことがあれば、Web 検索で短時間でわかる。でも、その頃は、必要な本や雑誌はそういう本を置いてある本屋に行かねばなりませんでした。ですから、本屋にもよく通ったし、本屋 でもかなりの時間をかけて本探しをしていました。足が棒のようになったこともたびたびでした。

そうやって必要なことが書いてある本を見つける。買って帰る。隅から隅までしっかり読む。そして、何かあるたびにその本 を取り出して、また読む。解決しなければ、また本屋に行く。

考えてみた ら、PCのハードやソフトより、本にお金や時間をかけていたかもしれません。だからかもしれませんが、PC-9801そのものが無くなっても、未だに当時 の本は手放せない。

今や、どれも古文書のようなもの。ごく一部ですが、並べてみました。感謝の気持ちを込めて。

注)タイトルを 「98時代の」としましたが、「Web や パソコン通信以前の時代の」という方が適切かもしれません。

藤田英時・幸田敏紀 共著  
「PCーTechknow 9800」 
システムソフト 1985

何と言っても、筆頭はこれでしょう。すばらしい 本でした。PC9801シリーズのメモリマップ、マシン語の呼び出し方、漢字ROMの読み方、フロッ ピーディスクの構造、テキスト画面、グラフィック画 面、キー入力、プリンタコードなどなど、高度な内容がわかりやすく紹介してありました。

別冊OAパソコン  
「PC-9800 解体新書」 
電波新聞社 1985

V30 搭載のVM2 発売に合わせて発刊された本。PC9800 シリーズの流れや、新しい記憶装置であったフロッピーディスクのフォーマットの方法、NEC が始めようとしていたネットワーク C&C VAN の説明など、当時の最新の情報がわかりやすく、簡潔に書かれていま した。
「標準MS-DOSハンドブック」
アスキー出版局 1984

黒本と呼んでいたMS-DOSのバイブル。さまざまなコマンドの紹介、バッチの書き方、システムコール などが豊富 な事例と共に 書いてありました。
「dBASE III plus 必携バイブル」
技術評論社 1988

この本は 「dBASE II バイブル」  「dBASE II 新約バイブル」 に 続く第3弾。いずれもよく読みました。
吉野敏也・大川英明
「Quick BASIC マイティリファレンス−N88-BASIC ユーザーに贈る−」 
ラジオ技術社 1988

副題どおり、まさに N88 BASICユーザーにはありがたい情報が満載。これのおかげで、N88-BASIC から、Quick BASIC の移行がずいぶん助かりました。


月刊誌 「The BASIC」 ザ・ベーシック 

愛称はざべ。掲載されるプ ログラムは、何とも刺 激的なものが多く、本当に隅から隅まで 読んでいました。N88-BASIC(86) の日本語化とか、シャープのポケコン PC1601のアセンブラなどはびっくりしました。プロテクト破りの記事もしばしばあって、ややマ ニアックというか、アウトロー的な要素もあった雑誌。読 者投 稿も受け付けていて、自作のプログラムを2度も掲載してもらえたのは嬉しかった。

月刊誌 「ASCII」 アスキー 

ざべとは違い、機種は PC98に限らず、FMで も、MSXでも、ポケコンでも、Macでも、何でもあり。ソフトも、ゲームからビジネスまで何でも あり。新 しいパーツや規格の情報も大概はこのアスキーから得た。ざべ、アスキー、そして日経バイトの3つは 何かとよくお世話になった。ただし日経バイトは図書館で 読んでいて、自分で購読することはなかったけれど。

「月刊ASCII を256倍使うための本 vol. 1 」
月刊アスキー1989年12月号付録

用語集。よく出来ていた。用語集の付録は月刊アスキーの定番付録となるが、これがその 最初だったと思う。また、現在の web 版アスキー用語辞典の原点ともいえるものだと思う。

「月刊ASCII を256倍使うための本 vol. 2 /パソコン便利ブック」 
月刊アスキー1991年1月号付録

ASCIIコードやエスケープシーケンス、プリンタ制御コード、バッチの書き方、 SEDやGREP, AWK などが書かれていて、重宝した。今でも時々、見ることがある。

川村 清 
「技術者が語るプログラミング 言語の世界」
秀和システム 1985

FORTRAN, COBOL, APL, LISP, PROLOG, ALGOL, BASIC, PL/I, FORTH, PASCAL, C, PL/M, ADA, などさまざまな言語を紹介。今となっては、その多くが廃れてしまったけれど、この頃は、どの言語が伸び ていくのだろう、将来性があるのだろう、などとわく わくしながら読んだ。

増淵 文人(監修) 
「技術者が語る ハッカー用語辞典」 
秀 和システム 1986

技術者が語るシリーズの中でも最も面白かった本。ピアス「悪魔の辞典」のような感じで いろんな用語をブラックユーモアたっぷりに解説していた。無論、役に立たない本であるが、笑えた。スト レス解消にもなった。例えば、「ハニリイト」という 項目。解説は「悪魔の呪文。これを打ち込んで Syntax Error を出したハッカーは、しばらくのあいだ自己嫌悪に陥ることとなる。」など。ローマ字入力ができなかった 時代の笑い話ですけど、いや、笑いました。一種の自 虐ネタ的なものが多くて、なかなかでした。付録のハッカーレベル診断テストもけっこうツボを押さえた設 問ばかりで冴えていましたね。

斉藤由多加 
「街の冒険マック」 
アップルコンピュータ 1995 (非売品)

apple ストアでもらった本。斉藤さんというのは「タワー」というゲームのデザイナー。仕事や遊びでいかに power book を使っているかを淡々と書いていた。マック関係の本の中では、一番印象を受けた。

片山 裕 
「SED パズルブック」
インプレス 1993

SEDの面白さを存分に教えてくれた本。といっても、後半になるとさすがに難しくて、 ながめるだけになってしまった。しかし、この本のおかげで、スクリプト言語の使い方が理解できたように 思った。自分にとっては忘れられない本。


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