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98時代のツール



NEC PC-9801 (キューハチ)の時代は、ユーザーの多くが自分でソフトを作ったり、たがいにそれを交換しあう時代でもありました。プログラムを組む力が無くても、打ちこ む程度のことはできるよ、というユーザーも多く、パソコン雑誌などに掲載されるプログラムコードを丹念に打ち込んで実行し、バグ 取りなどをしながら、楽しむような文化でもありました。

PC-9801 のOSには、スタンドアローンとMD-DOSのふたつがありましたが、どちらもテキストベースでしたから、いろいろと不自由だったため、多くの「ツール」 や「ソフト」が開発されました。

「結局はこればかり使っていた」というソフ トもありましたし、たまにしか使わなくても「ありがたかった」ソフトもありました。私にとっ てのよいソフトとは、覚えやすく、わかりやすく、ファイル構造がシンプルなものです。

一太郎とかワードスターなど、メジャーなものは置いておいて、ここでは「ツール」と呼ばれたいわば単機能のソフト群をリストしよ うと思います。

[M] = Maker's software、[P] = Pablic domain software、[F] = Freeware、[S] = Shareware

■1.PC9801 初期:  1983年〜

Baby Maker
[M]
プロテクト解析ソフト。 さ まざまなフォーマットがあり、それを解析したり、書き換えたりすることを覚えた。
T [P]
ファイラー。 ファイル名もシンプルなら、操作もシンプル。しかし、機能は必要十分であった。テキスト・ビューアとしての機能が特に 使いやすく、ファイル名の"T"というのも Text から来ているという話だった。テキストを読むのに DIR, CD, TYPE といったMS-DOS コマンドを組み合わせて使うのが普通だった自分には、その高い操作性と機能には感嘆した。さらには、このすばらしいソフトが PDS (著作権を放棄したフリーウェア)であることに驚異と感謝を覚えた。フリーウェアなどを使ったり、作ったりすること、それを 共有する喜びを教えてくれた。 なお、PDS として配布されていたように覚えているのだけれど、実際はフリーウェアとすべきかも。
Edlin [M] マイクロソフト 純正のラ インエディタ(1行しか編集できないエディタ)。しかし、それでもよく使った。30行ぐらいまでの BASIC プログラムや、バッチ、マクロはこれで作った。Edlin は、人の名字のようであるが、実際には edit line をもじって命名されたらしい。自分もそれでは、とファイル名やプログラム名にちょっとひねった名前をつけるのが結構続いた。
タイピング・マスター [M] タイピングソフ ト。 技術評論社製。私の知る限り、最初に大ヒットしたタイ ピング・ゲームだと思う。ホームポジションをまず覚え、徹底的に練習した。「遅いですね。足で打っているのですか」などと挑 発的なコメントがなかなかよ かった。おかげで燃えに燃えてタ イピングを覚えた。
Dispell!
[F] エプソンから発売された98互換機に対して、NECはエプソン チェック で対抗。このチェックを解除するのが、エプソン製のSIP(ソフトウェア・インストール・プログラム)と、この Dispell!。よく使いました。お世話 になりました。ネーミングもうまいと思いました。
PCCOMM [M] エプソンの PC9801 互換機ノート、note F に最初から付属していた通信ソフト。これがシンプルで使いやすかった。パソコン通信は note F で始めたので、このPCCOMM でいろいろなことを覚えた。ログインの自動化設定などで、通信プロトコルコマンドなども勉強した。

■2.PC9801  後期: 1986年〜

エコロジー II / III [M] ファイラ。マイ クロデー タ製。特にII はよく使った。ディレクトリをツリー構造で表示してくれたのでわかりやすく、またファイルのコピーや移動、削除の際も作業ミ スをしにくい操作手順となって いて、なかなかよくできていた。直接バイナリデータを編集できるのもよかった。
FD [F]  ファイラ。圧縮 ファイル などの解凍をこのFDからできるため、よく使った。先のエコロジーとはうまく使い分けていたように思う。
ISH
[F] バイナリとテキストのデータ変換をしてくれるソフト。下記の LH と共に通信には必須だった。
LH/LHA [F] パソコン通信を するよう になり、様々なソフトをダウンロードし、この圧縮・解凍ソフトのお世話になった。
WX II/III [M] FEP。AIソ フト製。 一 時期、ATOK6 をしのぐ性能を発揮。完全に乗り換えて使っていた時期がある。もともとはWPSというフリーのFEPからスタートしたソフト で、ユーザーの声をよく聞いて くれるソフトだったと思う。
Vz Editor [S]  ある市販エディ タの操作 法になじめずいた自分にぴったりフィットした Vz。作者の制作の動機も同じような理由だったらしい。マクロが強力で、「世界地図表示のマクロ」を初めて見たときには、本当に驚い た。自分でもいくつかのマクロを 書いて利用するまでになった。
XTR [F] 文書整形ソフ ト。テキス トエディタなどで書いたテキストをきれいに整形してくれるソフト。あまりに多くの機能があり、せいぜい1%ぐらいの機能を使 うだけだったが、それでも十分 に満足できる先にも後にもない、特異なソフトであったと思う。
PRT++ [S]  印刷整形ソフ ト。テキス トエディタなどで書いたテキストをきれいに印刷してくれるソフト。ふつうのプリンタで両面印刷できる機能(まず奇数ページだ けプリントした後、偶数ページ を印刷する)はなかなかのアイデアだと思う。この機能はよく使ったし、今では普通のプリンタが純正の機能として備えるように なっているようだ。
Wterm [F] パソコン通信は こればか りを使っていた。テキスト画面だけを使い、簡単なメニュー画面などを作っており、自作ソフトのピジョンホールを作る際に参考 になった。
SED [F] マクロ/スクリ プト言 語。大量のテキストデータの編集をする時にこれが必須だった。SED とは stream editor の略。まさに巨大なテキストを頭から末尾までつるつると読み上げながら条件に一致した文字の置換作業などを一瞬でしてくれる 便利なツール。正規表現もこれ で覚えた。なお、オンラインで入手した 「SED問答」というノウハウ集や、SED の市販本は頭の体操にもぴったりだった。このころ、GREP、AWK、Pearl なども流行ったが、自分は SED でちょうどいいぐらいだった。

■3.Apple/Macintosh:  1992年〜

StuffedIt [M] アーカイバ。 Mac で圧縮といえばこれ。ファイルをデスクトップのアイコンの上にドロップするだけで解凍作業に入るという今では当たり前の動作 を、このツールで初めて見たと きの驚きは忘れられない。
MacLha [F] アーカイバ。 PC98 で標準となっていたLHA形式の圧縮がMacにも。
Kankiri [F] アーカイバ。 PC98 ソフトをMac 経由で落としてきた時などに使う特殊な解凍ツール。PC98 はウェブへの対応が遅れたこともあり、メール添付でPC98用ファイルが添付されていた時などに必須のツールでした。
Eudra J [F] メーラーという ソフトを 意識した最初のソフトでした。しかもフリーで使いやすいソフトでした。今から思えば、シンプルで添付ファイルの圧縮は BinHex だけという状況であり、いろいろと制限がありましたが、1枚のFDにEudra とそのメールデータを入れることができ、設定などが大変楽でした。研究室の共有Macでは、ひとりひとりに、このFDを配 り、メールのやりとりをしても らっていた時期がありました。
NetScape [M] 初めて使ったブ ラウザ。 後に 3.0 Gold でHTML 作成も覚えた。Mac 版に始まり、Win 版、OS/2版と様々な機種で使えたのもよかった。
Fetch [F] FTPソフト。 FTP でのやりとりはこれしかないという時代がありました。
YooEdit [F] シンプルで使い やすいエ ディタでした。
■4.Windows (ごく初期) : 1996年〜

Exproler [M] いわゆるひと昔 前なら ファイラという範疇のソフト。Win95か ら標準付属。このソフトはよくできており、Win 3.1 の時のフラストレーションがやっと解消されました。フリーウェアで もアドインがいくつも作られており、支持されているのがよくわかります。
Font
[M]  Win 95/98 あたりまで付いていたのに、いつの間にか無くなってしまった(多分)ツール。インストールされているフォントを表示してくれるソ フト。
Stirling [F] Exproler はよくできていたが、バイナリデータを直接編集できません。それを補ってくれたのがこのソフト。
Wz Editor [M] ビレッジセン ターが販売 するVzEditor テイストのエディタ。ファイラー機能やGREP機能など、いろいろと機能が付加されていますが、エディタだけをもっぱら使っ てます。
NetScape [M] HTML作成で NetScape (composer) を使っていたため、ブラウザもこればかり。ホームページ作成についてはIBMのホームページビルダーも使った時期がありまし たが、あまりも多機能でなじみ ませんでした。後に、Mozilla となり、SeaMonkey になります。
Becky! [S] いつの間にか、 Win でのメーラーはこれに落ち着きました。簡素なヘルプやマニュアル無しは結構しんどいが、操作系は明瞭で使いやすい。ユーザー サイドのWebサイトも有益。
DDwin
[F]  電子ブック・データを Windows 上で使えるようにできるソフト。留学時代に揃えた電子辞書類をすべて Windows 上で使えるようになり、とても便利になりました。
GetHTML [F] まとめてサイト 上のオブ ジェクトを落とす時に使います。
Ftp exproler [F] ある学会のHP 作成を担 当し、このソフトを多用するようになりました。
Susie [F] さまざまな画像 ファイル をプラグインで読み込めるようなるビューア。操作がわかりやすい。
Icon めーかー
[F]  ソフト作成の際の必須作業、 アイコンの作成に使います。単位計算シリーズなど漢字をモディファイ したアイ コンを作ることができるソフトは案外少なくて、重宝しています。

■5.Windows (少し経ってから): 2004年〜

Skype
[F]  PCでできる無料IP電話。 画期的だった。これを使うためにすべてのマシンをXPにバージョン アップして いく。2004年秋から使い始めた。論文の修正などを遠いところにいる共著者と行うのに最も便利なツール。
メモ帳++
(memoPP)
[F]  Windows 純正のメモ帳にそっくりだけど、文字コードを切り替えたり、全角半角を自動変換できたり、タグの中身を変換できたりする優れモ ノ。CGI をやるようになって出会ったツール。
MPEG encoder 7.0
[M]  Honest technology 製。動画のエンコードを変換してくれるソフト。400 MB 近くあった AVI ファイルが 70MB 程度の MPEG になった時は感動しました。このソフト、多機能ではありませんが、インターフェースがいいです。
Lhaplus
[F] ファイルの圧縮・解凍ツール。
Piper
[F] Grep, SED, AWK を自由に使うための支援ソフト。自分の作ったソフトだからというわけではなくて、ホント、よく使います。
時間電卓
[F] 「"展覧会の絵"の展覧会」のHPで演奏時間を計算するのに必 須のソフ ト。こんなソフトが欲しかった。
Singer Song Writer
[M] 音楽好きが高じてついにDTMをかじり始める。これまで、全然 知らな かったので、打ち込みや楽譜作成などだけでも、あまりに充実していて、びっくり。PCの機能がこれで大きくアップ。
Cool Edit Pro
[M] Roland UA-30 という音声デジタル変換器についてきた音声編集ソフト。関係していた合唱団のCDを作るために買ったのだけれども、そのあとも、 町内会の盆踊り用CD作成や、OSCEのための音声(アナウンス)ファイル作成で活用した。
外字フォント屋さん
[F] 仕事で外字を扱う必要が生じ、このソフトに出会いました。 Win 版だけでなく、コマンド版もあって、とても重宝しています。また、ソフトとしてのまとまりの良さに感心しています。

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