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休八写真館アクセサリー室(GM線量計)

SOEKS-01M



SOEKS-01M 大学4年生の時に卒論で非密封線源を用いたラベル実験をしていたこともあって、GM線量 計(ガイガー・カウンター)には馴染みがあった。だが、放射線測定器は個人で持つにはあまりに高価で、持っていたのは秋葉原の秋月電 子通商で購入した小型 GM管(長さ3cmほどのガイガー・ミュラー管)を使った組み立てキット品だけだった。

しかし、2012年3月11日の東日本大震災では、福島の原子力発電所がメルトダウンし、放射能漏れが起こった。ある程度、感度の良い小型の 線量 計が欲 しくなった。入手したのは、この SOEKS-01M である。

SOEKS-01M は、操作が簡単でしかも計測が早い。液晶画面もわかりやすくキレイだ。特に起動画面と終了画面は木の葉をモチーフにしたデザインでしゃれていると思う。何 よりも小型軽量で凹凸が少なく、携帯しやすいのがいい。音量を最低にし、液晶のバックライトなどの設定も省 エネにしているせいか、電池 (単4電池2本) の持ちも案外よい。電池が入手しやすいことと持ちがいいのも携帯に向いている。

背面のスリットから見ることができるガイガー・ミュラー管(GM管)は、ボディに入る最大サイズの大きさで、感度と精度の良さを期待できる。 GM 線量計の値段は、ひとえにGM管の大きさに依存するのであるが、この大きさでこの価格は相当にお安いと思う。線量は数字で示されるが、設定で定め た線量を越すと表示色が緑から、黄色、赤と変わる。また、GM管線量計らしく、放射線をとらえた瞬間に電子音 が鳴る。

幸い、自分の生活圏や通勤路では、気になるような数字は出なかったが、思いがけず、けたたましく鳴ったことがあった。机の上に置いたちょっと 古い レンズに反応していた・・・・アトムレンズだったのだ。

アトムレンズとは、放射線を出すレンズの俗称で、硝材として使われた酸化トリウムが原因である。高い屈折率が得られることが1948年に報告 さ れ、1950年前後の高性能レンズに使用された。健康を害するほどの線 量ではないという。ネットなどでリストされていたアトムレンズは下記のとおり。
Canon FL 50mm F1.8

Leica Summicron 5cm F2
旭光学 Super Takumar 50mm F1.4 (1967年以前のもの)
Kodak Ektar 80mm F2.8 (1948年製、Hasselblad 1600F用)
Kodak Ektar 135mm F3.5 (1948年製、Hasselblad 1600F用)
自分の所有しているアトムレンズは下記のとおりである。
Zeiss Jena
Biometar 80mm F2.8
S/N 66*****
P6マウント (フロントで 0.95μSv/h)
旭光学
Fish-Eye-Takumar 18mm F11
S/N 81**** M42マウント (フロントで 2.28μSv/h)
旭光学 SMC Takumar 55mm F1.8
S/N 46***** M42マウント (リアで 8.36μSv/h)
Canon
FL 58mm F1.2
S/N 20*** FLマウント (リアで 7.0μSv/h)
測定は、フロントとリアで行い、大きい線量の方を記した。また、測定値は補正をかけていないので、やや大きく出ている。Biometar は、新旧ふたつ持っているのだが、古い方(Prakti Six 装着)だけがアトムレンズで、新しい方(Pentacon Six 装着、ゼブラ柄)は非アトムレンズだった。Biometar といい、Fish-Eye-Takumar といい、FL 58mm F1.2 といい、いずれもお気に入りのレンズだったのでちょっとびっくりした。

追記1: Sv (シーベルト)は線量当量を示す国際単位。1 シーベルト=100 レム=100 レントゲン。線源の強さを示す放射線の単位(ベクレル)に対して、生体が受ける影響の単位。その場所で受ける放射線の量を測定し(吸収線量、グレ イ Gly)、それを特定の線源に換算して影響を数値で示すものである(=線量当量)。本来は、線源の種類を特定して換算すべきものだが、本文で書いたよう に、一般には、線源をセシウム137(日本)またはコバルト60(ヨーロッパ、ロシア)に想定して計算することが慣例になっている。

追記2: 先行機である Soeks-01C などは基準をコバルト60にしていたようだが、01Mはセシウム137を基準としているようだ。ただし、mR から、μSv (mcSv) に換算するときに数字の丸めが起こっているので、正確には、下記の校正が必要(引用元はこちら)。
正確な μSv 値 = Soeks の示す μSv 値 X 0.933 - 0.08  (0.2μSv以下の時は、測定値 - 0.1 で概算できる)
追記3: 自然放射線は年間平均 2.4mSv。自然被曝と医療被曝を除いて、一般公衆の年間被曝限度は 1mSv。100mSvの放射線を受けると発がんのリスクが 1 %高まる。1時間あたり、11 μSv 以下であれば安全という。ただし、体の部位によって放射線の影響の違いがあり(=耐性の違い)、臓器ごとに係数をかけ て算出する実効線量という単位 (これも Sv で表記) もある。

発売年
2011年  愛着度★★★
型 式
ガイガーミュラー計数管
測定 線種
ベータ線β線、ガンマ線γ線、エックス線X線
性能
ガンマ線量当量率: 0.03〜99.99μSv/h
ガンマ線エネルギー範囲: 0.1〜 MeV
測定値が安定するまでの必要時間: 10秒以下
使用周囲温度:
-20 to +60℃
アラーム鳴動閾値: 
0.3 - 100 μSv/h
大きさ・重さ h105mm x w43mm x d18mm  57g (単4乾電池2本を入れて 69g)
関連Web
SOEKS ホームページ: http://soeks.ru/
SOEKS-01M FAQ: http://www.soeks.co.uk/faq.html
SOEKS の校正式: http://d.hatena.ne.jp/geasszero/20111021/1319118740
ちょっクラピンぼけ/Radioactive Summicron: http://www.sky.sannet.ne.jp/seven-ss/camera/summicron50.htm
アトムレンズとは: http://uranglass.gooside.com/atomlense/atomlense.htm


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