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休八写真館中判カメラ室(6x6判)

Voigtländer Perkeo E



Voigtlandar Perkeo E
      / フォクトレンダー ペルケオ E 右手は距離計操 作とシャッター操作。左手はレンズ操作と巻き上げ操作。前蓋の開閉はボタンを押すだ けで、持ち直す必要がほと んど無い。こうした操作性の良さ、取りまわしの良さこそが、ペルケオの大きな魅力だ。

正面から見ると軍艦部に3つの窓がある。左ふたつの丸窓が単独距離計用の窓。もともとフォクトレンダーやライカなどでは小型距離計を別売りで作っ ているの だが、それが組み込まれたものと見なしてよいだろう。背面から見ると一番右端に距離計用のファインダーがあって、すぐ近くに配置されているダイヤ ルをまわ して、二重像を合致させる。距離は上面に表示されるので、これを読み取り、レンズの距離を合わせる。

距離計とレンズが連動していないのは不便だが、それでも有るのはありがたい。大体が目測で写真を撮ることになるが、時々、距離をつかめない時もあ る。それ に 80mm 標準レンズでは絞りを開くと被写界深度が浅くなり、距離あわせがシビアになるからだ。

スプリングカメラはハンドカメラから派生したカメラで、1920年代末から作られ始め、1930年代に優れた機種がいくつも現れた。ペルケオ E が作 られた1950年代は、いわばスプリングカメラ終末の時代 であって、カメラの趨勢はレンジファインダーや一眼レフに移りつつあった。距離計や露出計を組み込んだ高機能なスプリングカメラも登場したが、大 きく重く なることが多かった。つまり、小さく収納でき、組立も簡便というスプリングカメラの美点が機能重視によってスポイルされてしまっていた。この点、 ペルケオ はスプリングカメラとして の 本分 を守り、機能よりも小型・軽量・簡便であることを優先したカメラだと思う。

フィルムの装填部分はかなり精巧な作り。 アクセサリーシューと X 接点もありがたい。それから、測距窓ふたつ の間に Voigtländar のロゴが入っているが、これ以前(Perkeo I / II)にはなかったもので、横長のロゴがいい感じで収まっており、これもペルケオEの魅力だと思う。デザインはシンプルで収納時も撮影時も飛び出 し部分な どがほとんど なく、おさまりが非常によい。細部にわたってクオリティの高い仕上がりになっている。

ちょっとした旅行や遠出の時にカバンに入れていきたくなる。気負わずに持っていける。そんなカメラだ。

追記1: ペルケオはイタリアからドイツのハイデルベルク城に来ていた「こびと」の 名前。お 城のお抱え道 化師だったが、大 酒の み でもあって、晩年は酒樽の番人を していたら しい。でも、こ れって、猫にカツオ節の番をさせるようなものだけど・・・。

追記2: 1930年代に作られた最初のペルケオはベビー判 (4x3cm) で354g と最軽量だった。中判 6x6 に生まれ変わったのは1953年で、 スコパー 80mm F4.5 を使った I 型と、同 F3.5 を使い自動巻止めを加えた II 型があった。そして、1955年に自動巻止めの替わりに距離計を組み込んだ E 型が発売された。

追記3: ややホールディングが悪く、手ぶれをすることがある。蛇腹があるため、左手でレンズをホールドしにくいからだ。扉が下に開いて くれるとホールド がもう少しよくなると思う。無論、6x6 なので、タテ撮りもできるのだが、すると左手はいいものの、今度は右手が不安定になってしまう。

発売年
1955年   愛着度★★★★
型 式
中判フィルム 6x6cm/スプリングカメラ
レンズ Color-Scopar 80mm F3.5
シャッター Synchro-Compur  B, 1, 1/2, 1/5, 1/10, 1/25, 1/50, 1/100, 1/125, 1/500
測 光/ 測距
なし/単独距離計あり
ファ イ ンダー
ビューファインダー、測 距ファイ ンダー
フィ ル ム交換
1.使用済みフィルムが ある時 は、左上の巻き上げノブで全部巻き上げる。
2.留め金を外して、背面を開ける。フィルムを取り出す。
3.古いスプールを巻き取り部に移して、新しいフィ ルムをセット。背面閉じる。
4.巻き上げノブを回して、フィルムを巻きあげる。
5.赤窓に1が出たら、撮影開始。
大きさ・重さ w125mm x h88mm x d95mm (収納時 d42mm) 573g
参考 web
Voigtlander Pekeo: http://www.ukcamera.com/classic_cameras/voigt16.htm
Perkeo's at wiki media: http://commons.wikimedia.org/wiki/File:Wine_cellar_heidelberg_perkeo.JPG
クラシックカメラ / Perkeo のページ: http://www.cosmonet.org/camera/perkeo.html
参考文献
川又正卓・山嵜省一 「スプリングカメラでいこう」 写真工業 2004年
藤田広一, 「世界のスプリングカメラ−フォクトレンダー」, クラシックカメラ専科 No.8 pp38-43 (1986年)

Voigtlandar Perkeo E / フォクトレンダー ペルケオ
              E

D51型蒸気機関車。東京・上野の国立科学博物館で。  
Color-Scoper 80mm F3.5/ RDPIII

Voigtlandar Perkeo E / フォクトレンダー
              ペルケオ E

モクレンの花。東京・隅田川沿いの隅田川テラスで。  
Color-Scoper 80mm F3.5/ RDPIII

Voigtlandar Perkeo E / フォクトレンダー ペルケオ E

ヒガンバナ。金華山下の岐阜公園で。最近接撮影。  
Color-Scoper 80mm F3.5/ RDPIII
Voigtlandar Perkeo E / フォクトレンダー ペルケオ E

愛媛・道後温泉。朝の開始時には、鐘楼の太鼓が叩かれる。
Color-Scoper 80mm F3.5/ RDPIII


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