© 2001-2024, Kyu-hachi TABATA updated on  2011/04/28

休八写真館中判カメラ室(6x6判 二眼レフ)

F&H Rolleicord I



F&H Rolleicord I
      / ローライコード I 何か新しいことをしたくなって、ある朝、このカメラ を持ち出した。

オークションで安く入手したものの、あちこちに問題があって、ファインダーレンズの距離調整が済んでなかった。それでも、撮影用レンズの距離調整 は済んで いたので、距離目測でシャッターを切る。半分長さの試写 用フィルムを 使ったので数枚で初めての撮影が終わった。現像をして、フォーカス、コマ間隔、シャッタースピード、絞りなどの精度を確認した。

やはり、ファインダーのフォーカスが問題だ。ファインダーレンズを少し手前に出し、斜めにかしいでいるのを直さねばならない。面倒な作業かなと思 いなが ら、フロントパネルを外す。すると、意外にもシンプルな作りで、割とあっけなく直すことができた。仕組みを考えながら、修理・調 整をしていると、愛着もだんだんと増してくる。誰かのものであったカメラが自分のカメラになってくる。

ローライコード I は普及版ローライ。

だから、フィルム巻き上げはクランクでなくて普通のノブ。フィルムストップもなくて赤窓とカウンターの併用。撮影用レンズは 3枚構成のツァイス・トリオター。外装は革張りではない。それでも、アール・デコ調のパターン金属板やパララックス補正があって、手を抜いて作ら れたカメ ラではないことがわかる。単純化され ているけれど精巧で堅牢。奇抜なデザインであるけれど精緻でシック。

二眼レフの世界は、フランケ&ハイデッケ(F&H)のローライフレックスによって作られたと言ってよい。そして、多くの模倣カメラが出 る中で、本家の F&H が新しい二眼レフ、ローライコードを世に出した。ローライコードは速写性、軽量性、操作性などで優れ、ローライフレックスと共に、多くの二眼レフ カメラの 手本となった。

こういうカメラに触れているといろいろな発見がある。モノを作る人々の気持ちが伝わってくる。いっそうカメラや写真が好きになる。

追記1: 革張りにするところを飾り金属板で覆っている。俗に「金ピカコード」と言われるが、1934年の I 型マイナーチェンジモデルで一般的な黒になったので、わずかに1年間だけの製造であり、孤高のデザインとなった。ローライコードは、II 型、III 型・・・・と後 継機が作られ、Va 型, Vb型ではさまざまな撮影サイズや35mmフィルムにも対応できるようになって(要オプション)、ローライフレックスとは異なる機能のカ メラとしてさらに 発展した。

追記2: フランケ&ハイデッケ社 (F&H)、現在 のローライ社は1920年の創業。1921年にハイドスコープ(三眼ステレオカメラ)を、1929年にローライフレックス(二眼レフの最 高峰)、1933 年にローライコード(二眼レフの普及版)などを発売した。二眼レフメーカーの雄だが、1966年のローライ35、1974年のローライ A110も有名だ。

追記3: 革の速写ケースが付いていたが、ケースから出して撮影していると赤窓からの感光がしばしば起こっていた。本体のみで使用すると きは、遮光の工夫 が必要だ。私はマグネットシートと植毛紙を貼り合わせたモノで赤窓部分を開閉できる遮光シートを作って利用している。

発売年
1933年   愛着度★★★
型 式
120フィルム  6x6cm/レ ンズシャッター/二眼レフ
レンズ ファインダー用: Heidoscop Anastigmat  75mm
撮影用: Carl Zeiss Jena Triotar 75mm F4.5
シャッター Compar 1/300〜1/30, B, T
シンクロ接点
測 光
なし
ファ イ ンダー
マット式スクリーン
フィ ル ム交換
1.使用済みフィルムが ある時 は、右上面の巻き上げダイヤルを使って巻き上げる。
2.背面を開けて、フィルムを取り出す。空スブールを巻き上げ部に移す。
3.新しいフィ ルムを装填。背面を閉じる。
4.巻き上げは右正面の巻き上げダイヤルを回す。底面の赤窓に1が出るまで回す。フィルムカウンター基部のボタンを押して、カウ ントをリセットする。
5.シャッターを切ったあとは、フィルムカウンターを見ながら巻き上げて撮影していく(底面の赤窓は 6x9 のフィルム位置なので2枚目以降は合わないので注意)。
大きさ・重さ w86mm x h132mm x d90mm  (ファインダー展開時は h195mm) 860g
関連 web
二眼レフ里程標/ローライコード I のページ: http://www.tlr66.com/pqrst/rolleicord1.php
参考文献
村井龍一, 「ローライコードVa型」, クラシックカメラ専科 No.2 p110 (1980年)

F&H Rolleicord I / ローライコード I

北鎌倉・円覚寺。奥まったところにあった仏さま。 
Triotar
75mm F4.5 / RDP III
F&H Rolleicord I / ローライコード I

鎌倉市・大船観音。25mの胸像。表情が美しい。
Triotar
75mm F4.5 / RDP III

とびら へ 前へ  次へ
↑ トップへ