updated on 2020/01/04

休八写真館＞中判カメラ室（6x6判）

Balda Super Baldax

Super Baldax は、スプリングカメラでありながら、レンジファインダー、二重露出防止、フィルムの自動巻き止め、フィルムカウンターを備えたハイテク機。各部の作り込みは丁寧で、キャストと板金を巧みに使い分けている。右にシャッターボタンがあるのもよい。

Balda 社はスプリングカメラを得意とする会社で、1939年には名機 Super Pontura を世に出している。だが、戦後、ドイツの東西分割などで会社も分割され、ドレスデンからビュンデに移転して、カメラ製造を続けた。そして、1959年に出した高級機がこの Super Baldax で、細部に作り手のこだわりが見られるカメラである。

フィルム装填は左右ともにスプール受けの枠がポップアップして、留め具の一方が開くようになっている。これによってフィルムを遊びなく装填でき、フィルムのがたつきが防げるし、無駄な空間が減る。巻き上げは左上のノブを回すが、右回りと左回りを交互に行いながら行う。しかも左回りの時にはクリック感がある。まるで、ゼンマイ式腕時計の竜頭（リューズ）のようで、なかなか便利でありユニークでもある。

フィルムを入れて、最初の1枚目だけは、注意が必要。まずは、背面の赤窓を見ながら巻き上げノブを回していくが、1枚目のマークが出たら、背面の小さなレバーを押し込みながら巻き上げノブを左回りに回す。するとカウンター表示が１になり、これ以降は、フィルム巻き上げが自動巻き止めになり、かつカウンターも回ってくれるので、赤窓を覗かずに巻いていける。使い方は2-3本もフィルムを使えば、マスターできる。大変、便利な仕組みである。ただし、私の個体は後半になるほど、フィルムの間が寄ってきて、わずかにかぶることもあった。

レンズ部の開閉は、距離計が無限遠にないとロックがかかる仕組みになっている。巻き上げとシャッターチャージのどちらかが抜けていたら、シャッターはロックされるのも便利である（二重露出防止）。焦点距離の操作ノブは大きくて使いやすい。不満なのは、絞りとシャッターのダイヤルが合わせにくいこと、レンズの描写力がやや足りないことだろうか。操作性はかなりよくて、楽しいカメラである。

追記１：　レンズが4種類、レンズシャッターにも3種類の組み合わせによって、何通りかあった。

追記２：　背面のファインダー左にある小さなレバーは、フィルムカウンターを戻すときに使う。レバーを右に押した状態で、巻き上げノブを反時計回りに回していくと、カウンターが１に戻る。

追記３：　背面のファインダー右にある直径5mmのネジは、レンジファインダーの調整用。このネジ自体はフタの役目をしていて、はずすと中に小さなネジ頭が見える。これを左右に回すことで、レンジファインダーの位置あわせができる。私の入手した個体は無限遠が合ってなかったので、ここで調整。

追記４：　バルダ社は、Max Baldeweg が1908年にドレスデンで創業。戦後は西独のビュンデに移転して、カメラ製造を続けた。Balda 61, Gloria, Idear, Baldina, Super Pontura などのカメラがある。

発売年	1959年ごろ　　　愛着度★★★
型式	中判フィルム 6x6cm 距離計つきカメラ
シャッター	Prontor SVS　1/300～1秒、T
レンズ	Balda Baldanar 80mm F3.5
測光	なし
ファインダー	二重像合致方式レンジファインダー
フィルム交換	１．使用済みフィルムがある時は、上面の巻き上げレバーで全部巻き上げる。２．左側面のレバーを押しながら背面を開ける。３．巻き上げノブを引き上げ、フィルム押さえを引き出して、フィルムを取り出す。４．古いスプールを巻き取り部に移して、新しいフィルムをセット。５．巻き上げは左上面の巻き上げノブで行う。左に巻いてから、右に巻く。６．背面の赤窓でフィルムの１枚目が出たところで巻き上げノブを背面にある小さなレバーを右に押しながら、巻き上げノブを左に巻くと、フィルムカウンターが1になる（＝リセットできる）。
その他	ホットシュー、X接点あり。セルフタイマーあり。
大きさ・重さ	w141mm x h103mm x d101（50）mm 690g
参考文献	川又正卓・山嵜省一「スプリングカメラでいこう」　写真工業 2004年
参考 web	軽くて使いやすい 6x6 判カメラ　スーパーバルダックス http://nikomat.org/priv/camera/baldax/index.html

冬の神代植物公園。カルガモやコゲラがいた。
Baldanar 80mm F3.5 / Neopan SS

八潮橋から見た京浜運河。モノレールが品川へと向かう。
Baldanar 80mm F3.5 / Neopan SS

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