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休八写真館中判カメラ室(6x6判)

Hasselblad SWC



Hasselblad SWC これはかなわない。息を呑むような写真が撮れることがある。

写真を撮るときはかなりの部分を撮影者がコントロールする。構図や明るさや色合いを考え、レンズやフィルムの特性を考えてシャッターを切る。 しか し、その瞬間から後は、カメラやフィルムの仕事である。どんなに考えていても、予定どおりということはなかなかない。でも、うまく一致するのも面 白いし、 一致しないのも面白い。こういうカメラやフィルムとのやりとりが、私にとってのカメラの楽しみでもある。

ハッセル−とりわけ SWC−は、予想以上の写真を撮ってくれるカメラだと思う。「人知を越えた」といっては大げさかもしれないけれど、 「こんなにキレイだっ たっけ」という風景になることがある。多分、人間のその場で感じることのできる以上の情景−色や精密さ−を記録できるカメラであり、フィルム特性 の全てを 引き出して、そ の時の最高 の写真を撮ってくれる。

私の手に入れた SWC はクローム仕上げで、ポラロイド対応の改造がされていない無垢のボディだった。クロームの鏡筒には小傷が目立ったし、グッタペルカも剥がれかけて いたけれ ど、レンズもファインダーも水準器用のプリズムも不思議なぐらいきれ いだった。

このカメラはどんなところに行って、どんな写真を撮ってきたのだろう。カバンの中は、他にどんな機材があったのだろう。そんなことを考えるの も楽 しい。

私は SWC を 503CXと一緒に持ち歩く。レンズを交換するようにフィルム バックを取り替えて、写 真を撮る。交換レンズの画角や特性を考えながら、風景をどの ように写 すか考えながら歩く。ハッセルの一日になる。

追記1: SWCは、ファインダーと三脚プレートが当たるためにポラロイドバックが 装着でき ない。そこで、これらの位置を少しだけずらした改良がされたのが SWC/M であり、同時に、SWC のポラロイド対応の改造サービスも実施された。そのため、多くの SWC が SWC/M に改造されたという。

追記2: レンズの焦点距離表示はfeet/inch だけなので、cm/m 表示の帯を作って貼り付けた。グッタペルカも自分で修復した。

追記3: ハッセルのレンズ交換の時には、必ず、チャージをしておく必要があるが、フィルムバックの交換の時には、チャージの有無は 関係ない。ただ、必ず チャージをしてから取り替えることを習慣にしていないと、SWC で撮ったあとにそのフィルムバックを 503CX に付けた時など、二重写しをするおそれがあるし、逆に503CX から SWC に交換した時には、一枚空送りをしないといけなくなることもある(フィルムバックを外した状態でチャージすればよいのだけれど)。

発売年
1957年   愛着度★★★★★
型 式
120フィルム 6x6cm/目測/レンズシャッターカメ ラ
レンズ Zeiss Biogon 38mm F4.5
シャッター 機械式レンズシャッター、1/500〜1秒、B
シ ンク ロ接点
VXM接点、ドイツ式コ ネクタ。
測 光
なし
測距
マニュアル。ファインダーで像合致。
ファ イ ンダー
外付けビューファイン ダー。水準 器を見るためのプリズムが付いている。
フィ ル ム交換
1.使用済みフィルムが ある時 は、右側面の巻き上げダイヤルを使って完全に巻き挙げる。
2.マガジン部左側面のダイヤルを半分ねじって、フォルダを引き抜く。使用済みフィルムを取り出し、古いスプールを巻き取り部に 移す。
3.新しいフィルムを入れ、リーダー部を引き出し、巻き取り部のスプールに差込み、巻き付ける。
4.マガジン部左側面のダイヤルを動かして、フィルムの一部を咬みながら、マガジンに差し込む。
5.巻き上げは上面左の巻き上げダイヤルを使い、カウント窓を見ながら巻き上げる。
大きさ・重さ w134mm x h198mm x d153mm 1,310g (フィルムマガジン、ファインダー含む)  
参考文献
藤田一咲, 「気まぐれカメラ BOOK」 玄光社 2007
マニュアルカメラ編集部編 「魅惑のハッセルブラッド図鑑」 竢o版 2009

Hasselblad SWC

東京・晴海埠頭からのレインボーブリッジ遠望。
Biogon 38mm F4.5 / RDIII




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