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休八写真館針穴カメラ室(カメラ・オブスキュラ)

自作のカメラ・オブスキュラ (描画用)



Camera obscura
                #2
Camera obscura

Camera Obscura for sketch

隅田川・永代橋とカモメたち。
Casio Exilim EX-ZR100 でスクリーンをマクロ撮影。
Camera Obscura for sketch

隅田川をゆっくり上る電動ボート。
Casio Exilim EX-ZR100 で
スクリーンをマクロ撮影。
2012 年6月から、マウリッツハイス美術館展が東京都美術館で開催されたのを機会にコクヨから面白い商品が発売された。「フェ ルメールのカメラ箱」という工作セットである。同館での販売用らしい。大いに刺激 され、ネットでの購入を考えたが、キッ ト品では満足できないような気がしてきて、結局、自作することにした。

カメラ・オブスキュラといえば、撮影機能のない針穴カメラが基本であるが、16世紀になって、 レンズと鏡が使われるようになった。レンズで集光できるために像が明るくなる。鏡のおかげで左右逆だが天地正 像が投影されるようになる。遠近法に 基づいた正確なスケッチを描くための道具として利用されたという。オランダの画家、フェルメールもこの道具を 使ったと言われている。

材 料は、100円ショップの虫眼鏡(ルーペ)、透明なアクリル板、ア クリル・ミラー、和菓子の空き箱などである。新規に買ったのはルーペだけ。アクリル・ミラーは結構な値段がするのだが、軽いのと、割れにくいのと、アクリ ルカッターで加工できる点でガラス・ ミラーよりもこうした工作に向いている。幸い20年モノの端材があってこれをめでたく使うことにした。工作時間は4時間ほどである。

前回のカメラ・オブスキュラと同様、外筒と内筒の二重式にしたが、今回 は内筒 を繰り出すようにして、レンズを取り付けた。投影される部分(スクリーン部)はアクリル板をおいて丈夫な構造にした。通常は曇りガラス のような 樹脂性シートをおいて投影像を得るが、トレーシングペーパーをおけば、スケッチにも使える。

フランスのニエプスや ダゲールが銀塩写真を開発するちょっと前の時代の「カメラ」である。針穴式のカメラ・オブスキュラと比 べると、断然明るくて、鮮明な像が得られる。内筒を前後に動かすと、像の大きさはそのままで、 フォーカスを前後に出来る。手前の被写体に合わせて後ろをぼかす、手前をぼかして後ろに合わせる、 といったことが自在にできる。何だかカメラ的になってきた。

針 穴式のカメラ・オブ スキュラでは、針穴とスクリーンの距離を替えるとズーム・イン、スーム・アウトできたのだが、レンズ式だとピント位置を前後できることになる。

写真で表現できない美しさ。言葉で表現できない面白さ。

フェルメールやレンブラントの世界につながっているような気持ちになる。

材料

・段ボール紙: 中田屋のきんつばの箱を再利用。箱は中箱へ、蓋は外箱に。
・レンズ: ガラス製。直径55mm。拡大倍率3倍。焦点距離26cm。(100円ショップで購入)
・アクリル板:透明。2 x 60 x 90mm (端切れの再利用)
・アクリル鏡:2 x 90 x 92mm (端切れの再利用)
・木工ボンド: 速乾タイプを使用。

作り方

1.
外箱を作る。寸法は 95mm x 70mm x 200mm になった。
2.
外箱は二重構造になっていて、その内側部分に 鏡を斜めにとりつける。内側部の上端後ろ側にアクリル板を入れる。外側部で覆うようにしてアクリル板と鏡が動かないよう にする。
3.
中箱を作る。外箱の寸法から、なるべくぴった りで、でも動かしやす い程度に 作る。90mm x 70mm x 135mm。正面のレンズはめ込み部分は段ボール をはさんだ三重構造。段ボールはレンズ直径の穴を開けたが、両側からはさむ厚紙はレンズ直径よりも小さい穴にした。
4.
中箱と外箱を組みあわせて完成。中箱をスライ ドさせるとピントを変えることができる。
5.
三脚取り付けのため、底面に0.1mm厚のステンレス板を貼る。

追加パーツ

[遮光カバー] ス クリーン部の遮光カバーを黒いポリスチレン・シー トで作成。収納時は、オブスキュラの外箱のさらに外側に嵌めておける。
[三脚アダプタ]
かまぼこ板に w1/4の六角ナットを埋め込み、エナメル塗料で黒く塗る。乾いたら、上面にマグネットシートを貼り付ける。底 面に2カ所、輪カンをとりつけて、それぞれに40cmぐらいのゴ ム紐をとりつける。ゴム紐は端で結んで輪にする。途中にコードロックを付けておく。

これらのパーツは、野外での観察用。三脚アダプタで、オブスキュラを三脚に連 結できる。マグネットはあまり強くないので、補強用にゴム紐を使う。また、野外だと明るいので、スクリーン部に遮光カ バーをする。

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