updated on 2012/07/21

休八写真館＞特殊デジタル室（有線カメラ）

Sentech STC-TC202USB (AT)

コアフロント社製セルウォッチャー（Cell Watcher Zoom 200万画素機) という撮影装置をよく使っている。これは倒立型顕微鏡とデジタルカメラを一体化した箱形の器械で、インキュベータに入れて使うようになっており、細胞を培養しながらタイムラプス撮影ができる便利な機械だ。

細胞や器官培養では、その状態把握が非常に大事で、私はそれをタイムラプス撮影で行っている。数分おきに撮影した写真をぱらぱらマンガのように動画にすることで、細胞固有の動きをチェックでき、細胞の状態を容易に把握できるからだ。

手順は次のようになる。

(1) 細胞をΦ35mmやΦ60mmの培養用ディッシュ（プラスチックシャーレ）などに蒔き込む。

(2) これをカルチャーパル（Culture Pal）という培養器(アクリル製の密閉容器)の中に入れる。CO₂を発生するバッグを一緒に入れ、少量の水を水受け部分に入れる。カルチャーパルを密閉する。

(3) インキュベータの温度（37℃など）を合わせ、中にセルウォッチャーを入れておく。制御用のPCでタイムラプスの撮影間隔や枚数、ズーム比率に応じたスケールなどを決めておく。

(4) 細胞ディッシュを入れたカルチャーパルをセルウォッチャーにセットする。撮影したいところにピントを合わせて、タイムラプス撮影を開始する。指定枚数の撮影が終わったら、画像をPC上で動画にして観察する（静止画像は撮影中でも確認できる）。

高価なCO₂インキュベータはいらない。なぜなら、カルチャーパルの中が CO₂ 5% 湿度 100% になっているからだ。普通のインキュベータを使うことで撮影装置の光学系や電子機器への障害がほとんど排除でき、合理的だと思う。また、カメラのリフレッシュレートが高く、画像の取り込み速度も速いため、フォーカス合わせの時などもストレスがない。カラーバランスも撮像の解像度も十分であり、制御用ソフトも良くできていて、精細な動画を簡単に得ることができる。安い器械ではないが、コストパフォーマンスにすぐれている。

このセルウォッチャーに組み込まれているカメラが、Sentech の STC-TC202 である。

これまで、マクロ撮影装置や実体顕微鏡に組み込むデジタルカメラとしては、Trinity の IUC-200CN2を使ってきたが、いろいろと物足りなくなってきて、このSTC-TC202 を単体で購入した。USB端子は後ろに出るタイプ（ST）と横に出るタイプ (AT) の2種があったが、使用方法から考えて横に出るタイプにした。AC5V の電源ソケットがあるが、通常は、USB給電で用が足りるようだ。ドライバと制御ソフトは、セルウォッチャー付属のものでも使えたが、最新版が付属のCD-ROM で付いてきていたので、これと差し替えた。

マクロ撮影装置は、このカメラにCマウントの接写レンズを取り付けたものに、東海ヒットの小型培養装置を組み合わせて作った。実体顕微鏡での撮影も東海ヒットの小型培養装置と組み合わせて行うが、実際のところ、温度コントロールや湿度の維持が難しく、できるだけセルウォッチャーで撮影できるようにすることが多い。

いずれにせよ、カメラは同じなので、撮影ソフトを共通化できるし、画像は鮮明である。

追記１：　Sentech (Sensor Technology) は、1987年創業。神奈川に本社を置く産業用カメラ・メーカー。

追記２：　コアフロントは、新宿に本社を置く研究用・医療用器材のメーカー。Cell Watcher シリーズはコスモバイオの扱い商品でもある。

発売年	20XX 年XX月　　　愛着度☆☆☆
型式	1/1.8型 CCD カメラ
レンズ	C マウント
解像度	200万画素　（1,600 x 1,200 pixel）
撮像サイズ	1688 x 1248 mm
画素サイズ	8.4 x 9.8 μm
S/N比	50 dB
フレームレート	15.32fps
最低照度	1.39 lux F1.2
大きさ・重さ	w51mm x h51mm x d46.1mm 145g (ボディのみ)
参考 web	Sentech：　http://www.sentech.co.jp/index.html Sentech - STC-TC202 のページ：　http://www.sentech.co.jp/seihin/stc-c152usb.html コアフロント：　http://www.corefront.com/ コアフロント - Cell Watcher：　http://www.corefront.com/bio15.html

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