© 1999-2000, Kyu-hachi TABATA
フィンランドの街角 (ヘ
ルシンキだより #24)
24-1 電信柱はほとんどない
ほとんどのライフライン(上下水道、ガス、電気、電話線)は地下に埋設してあります。ですから、街角で見る電線はせいぜいトラム(市内電車)のパ
ンタグラフのための送電線程度。どこに行っても電線が視界に入る日本と比べて、町の景観がきれいでした。
24-2 どこにでも核シェルターがある
どのアパートの地下にも核シェルターがあり、部屋を借りると同時に核シェルターのスペースの一区画もあたえられます。誰でも出入り出来るように
なっており、通常は物置として使用されます。また、場所によってはピクルスやジャムなどをおくためのスペースも地下につくってあり、食料のストッ
クもできるようになっていました。
核シェルターは、冷戦時代の名残で、大国ロシアと長い国境線で接する国ならではの産物です。核シェルターのマークがあるのですが、それを探すこと
で、街のあちらこちらにある核シェルターをみつけることができます。地下鉄もまさに核シェルターとして作られており、首都の中心部から郊外へと避
難するための交通機関としても働くのだと聞いたことがあります。
24-3 冬は雪かき、夏は道路工事
冬は、3-4時ぐらいから、道路の雪かきが始まります。アパートの前は管理人の仕事ですが、道路の方は、専門の業者が委託を受けてやっているよう
でした。大小さまざまな除雪車が動いており、大きな除雪車は車道を、小さな除雪車(幅が60センチぐらいのものからある)は歩道を除雪します。見
ていると実に巧みに道路を走り回り、雪を除き、適当な場所に積み上げて行きます。それで朝のラッシュが始まるころには、道路はきれいになってお
り、道のあちらこちらにちいさな雪の山ができていました。
夏になると、あちらこちらで道路工事が始まります。冬の間、クルマはスパイクタイヤを履くのが普通ですから、路面の損傷はひどく毎夏のように道
路を舗装し直す必要があるからです。また、建造物の工事も、夏に集中して行われているようで、あちらこちらで工事が行われていることになります。
冬の雪かき作業に従事していた人たちは、夏の間、工事に参加しているのかもしれません。というか工事の方が本業のような気がします。
24-4 お湯で暖房
家の中は冬でも
20-22度に保たれています。このヒーティングはお湯をボイラーで温め、全館に循環させるようにして行っています。どの部屋にも薄べったいパネル様のも
のがあるのがそれです。
また、このお湯は水道としても利用されており、各家庭の流しには必ず水とお湯がミックスして出てくる水道栓がつけられていました。この水道栓は
レバー式になっていて力の少ない人でも容易に開閉できましたし、お湯の温度も簡単に調整できる便利なものでした。
24-5 交通機関
どんな場所にもバスが走っていましたし、深夜であっても別ダイヤで別ルートのバスが走っていました。トラム(電車)と地下鉄も便利。チケットはい
ずれも共通で、1時間以内ならば乗り降り自由でした。バスならば乗り口に、電車なら各カーゴの一角に、地下鉄なら改札口に日付印を押すためのポス
トのようなものがあります。そこにチケットを差し込んで日付印とパンチを入れます。2度目以降は、乗るときに車掌さんなどに、まだ1時間以内であ
ることを示してから、そのまま乗ります。地下鉄の時は改札に人がいないので素通りでき、不正がしやすそうでしたが、4-5人の車掌による一斉検札
が時々行われていました。これらの時刻表や運行マップは、ヘルシンキVR駅かハカニエミ駅の地下鉄事務所においてありました。無料です。時刻表に
はセントラルを出発する時刻と各停留所までの所有時間が書いてありますので、自分の停留所を通過する時間は自分で計算します。
タクシーは、日本と違い、流しで拾うのが結構むずかしく、大概、電話で呼び出します。車種は、ベンツのEシリーズ・ワゴンタイプが圧倒的に多
く、乗り心地がよく、また荷物もたっぷりつめました。タクシーセンターの予約はとても簡単で、明日、空港まで行きたいので、何時にどこそこへ来て
くれ、という程度でOK。予約番号を教えてくれます。空港までだと、乗り合いタクシー形式のエアポート・タクシーが割安でした。
24-6 キオスキ
日本ならコンビニにあたるのがキオスキ(Kioski)。食べ物から雑貨、雑誌や新聞、なんでも扱っていました。また、テレホンカードやバスカー
ド(バスの中で買うよりも安いし回数券などもある)、ロットという宝くじなども扱っていましたが、これらは、普通のスーパーなどでは扱えない商品
だそうで、特別な権利が与えられているようでした。通常は、朝8時から夜9時が営業時間ですが、夏になると街の何カ所かで、24時間営業のキオス
キが出ます。これらは、通常のキオスキとは違い、サンドイッチのような軽食とソフトドリンクを出していて、白夜を楽しむ人たちが立ち寄るためのよ
うです。