© 2012, Tatsuyuki KAMIRYO ネアンデルタール人を推理する

0.はじめに

Cave Bear  「ネアンデルタール人」という言葉はご存知ですよね。でも、それがどんな「人」のことなのか、お友達に説明できますか? 僕はできません。素人 ですから。そもそも、この「人」たちが、チンパンジーと同じような毛皮をまとっているのか、肌の色(皮膚のメラニン色素の量)や体毛の生え方 にバ ラエティーはあっても、ともかく僕らヒトと同じようにハダカなのか、それさえ知りませんよ。専門の学者さんたちも、わかっていないのですから仕方 ないんです。でも素人であればこそ、本を読みかじったりして勝手な推理を楽しめるんじゃないでしょうか? ここでは、そんな楽しみを実践して みた いと思います。

 なぜそんなことを思いついたのかというと、いつの学期でも「ヒトの先祖」の話をゆっくり喋れないことに加えて、この前ジー ン・アウル(Jean M. U. Auel)の『ケーブ・ベアの一族(The Clan of Cave Bear, 1980)』集英社(平成16年)を読んだからです。約三万年前の現生人(ホモ・サピエンス)がヒロインで、彼女がネアンデル タール 人の「一族」に育てら れるという筋立てです。読み進むにつれて、原作が発表されたとき(昭和55年)までの、最新の研究成果がたくみに盛り込まれていることがわかりま した。

 今年はもう平成二十四年ですから、執筆の時期からは三十年以上も経っていることになります。ですから、今では疑いの眼が向けられている「最 新の 研究成果」もあります。いまだに学者たちが口を閉ざしていることもあります。推理を楽しむという形で、何かおもしろいことを紹介できるといいなぁ と、ただ思っただけで、今はまだ具体的な構想がありません。連載の形(http://home.hiroshima-u.ac.jp/kamiryo/ 「『生命の科学』の掲示板」)にするので、書きながら考えていくつもりです。


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