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 last updated 2023/02/03


トラックポイント・キーボード



Windows PC のキーボードには、キー配列(JIS配列やUSA配列など)、キートップの色やデザイン、キーのピッチやストロークの深さなどに違いがあって、実に多種多 様である。当然なが ら、こだわりのあるユーザーがいればこそである。

かくいう私のこだわりは、ト ラックポイント付きの キーボード。以下、オススメの3枚をご紹介。

■1.IBM Space Saver II / RT3200 (PS/2 接続)

1996年に IBM ThinkPad 755CDV というノートPCを購入した。スペースシャトルの船内活動用に使われていたPCである。私はこの マシンで、NEC PC9801(愛称キューハチ) から DOS/V 機に乗り換え、Windows 95 とトラックポイントを使うようになった。

SpaceSaver II





SpaceSaver II
SpaceSaver II
トラックポイントというのは、キーボードの真ん中にある小さなボタンの ようなデバイスで、マウスを動かす代わりにこれを人差し指でぐ りぐりと動かす。そして、クリックボタン(スペースキーの下にある)を親指で叩く。キーボードに指を置い たまま(=ホームポジションのままで)作業できるので、入力作業を妨げない。慣れ てしまうと、マウスよりも迅速かつ広範に動かすことができる。

それで、私は1999年頃から IBM Space Saver II (JIS配列)ひと筋である。まず、キーのピッチとストロークの深さがすばらしい。とりわけ、キータッチが絶妙で、押しはじめ は柔らかく、深く押すと硬くなる。トラックポイントの操作性と反応の良さも抜群だ。右上にあるキー ロック・インジケータも便利で、キーアサインをすぐに把握できる。

PCとの接続はPS/2端子(緑と紫のミニDIN端子)で行う。 緑が マウス、紫がキーボードのポートであるか ら、シンプルに二つ のデバイスが一体になっていることがよくわかる。PS/2 は かなり古い規格(1987 年〜) で、USB やBlueTooth に置き換えられているのでレガシーデバイスになっているが、PS/2-USB 変換プラグやPS/2 スプリッターがあるので今でも使える。それに、ASUS などは、最新のマザーボード(例えば 12世代 Core 対応 M/B)でも PS/2 端子付きの製品を作ってくれている。「わかっているじゃないか、ASUS」と思う。最新の M/B を購入する者たちにこそ、こだわりのキーボード・ユーザーやレガシーユーザーが一定数いるはずだからだ。

それから、分 解掃除できるのもいい。たまにであるが、コーヒー やお 茶をこぼすことがあるし、ゴミがたまって動きが悪くなることがあるからだ。キーを全て取り外し、キートップは洗濯ネットなどに入れて洗浄し、ボー ドの方はピンセットやブロアーでゴミをきれいに除去する。タッチの浅い深いで絶妙 に堅さがかわる仕組みや、水ぬれにも強い理由が、分解するとよくわかる。掃除が終われば、キートップを戻していく。何度か掃除をしているけれど、それで キーのがたつきやゆるみが出たりはしていない。

圧倒的な安心感のあるキーボードで、全 部で4枚所有。購入時期によって少しずつ製品が異なり、タッチの違いや左下の ウィ ンドウズマークなどに変遷がある。

SpaceSaverII



■2.Sony VGP-KBC1 (USB 接続)
VGP-KBC1
VGP-KBC1


2004年、Sony VAIO U70 (SONY VGU70P) というモバイルPCが出た。ピュアタブレットの走りのようなデザインで、キーボードを別途購入する必要があった。私は U70 のユーザーではなかったが、この純正キーボードは入手して 愛用するようになった。折 り たたむことができる上に、トラックポイント付 きだっ たからだ。

トラックポイントの動きは堅くてあまり良好とはいえないが、キーの感触はかなりよい。特に開いてしまうと折りたたみとは思えないほど自然な配列になるのは驚きで、現在でもこれほどの折りたたみキーボードは お目にかかれない。また、USB 接続なので、接続マシンを選 ばない。だから、NEC や Lenovo などのピュアタブレットには、常にこれを使ってきた。今でもよく使うキーボードであり、全部で3枚所有。

このキーボードが出た頃は、IBM/Lenovo 以外でも、Sony、Dell、Casio から、トラックポイント付きのPCが作られていた。ポッチの色も違って、Sony は藤色、Dell は黒、Casio は緑色だった。今は Lenovo だけになっているのが、少し残念である。

VGKBC1


■3.Lenovo  トラックポイント・キーボード / KT-1255 (BlueTooth 接続)
KT-1255
ス イッチ動作など
電源on
1秒押し。LED点滅で on
電源off
3秒押し。LED点滅で off
ペアリング
電源on で LED 明滅が続く時は
PCの BlueTooth 接続設定を開き
認証コードをキー入力する
充電
LEDの明滅信号で要充電
その他
Fn キー使用に要ドライバ
説明書PDFはこちら


2005 年、IBM の PC事業部が Lenovo に売却された。IBM といえば、コンピュータの代名 詞とも言えるほどの会社であったから、「えらいこっちゃ」と思ったが、幸いにも ThinkPad などの製品や精神は受け継がれ、クオリティそのままに、新しい商品が続々と作られている。誠にうれしいことである。

さて、このキーボードは、2013年にリリースされたもので、ノートPCである ThinkPad のキーボード部品をそのまま使ったような作り。だから、コンパクトで薄い。 横幅がA4サイズなので本棚にも収納できるし、薄さがスマホサイズなので、スマホ立ても利用できる。

BlueTooth 接続と いう点でも重宝で、デスクトップにつなぐ時は、机の上の配線がひとつ減るし、配置の自由度が高い。ノートPCやタブレットにつなぐ時に USB を使わずにすむのは何かと助かる。時々、充電する必要はあるが、電源オンのままでも2週間ぐらいは 持つ。個人的な改善要望点は下記。
  1. ファンクションキーがトグルになっていて、音量やディスプレイ照度の調整ボタンと兼用になっている。PCで音楽や映画を視聴するのが 普通になってきているので、これらがあると何かと便利なのだが、日本語入力の時などは、ファンクションキーを多用するので、誤操作のもと にもなってい る。小さくてもいいので、音量調節のキーなどは分けてくれた方がありがたい。
  2. いくつかのキー配置が慣れなくて、ブラインドタッチをしているとミスタイプする。特に問題なのは、右下の矢印キー群の横にある PgUp, PgDn のキーだ。シフトキーを押すつもりで、つい、PgDn を押すことが多い。いっそ、この PgUp, PgDn は無くてもよいのでは、とさえ思っている。
  3. 薄い割には、キーの感触がいいし、トラックポイントの動作もよいと思う。ただし、キーストロークが浅いためか、指が底 突きしやすく、長時 間、入力していると指が疲れる。また、早いキー操作をしていると反応遅延がある。
  4. バッテリー切れで使えなくなったとき、USBでPCと直結で使えるようにしてほしい。現在のところ、PCからUSBでつないでも充電 されるだけで、使えるわけではない。また、キーボードが変な動きをすることが希にあるが、そうしたときに、キーボードのせいなのか、 BlueTooth アダプタのせいなのかを特定するにも必須だと思う。反応遅延も解消されるはずだ。
追記:耐久性では、IBM Space Saver II / RT3200 に劣るようで、8年使用でトラックポイントがドリフトするようになった。BlueTooth の不安定さ(チャタリング障害?)にも時々悩まされていたので USB 接続の KU-1255 に乗り換えた。ちょっと残念である。なお、2020年に改良版の トラックポイント・キーボードU / KC-1957 が発売され、専用ドングルによる接続や、アンドロイドとの BlueTooth接続も可能になった (参照:PC watch)。ただ、上記4で書いたよ うに BlueTooth 接続とUSB接続の兼用機を作れば、アンドロイドや iPad でも使える。作らない理由がよくわからない。

KT-1255


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