© 1984-2016, Kyu-hachi TABATA last updated 2015/02/26

■0 はじめに

■0.1 できること
dove (ダヴ)は、学術文献を整理するためのパーソナルツールです。論文を自分でストックして、内容などをメモしておき、必要な時に必要な論文を手元に出して読 むのに役立ちます。主な機能は次のとおりです。

1.
論文の著者、タイトル、キーワード、ソース情報、DOIなどを記録できます。
[カー ド]
2.
雑誌掲載の学術論文、単行本形式の学術論文、モノグラフ、その他(ウェブ記事や新聞記事など)を 登録できます。
3.
DOI を登録すると、いつでも、ネットワークを介して PDF を閲覧できます。
4.
記録したデータを検索できます。 [サーチ]
5.
検索結果に対して、さまざまな書式で出力でき、論文の Reference を簡単に作ることができます。
6.
検索で抽出した論文データに一括してキーワードを加えたり、削ったりできます。 [グループ編集]
7.
論文リストの書式は自分で自由に作成できます。 [書式編集]
8.
論文掲載の雑誌名は、JPコードとして一括して登録しておいて、コードを呼び出すようにします。 [JPコード編集]
9.
論文データ群は文献バンクとして扱います。必要ならば、複数のバンクを作ることができます。
[バン ク]
10.
クラウド・フォルダにバンクを置けば、どのPCからもアクセスできま す。

およそ30年前から、Search, RABIT, Pigeonhole, dove と開発を続けていますが、いずれも、「論文をプリントして、 じっくり読み、自分で整理・検索し、リファレンス作成などに活用する」ことを前提に作っています。先行ソフトである Pigeonhole ver 3 で作成した文献バンクは、dove でもそのまま使用できます。

なお、dove の機能は6つに分けることができ、それぞれに専用ウィンドウがあります。また、ランチャーで全ウィンドウのオンオフができます。下記の例では全てを表示し てい ますが、実際には、必要なウィンドウのみを表示して作業をすることができます。カード、サーチ、JPコード編集などがよく使うウィンドウです。




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■0.2 文献の整理

論文の整理は、いざやってみると案外難しいものです。例えば、特定の研究者ごととか、テーマごとに分けて整理する方法があります。しかし、何人か が共同し てひとつの論文を書いたり、ひとつの論文がふたつ以上のテーマにまたがったりする例があり、論文数が増えてくるとやりにくくなってきます。

そこで、dove の提案する方法は、論 文を通し番号で登録し(下図A)、それを印刷物に書き込み(下図B)、番号順にストッカーなどに保存する(下図C)という方法です。


こうした文献データのひとかたまりを dove では、「文献バンク」と呼びます。例えば 、SAMPLE というバンク名で登録された文献は、[SAMPLE-1] [SAMPLE-2] [SAMPLE-3] ...... といった具合いで登録されることになります。これらの文献番号は一旦登録されると変更のない固有の番号で、dove では、常に表示され利用される番号になります。必要に応じ、検索したり、リストを作って、登録した文献データを使います。リストはさまざまな形式で出力で きます。この形式は、書式とスクリプトの変更によって行うことができ、論文のリファレンス作成も容易です。



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■0.3 特記事項

1.JPコードを使った雑誌名入力
文献の登録の際には、雑誌や出版社の名前を入れることが必要ですが、これを毎回のように入力するのは、結構大変です。そこで、これらに識別番号を割り当 て、雑誌名の入力に使います。この識別番号をJPコード(=Journal/Press-Code)といいます。

例 えば、Nature を5番として登録すれば、後は5番と入力することで、雑誌名 Nature が入力できます。Proceeding of Natural Academy of Sciences, U. S. A. などの長い雑誌名の入力を考えると、便利な工夫であり、入力操作の簡便化と誤入力防止に効果がある方法です。



なお、JPコードには、DOI を登録する機能もあります。Nature ならば、10.1038/nature2013.1024 などというDOIを持ちますが、このうちの 10.1038/nature までは nature 論文すべてに共通なので、この部分を記録しておきます。すると、カードに入力する時にDOIの欄に 10.1038/nature が自動で挿入されるようになります。
2.人名入力のルール
論文のデータを入力する時には、いくつかルールがありますが、特に人名データの入れ方は厳密に決まっています。

M.J.Tabata, A.Kawahara, M.Amano といった具合に入れるのですが、形式を守ることで、引用文献リストの作成時に自由な形式で出力できるのです。基本ルールは、下記のようになります。くわし くは 4.4節
1.
イニシャルが先、名字が後です。
2.
複数人名の時には、半角のカンマで区切ります。なお、全角カンマは自動で半角カンマに修正さ れま す。
3.
著者名は、字数が許すかぎり、全員を入れます。
4.
ちょっと変わった名字、McDougal, DoLittle, St_Jones, Lupin_III, Bush_Jr など、ひとつなぎにするのが原則。隙間が欲しい時には、アンダースコアを使います。

3.書式ファイルを使ったリファレンス作成
サーチなどで得られた文献リストは、「書式」を替えることで任意の形式に変更できます。また、「スクリプト」を選択することで、 Macintosh 用のファイルにしたり、肩字、添え字、アンダーライン(またはイタリック)、ボールドなどのスクリプトを変更したりできます。

書式(=リファレンス書式)とは著者名の表記法や、語順を設定したデータファイルです。著者 名で のABCソート や、年号ソートも可能で、書式のエディタで自由に設定できます。論文によってリファレンス形式は多種多様ですが、書式を設定する ことでそれに対応した文献 リストを簡単に作成できます。作った書式はいつでも呼び出すことができます。

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■0.4 インストール

1) dove の圧縮ファイル(dove1a2.zip など) を解凍すると次のようなファイルが出来ます。これらを任意のフォルダにコピーまたは移動してください。
dove.exe dove の実行ファイル(本体)
form.cfx
書式の 設定ファ イルの初期ファイル
script.cfx スクリ プトの設 定 ファイルの初期ファイル
dove.chm
HTML 形式の ヘルプファイル
dove.gif
作業中に示される GIF ファイル
sample.bnk サンプ ルの文献 バン ク(フォルダ)。
構成ファイル: record.phd / jpcode.phd / link.phd / pdf.phd
 
上記のうち、.cfx ファイル群は dove.exe によって .cfg ファイルへと変換されますが、 すでに各種設定ファイルがある時(=バージョンアップなどの時)は、この変換がされず、それまで使っていた設定ファイルがそ のまま利用されます。
2) 現在、ph.exe を使っている方は、特に ph.exe をアンインストールする必要はありません。使用中の ph.exe があるフォルダとは違うフォルダに上記ファイル群すべてを入れてください。文献バンクやJPコードははそのまま使用できます。また、ph.exe で使用・作成したスクリプトや書式があるときは、ph.exe のフォルダにある script.cfg と form.cfg を dove.exe のフォルダにコピーするとそのまま使用することができます。

3) dove.exe をダブルクリックして実行します。うまく起動できて、文献バンクなどを使うことができれば、OKです。sample という名前の文献バンクが付いていますので、まずこれを使って、いろいろと使い勝手を試してください。

4) dove.exe を実行しようとして、「ランタイムが無い」というメッセージが出た時には、Visual Basic 6.0 SP6 のランタイム・パッケージを入手して、インストールしてください。下記などで入手できます。
http://www.vector.co.jp/soft/dl/win95/util/se342080.html
5) セキュリティのかかっているフォルダ(C: ドライブのシステムフォルダなど)では、うまく起動できないことがあります。「管理者として実行する」ようにするか、セキュリティのかかっていないデータ 領域のフォルダなどを使用して実行してください。

6) dove.exe のショートカットを作製し、デスクトップやメニューに貼り付けておくと便利です。
ショートカットの作り方: dove.exe をマウスで右クリックしながらデスクトップまでドラッグし、右クリックを離すとポップアップメニューが出ます。その中から、「ショートカットを作る」を選 択 します。
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■0.5 ファイル構成

dove の主な構成ファイル は下記とおりです。各ファイルの内部情報は X.付録 にあります。

1
プログラムフォル ダにある
初期ファイル (配布ファイル)
dove.exe
dove 実行ファイル。プログラムの本体。
dove.chm
ヘルプファイル。
form.cfx
書式のひな型ファイル
script.cfx
スクリプトのひな型ファイル
2 プログラムフォルダ に
自動生成されるファイル
dove.cfg
dove の設定ファイル
form.cfg
書式ファイル
script.cfg
スクリプトファイル
bpath.log 使用したバンクの履歴
err.log
エラーの履歴
3
文献バンクフォル ダに
できるデータファイル
record.phd
各レコードデータを格納
link.phd
リンクデータを格納
jpcode.phd
JPコードを格納
pdf.phd URL と DOI データを格納

なお、2のファイルは、自動生成されるようになっていますので、消えても初期設定に戻るだけです。

重要なのは、3のデータです。これは入力した文献情報そのものです。誤操作で消えたりしますと再現 できませんから、各自で定期的にバックアップを とるようにしてください。なお、文献バンクのバックアップは、エクスプロー ラーなどでファイルを閲覧してフォルダごとコピーする方法があります。また、dove の文献バンクの複製機能を使うことでもバックアップを作ることができます(2.4節)。
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