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2023/09/02
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Web の歴史 (4)
スマホの台頭
■1.携帯電話
1960年代から、新幹線やクルマなど
から電話ができる移動体通話システムが
ありましたが、インフラが貧弱で、電話本体も持ち運びが で
きない大きさでした。これが、バッテリー、液晶、CPUなどの発達で徐々に小型化し、通信インフラも発達して携帯電話 になりました(1980年代)。
最初期の携帯電話は画面もまだ小さく、白黒であり、通話の時はアンテナを伸ばして会話するものでした(1990年代前半)。それでも、それま
での「ポケットベ
ルで呼び出し、近くの公衆電話を使って話す」という通信方法と比べると、携帯電話1本というのは大変簡便であり、ビジネス利用か ら普
及していきました。やがて、通話だけでなく、メールも送れるようになり、カメラも搭載されるようになって、個人利用も増え、一人一台という時
代に突入しました(1990年代後半)。
注)第1世代の携帯電話を basic
phone、第2世代の携帯電話を feature phone, damn phone
と言う。日本ではこれらを合わせてガラケーと呼称されることが多い。
■2.
スマートフォン
2007年、Apple が iPhone
を発売します。全面液晶パネルとなっていて、キー入力は画面タッチで行うという画期的なものでした。専用のOSもあって、アプリをいれることでさまざまな
機能を追加できます。携帯電話でありながら、PCなみの機能をもつ「ス
マートフォン」の始まりです。データ回線や Wi-Fi でネットに接続でき、webサイトを閲覧できたのです。
2008年には、Google が開発した Android
搭載のスマートフォンも登場して、iPhone と Android
のふたつが共に進化することで、スマートフォン(以下、スマホ)が携帯電話の主流になっていきました。
スマホは操作性の簡便さに加え、PCと同等の機能
をどこでも利用できるという利便性がありました。しかも、次のようなPCにはない固有の機能も充実してきました。
- GPSに
よる地図表示、星座表示、山岳ソフト。
- 高性能カメラと連動したQRコー
ド読み取りや顔認証。
- 指紋認証に
よる本人確認やクレジット決済。
- 非接触型ICカード(FeliCa)機能による電子マネー。
- マイク、カメラ、モニタを使ったテ
レビ電話や遠隔会議。
- 音声案内を使ったAI応答、チャット機能、同時通訳。
- 高性能なイヤホン使用による音楽視聴。
- 通信インフラの発達による電子書籍や動画の視聴とゲーム。
- 赤外線通信やBlueTooth による近距離通信。
このように、コ
ンパクトデジカメ、MP3プレーヤー、録音機、GPS機、ゲーム機などの機能も兼ねるようになり、日常生活に欠かせない必需品になりました。ま
た、@高速で正確な大容量の通信、A山 岳や海上などもカバーする通信エリアの拡大、B暗号通信、などのインフラの発達がスマホの発展を支えています。
注)iPad のOSは、Apple PC の OS をベースにしたもの。Android
は、Linux をベースに作られた専用OS。
■3.タブレット
2010年には、Apple が斬新なタブレット、iPad を発売。Windows
タブレット機は、それ以前にもありましたが、操作性などがスマホに近い iPad は一挙に広がります。そして、Android タブレットもさまざまなメーカーから発売されました。
タブレットは、機能ではPCにもスマホにも劣ります。ですが、軽量でかつほどよい大きさの画面であるため、電子書 籍や動画のビューワーとして、また、ネットショッピングの注文などでよく使われるようにな
り、第3の端末として定着しました。CPUやOSは、スマホとほ ぼ共通なので、操作性もほぼ同じです。
注)総務省「令和4年 情報通信に関する現状報告の概要」によると、2021年のインター
ネット利用率(個人)は82.9%で、端末別ではスマホ68.5%、パソコン 48.1%
となっていて、スマホが優位になっている。また、LINE の調査では 2021年下期のネット利用は、スマホ
97%、パソコン46%、タブレット 20% という。
■4.スマホ時代のブラウザ
PCの画面は、複数の窓があり、十分な広さもあります(右図A)。対して、スマホの画面は、窓
がひと つで、表示サイズも限られており、縦長であるといった違いがあります(右図B)。加えて、OSの違いもあって、ス
マホでは最初、縦
表示用の独自のブラウザが作られました。また、ネッ
トショップなどは閲覧や注文をしやすい専用ブラウザを配布したりしました。
こうした中で、スマホやタブレットで標準的になったのがタブ表示ができるブラウザです。ひ
とつの画面でありながら、タブを切り替えることで、複数のサイトを切り替えて表示・閲覧できるからです。
そして、
PC用ブラウザでありながら、タブ表示ができ、スマホやタブレットにも対応したブラウザ(マルチプラットフォームのブラウザ)も出てきて、シェアを
伸ばすようになりました。とりわけ、Web
アプリとの連動機能が充実した Chrome
のシェアが大きなものとなっています。
一方、web
のデザインも進化していて、CSS
を使った動的デザイン(閲
覧画面に応じて横長にも縦長にもなる)が一般的になってきました。PCでの大きな表示(右
図A)、
スマホでの縦長で限られた文字量の表示(右
図B)、
タブレットのやや小さな横長または縦長の表示(右図C)に自動で合わせるという優れたデザ
インです。
注)プラットフォームとは、OSとほぼ同義(厳密にはOS+カーネル)。マルチプ
ラットフォームというと、例えば、Unix、Linux、Windows、Mac OS
など、異なるOSのいくつかに対応していることをいう。
注) Web
アプリとは、クラウドなどにデータを置いて、それを編集したり加工したりできるようにしたものや、簡単なフォーム入力によって実行できるアプリのこと。
PC の 時にはワードやエクセルなどを購入して、それを端末にインストールして使用していたが、Web
アプリの場合は、呼び出しのみをスマホで行い、実際のアプリやデータはクラウド上にある。Chrome などは Google Map や
Google doc などが連動していて、ブラウザそのものがアプリのような機能を持っている。