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休八写真館中判カメラ室(6x6判)

Fujica Six II CS



フジカシックス II
        CS / Fujica Six II CS往 年 の戦闘機「飛燕」のコックピットのようなビューファ インダー。前扉の開閉は実にスムーズで、ホールディングもよい。設計の良さがよくわかる。

右上の四角いシャッ ターリリースボタ ンが珍しいが、指は真横から入るかたちになるので、四角いことのメリットもデメリットもあまりないように思う。ただし、このボタンはほ ど よい深さでシャッターが切れるので、大変、心地よい。

そして、このボタンの押し下げをレンズシャッターに伝えるためのシャフトが、垂直に下りていて、前蓋の蝶番のところで直角に曲がって、前へと 伸びる。つまり、レンズ部にあるレンズシャッターのレリースを押し下げるシャフトが走っているのだが、送り先のレンズ部は撮影距離に応じて前 後する。それでも、シャフトの動きはきちんと伝えられるようになっていて、そのすっきりとした機構に感心させられる。

富士フィルムは、フィルムメーカーであるけれど、大判のレンズ、中判 のカメラとレンズ、35mm判カメラ、デジタルカメラ、と常に機材を作り続けてきた。そうした機材の中でも、このフジカ・シックスはもっとも美しいデザイ ンを持つと思う。また、レトロ・モダンとでもいうべきボディデザインは、EOS などの流体デザインの先駆けでもある。最近の富士フイルムのデジカメはレトロ調のデザイン が基調になっているので、このフジカ・シックスの方がむしろ未来的にも思う。

このカメラ、よい状態のものになかな か出会えなくて6年ほども待っての入手。試写し てみると、期待以上の写真が撮れていた。蛇腹のピンホールは無かったし、シャッターやレンズの劣化も無さそうだ。距離表示がフィートなの と、ビューファインダーの 645 表示が少々煩わしいが、いいカメラだと思った。マ ミヤ・シックスなどもそうだけれど、この時代の日本のカメラは実に丁寧な手作り感がある。

こういういいカメラは、前の持ち主が大事にしていたカメラである。よいカメラと出会えることは、全くの偶然であって、その邂逅を幸せに思 う。それは、よい人と巡り会うことにも似ている。一期一会なのである。

追記1: フジのシックス判は、II B型 までは普通のデザインだったが、II C型で流線型デザインに変え、機構も一新した。下記のように2機種あった。


レ ンズシャッター
レ ンズ
備 考
IICS
セイコーシャ・ラピッド
Recter 75mm F3.5
高級 機。 シャッターは 1/500 まで。
IICR
富士精密・レクタスシャッター Fujinar 75mm F3.5
普及 機。シャッターは 1/300 まで。

追記2: 6x4.5 と 6x6 の切り替えはフィルム枠の取り外しによって行う。また、赤窓も背盤の内側にあるレバーの切り替えで行う。ビューファインダーは兼用で、ファインダーの両脇 にピンク色の表示がある。6x4.5が優先なのだろうが、6x6 を撮影するには、このピンク色のシェードが煩わしい

発売年
1952年4月   愛着度★★★★
型 式
中判フィルム 6x4.5cm と 6x6cm 切り替え/距離目測カメ ラ
シャッター セイコーシャ・ラピッド 1/300〜1秒、T
レ ンズ
固定式 Recter 75mm F3.5
測 光
なし
ファ イ ンダー
逆ガリレオ式。距離は目 測。6x4.5用のマスクがある。
フィ ル ム交換
1.使用済みフィルムが ある時 は、上面の巻き上げレバーで全部巻き上げる。
2.右側面のレバーを起こして背面を開ける。フィルムを取り出す。
3.古いスプールを巻き取り部に移して、新しいフィ ルムをセット。(120/220 の切り替えが必要なら、ここで行う)
4.巻き上げは右手上面の巻き上げレバー。
5.フィルムカウンターは背面の開閉で最初に戻る。カウントアップ式になっている。
その他
ホットシュー、X接点あり。セルフタイマーあり。
大きさ・重さ w141mm x h103mm x d101(50)mm 635g

Fujica Six

東京・淡路町の楽器店。こういう構図は、縦長でも横長でもおさまらない。真四角の 6x6 ならではのおさまり方だ。
Recter 75mm F3.5 / 100 Tmax
Fujica Six

御茶ノ水・聖橋からの東景。真ん中の神田川を丸の内線(手前)と総武線(奥)が渡河する。画面向こうは秋葉原。
Recter 75mm F3.5 / 100 Tmax
Fujica six

隅田川下流の中央大橋から見た永代橋とスカイツリー。こういう構図も真四角ならでは。真ん中あたりの描写が甘いよ うだ。
Recter 75mm F3.5 / RDP III

Fujica six

隅田川の茅場町河畔。ケヤキかニレか。ややシャッターが甘くなっているようで、露出オーバー気味に写りやすい。色 調を少し補正。
Recter 75mm F3.5 / RDP III


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