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休八写真館中判カメラ室(6x4.5判)

Minolta Semi P



Minolta Semi P / ミノルタ セミ P 軽くて小さい 6x4.5 カメラを探していて出会ったカメラ。一見、初期型のスプリングカメラに見えるが、実はこれがミノルタのスプリングカメラ最終機だ。

ミノルタはこの当時、すでにフィルム自動巻止め、距離計連動、当時としては高速な 1/500 のレンズシャッターなどを実用化していたが、セミPではこれらを廃してシンプルなカメラにした。しかし、単純な原点回帰ではない。

ボディはダイキャスト製で軽量化と剛性化を実現。ファインダーも折りたたみ式ではなく、筒型に替えて速写性を持たせた。前蓋を開ける方向も 左右入れ替えて、常に右手でシャッターボタンを押せるようにした。巻き上げノブが上に来て、底面がすっきりとした。その一方で距離計連動はな い し、シャッ ター速度も1/200までに抑え、フィルム巻き上げも赤窓式にしている。

小さい割には重量感がある。スプリングが利いていて、前蓋を開けるといきおいよくレンズが飛び出す。た すきや前蓋は堅牢。シャッター速度、絞り、距離は前からすべて見ることができる。ダイヤルやシャッターなど多くの部分に ローレット加工が施してある。ファインダーは裸眼用であって、眼鏡をかけているとやや見にくい。

スプリングカメラは軽量性と機動性が本分であると思う。従って、機能をおごるのではなく、いかに最小限の機能に抑えつつ操作性を高く保つか、 そ していか にスリムなボディを作るかは重要だ。そういう点でこのミノルタの方向性は正しいと思う。

ミノルタのスプリングカメラづくりは 6x4.5 に終始した。この当時のミノルタは、16mmの Minolta 16、35mmの minolta 35、6x4.5 の semi、6x6 の autocord というラインナップ。いずれもフィルムサイズやカメラの特性をよく考えて、作り分けされていた。後のαシリーズでもそうだったが、ミノルタは思い 切った商 品の絞り込みをする会社だった。一意専心というか、鮮烈ないさぎよさがあって、しばしば驚くようなカメラを作った。

追記1: 6x4.5 というフォーマットは、アスペクト比 3:4 であって、現在のデジタルフォーマットの標準的な縦横比になっている。ちなみに、120フィルムは、6x6で 1:1のスクエア、6x7 で大判の 4:5、6x9 で ライカ判の2:3、6x10 でシネスコの 9:16 とほぼ同じになる便利な規格である。

追記2: 当時の主なスプリングカメラは 6x6 に集中していた。オリンパス・クローム6、マミヤ6、フジ6、ツァイス・イコンタ、アグファ・イゾレッテなど。6x4.5では、小西六・パー ル、ツァイ ス・セミイコンタなどがあった。

発売年
1951年2月   愛着度★★★
型 式
中判フィルム 6x4.5cm/距離目測カメ ラ
シャッター レンズシャッター、コーナンフリッカー 1/200〜1秒、B、T
レ ンズ
固定式 Promer SII 75mm F3.5
測 光
なし
ファ イ ンダー
逆ガリレイ式(距離は目 測)
フィ ル ム交換
1.使用済みフィルムが ある時 は、上面左の巻き上げノブで全部巻き上げる。
2.左側面のレバーを引き上げて背面を開ける。フィルムを取り出す。
3.古いスプールを巻き取り部に移して、新しいフィ ルムをセット。
4.巻き上げは左手上面の巻き上げノブ。
5.フィルム位置は赤窓で確認する。
その他
X接点あり。
大きさ・重さ w123mm x h95mm x d98mm (収納時 d46mm) 450g
参考文献
菊岡清, 「日本のスプリングカメラ−ミノルタ」, クラシックカメラ専科 No.8 pp72-75 (1986年)

Minolta Semi P / ミノルタ セミ P

東京・隅田川テラス。清洲橋とスカイツリーが見える。夏の朝。
Promer SII 75mm F3.5 / RDPIII

Minolta Semi P / ミノルタ セミ P

東京・神田川。お茶の水橋の西側。総武線が入ってきた。
Promer SII 75mm F3.5 / RDPIII
 
Minolta Semi P / ミノルタ セミ P

東京・水天宮。久留米の水天宮の分社。
Promer SII 75mm F3.5 / RDPIII 
Minolta Semi P / ミノルタ セミ P

東京・隅田川にかかる清洲橋。
Promer SII 75mm F3.5 / RDPIII


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