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休八写真館35mm判カメラ室

Canon EF-M



Canon EF-M / キャノン EF-M オー トフォーカスのEFレンズを使いながら、フォーカス、絞り、シャッター速度のす べてがマニュアル。不思議なカメラであ る。

FD から EF にレンズを買い換えておきながら、マニュアル撮影をしたいユーザーというのは、少々不思議な人々 だ。フィルム EOS は、第1世代 (EOS 620、 650、630、RT など)から結構いいカメラだったので、なおさら不思議に思う。第一、普通の EOS でもマニュアル撮影ができるので専用機などイラナイはずだ。そんな風に思っていた。

だが、普通の EOS でマニュアル撮影してみると、EOSは結構、難解なカメラになる。複数のボタンとダイヤルを組み合わせて操作するのと、露出合わせの目安がつかめないこと がその要因である。オート優先で作られているのだから、仕方がないのだけれど、やはり、オートでは撮れない時があるし、高性能になったEFレ ンズ をマニュアル操作で試して見たくなる時がある。

そんなときに EF-M をみつけた。アナログなデザイン−ふたつのダイヤル−が目を引く。右をぐりぐり、左をぐりぐりと回して撮るのだな、と容易に 想像できる。あのレンズはあるから大丈夫、このレンズはどんな撮影ができるかな、などと考えはじめる。AFレンズを使って、フルマニュアル撮影をする、と いう 魔 が差したような行為をしたくなる。結局、入手してしまった。

EF-M の撮影操作は予想通り、単純だった。絞りのダイヤルとシャッター速度のダイヤルをそれぞれ回すだけである。ファインダー内にはTTL測光による情報が表示 されるの で、絞りと シャッター速度を決定すればよい。アンダー(-)かオーバー(+)かが示されるので、これらの警告が出ないように絞りとシャッター速度を動かすのである。 重宝するのは、ふたつのダイヤルそれぞれにA(オート)マークがあることで、どちらかをAにすると絞り優先AE か、シャッター速度優先 AE になり、両方をAにするとプログラムAEになる。こういうふたつダイヤルの操作系は、きわめてアナログ的で、アナクロ的でもあるのだが、電子式に 絞りを開閉する EF なればこそである。何だか逆説的なのが面白い。

けれど、気をつけないといけないのは、右の絞りダイヤルにL(ロック)マークがあることだ。普通の EOSならば、電源スイッチが別にあるのだが、EF-M では、絞りダイヤルのLマークで電源オフになる。ここをうっかりロックせずにいると、内部の露出計などが動き続け、ファインダー内の情報表示も続いて、つ いには電池が空になる。

海外では、 マニュアルカメラの要求が高かったらしく、EOS1000 をベースにして EF-M が作られた。輸出専用機であり、国内では販売されなかったが、そもそも、 カメラのAF化に社運をかけているはずのキャノンが、その方針と真逆のカメラを作ったこと自体、不思議な行為である。低コスト機をベースに、さら に低コストなカメラを作ったという可能性も高いけれど、キャノンの中にもマニュアルカメラにこ だわる社員が少なからず居たのが真相と信じたい。

追記1: EOS 1000 は小型軽量のEOS普及機で、EOS Kiss シリーズの先 行機にあたる。ただし、後継の EOS Kiss とはちがって、EOS 1000 は価格競争の時代のカメラで、機能と材質を削っていたと思う。EF-M は、この最軽量(460g)・最安価(\47,000)の EOS1000 から、ストロボ、液晶、AF機能が取り除いたわけで、さらに軽量(390g)・安価(逆輸入でも \18,000 程度)となった。しかし、もっといいカメラをベースにできたら違うカメラになっていたはずだ。コンセプトはよかったの だから。

追記2: このカメラにかぎらないのだが、プリワインディングはなじめない。いまだにフィルム整理の時に混乱する。そ れから、このカメラにAF機能があってもよかったのではないかと思う。AFがある方が日常使い にはやはり便利だからだ。実際のところ、ベース機にはAFがあったわけ だし、AFが残ることで EOS 名で発売でき、マーケッティングを有利にできたはずだ。

追記3: 私の入手した EF-M は、1/1000のシャッターが不調。シャッター幕にグリースの ようなものが付着しているのが原因だった。

追記4: EF レンズもつくづくマニュアル撮影がしづらいレンズである。完全にマニュアル撮影をしようと思うと、距離合わせのためにレンズを相当に回転させないといけな いからだ。つまり、レンズ繰り出しが細かすぎるのである。AFの補助作業としてMFをすると考えるとむしろこうなるべきなので、やは り、というか、むしろというか、EF レンズはMFもできるけれど、あくまでもAF主体ということを再度意識させられてしまう。

発売年
1991年9月  愛着度★★
型 式
35mmフィルム/ フォーカルプ レーンシャッター/レンズ交換式/一眼レフカメ ラ
レンズ EFシリーズ
シャッター 電子式フォーカルプレーンシャッター、最高 1/1000
シ ンク ロ接点
X=1/90 (ホットシュー式)
測 光
TTL測光、 EV2-20
測距
マニュアルフォーカス
ファ イ ンダー
倍率 0.75。視野率 90%。露出とシャッター速度がLED表示
フィ ル ム交換
1.フィルムを途中で巻 き上げる 時は、左下、ボタン部の巻き戻しボタンを押す。
2.背面を開ける時は、左側面の開閉ボタンを押す。
3.フィ ルムをパトローネ室に入れ、フィルムのリーダー部を赤いマーク部まで引き出してから蓋を閉める。
4.巻き付けと巻き上げは自動。フィルムカウンターも自動。カウントアップ式。
その他
フィルムは装填されるとすぐにプリワインドされるため、 24/36枚目から撮影される。
大きさ・重さ w148mm x h97mm x d68mm 390g (EF 28-105mm 装着で 785g)
関連 web
Canon EF-M 簡易マニュアル: http://mienorth.michikusa.jp/note/3002/cb001_ef-m.html

Canon EF-M

クリスマス・ローズ。隅田川テラスで。
EF 50mm F1.4 /RDPIII
Canon EF-M

神田川の昌平橋の上で。
川に沿うのがJR中央線。横切るのが JR総武線。
川のさらに向こうには地下鉄丸の内線が渡河する。
EF 28-105mm F3.5-4.5 II /RDPIII


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