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休八写真館35mm判カメラ室

KW Praktica (3rd variation)



KW Praktica / プラクチカ プラクチカ = 実用的なカメラ (Praktical - Camera)。

1930年代はいろいろな形式のカメラが覇を競っていた。スプリングカメラのイコンタ、ベッサ、 レチナがあった。二眼レフのローライがあった。レンジファインダーのライカとコンタックスがあった。そこへ 35mm判一 眼レフのエ キザクタ、スポルト、プラクチフレックスが登場した。

プラクチカはプラクチフレックスの後継機 (1949年〜)であるが、まだまだ黎明期の一眼レフ。クイックリターン・ミラーも、レ リーズ時に絞り込まれる自動絞りも、正像ファインダーも、巻き上げレバーも無い。

だから、まず、絞りを全開にしないとファインダーが暗くてよく見えない。ファインダー が見えても、左右逆像で、像も小さい。距離を合わせたら、露出を計って、絞りとシャッター速度を合わせる。ちょっと息を整えてから、レ リーズする。

撮ったあとは、ミラーがアップしたままでブラックアウトするので、フィルムノブを回して、フィルムを巻き上げる。巻き上げるとミ ラーがダウンして、再びファインダー像が見えるが、暗いので絞りを開くところから、また繰り返す。街並みや山道を歩きながら、こんな作業を繰り返す。少し のどかな気持ちで、プラクチカと会話を楽しむように、1枚、1枚、と撮っ ていく。

金属のボディにシャッター音が心地よく響く。たたんだ時のヘッド部はペタンコになり、精悍である。手によくなじむボディの形とほどよい重 さも好印象。前面右(レンズ右横)にあるレリーズボタンは現在の一眼レフとはだいぶ位置が異なるが、人差し指が自然にかかる場所にある。レリーズを押す と、ボディのウラにまわって いる親指と対向しているので、手ぶれがおこりにくい。もともとは、ウェストレベルでの使い良さを前提にした配置だろうが、振動が大きく手ぶれをしやすい フォーカルプレーンシャッターへの対応と見ることもできるだろう。

レンズ・マウントは、プラクチカ・マウント、φ42mmスクリューである。昨今では、M42マウントと呼ばれることも多くなった。単純なマウ ント であったためか、多くのメーカーから多種多様なレンズとM42マウントカメラが作られた。比較的安価であったこともあって、多くのユーザーに受け 入れられ、ライカ・スクリューマウント (φ39mmスクリュー、L39マウント)と双璧を成すユニバーサル・マウントとなった。フランジバックが長いため、アダプ タを使うと他カメラへ装着して利用できるメリットがあって、デジタルカメラ全盛の現在でも、多くのユーザーが生まれている。

私の入手したプラクチカはいろいろと補修が必要で、すべて解決するのに1年以上かかった。だから、まともに写真が撮れた時は本当にうれしかっ た。 そして し、プリモ プランの 描写はその苦労に見合うものだった。Meyer のレンズは初めてだったが、プラクチシックスペンタ コン シックスにツァイスレンズ を装着して撮影した時の描写を思わせるシャープな写真だった。

追記1: 最初期の35mm一眼レフとしては、VPキネ エキザクタ(1936)、GOMZスポルト (1934/1936)が知られている。プ ラクチフレックス (1938)は、3番手の一眼レフであったが、アサヒ・フレックスのお手本となったことでも知られている。プラクチフレックス(1938 年)、プラクチカ(1949年)、プラクチナ (1952年) と合わせて俯瞰すると、一眼レフの発展史を辿ることができる。KW は東独のドレスデンにあったため、第二次大戦後はソ連に統括され、VEB ペンタコンに統合された。そして、Zeiss Contax S と KW Praktina の後継機が Praktica と命名され、プラクチカの名前が継承された。KW のカメラと歴史はこちらへ

追記2: プラクチカは、初期型(枝番つかず)、FX, FX2, FX3 と改良され、シンクロソケットの芯数や、ファインダーカバーの形状なども変化していく。FX というのは、シンクロのF接点(フラッシュバルブ用)とX接点(電気接点)のふたつを持っていることを意味していたらしい。3芯型のもの は、F、アース、Xの接点。プラクチカの分類はこちらへ

追記3: ペンタプリズムによる正像ファイン ダーはContax S (1949)、巻き上げレバーは Leica M3 (1954)、クイックリターンは 旭光学 Asahiflex IIB (1954)、自 動絞りは帝国光学 Zunow Pentaflex (1958) などで実装されていった。このほか、フィルム巻き上げとシャッターチャージの連動、シャッ ターダイヤルの一軸化、アイレベルファインダーやスプリットイメージの開発なども重要である。カメラとして完成した後も、TTL測光、プ ログラムAE、自動巻き上げと巻き戻し、AF、フィルムからデジタルへの転換、手ぶれ補正など、一眼レフの進化はすさまじく、変貌を続けている。

発売年
1952年   愛着度★★★★
型 式
35mm フィルム一眼レフカメラ
シャッター フォーカルプレーン・シャッター、1/500, 1/200, 1/100, 1/50, 2/25, 1/10, 1/5, 1/2, B
レ ンズ
Meyer-Optik Gorlitz Primoplan 58mm F1.9 (M42マウ ント)
測 光
なし
ファ イ ンダー
ウェストレベルファイン ダー、全 面マット、左右逆像
フィ ル ム交換
1.使用済みフィルムが ある時 は、上面右上のロックボタンを押しながら、上面左上の巻き戻しノブで全部巻き戻す。
2.背面を開けて、フィルムを取り出す。
3.新しいフィ ルムをセット。巻き上げは上面右上のノブを回す。
その他
ストロボ接点は三芯あり、上がX接点、下がF接点。クイッ クリター ンはまだ無 い。
大きさ・重さ w147mm x d81mm x h81mm 629g (Primoplan 58mm 装着で 747g)
関連 web
Mike's collection / Praktica 3rd variation  http://www.praktica-collector.de/085_Praktica.htm
Xylocopal's M42 Thread mount camera & Lenses: http://www.xylocopal.com/m42/

<付記:トラブルの補修>

1. レンズがはずれない: 接着されていると思えるほどしっかり付いていた。 CRC 5-56 をしみ込ませても回 らない。し かし、レンズの中央がずれていることか ら締めすぎの可能性が考えられた。そこで、レンズ鏡筒に1mm厚のゴム板を巻き、五十嵐プライヤーソフトタッチ・プラ イヤー(WL-270S)でしっかりとホールドし、ゆっくりと力を入れるとはずすことができた。幸い、ねじ山 はつぶれていなくて、その後、普通に脱着できるようになった。
2. 光線漏れがある: シャッター後幕(布製)に何カ所も小さな穴があいていた。幕の 交換も考 えたが、高くつ きそうだ。まずは簡単な修理をすることにして、 ハ ギテックのゴム塗料 PROT (黒・油性)を薄めて塗ったところ、穴 がふさがった。幕速も変わらないようでとりあえず解決。
3. フィルムが入らない: フィルム室がややせま く、現行のパトローネでは一部が 当たって蓋がしまらない。それで、より細い改造パト ローネ(φ23mm 以内)を作り、フィルムをそのパトローネに巻き直して、撮影していた。しかし、半年ほどして、フィルム室の壁の異常に気づい た。壁を取り外 してみた。何のことはない、前の持ち主が分解後、元通りに組み立ててなくて、壁が内側にふくらんでいたのだった。
4.
コマ送りの不調: コマがちゃんと送られずにコマかぶりをすることがある。原因は スプール 幅が37mm あるためと(=フィルムの両脇に1mm 程度の隙 間があく)、スプロケットとスプール 間でフィルムがたるみやすいためだ。最初のフィルム先端を差し込む時に少しフィルムの両脇に隙間ができるように位置を定め、 フィルムをしっかりと巻き込ん でいくようにすると改善できる。

KW Praktica / プラクチカ - Primoplan
              58mm F1.9

東京・神田明神の本社横で。梅が咲いていた。
Primoplan 58mm F1.9 / 100Tmax

KW Praktica / プラクチカ - Primoplan
              58mm F1.9

東京・神田明神境内で。日本橋から遷社された魚河岸水神社の狛犬。
なかなか男前。F4, 1/200 での撮影。
Primoplan 58mm F1.9 / 100Tmax

KW Praktica / プラクチカ - Takumar 28mm
              F3.5

東京・浅草神社。
三社さま、三社権現ともいう。
Takumar 28mm F3.5 / RVP100

KW Praktica / プラクチカ - Fish-eye
              Takumar 18mm F11

東京・浅草神社の御神田。パンフォーカスのレンズだが周辺ボケが強い
ため表札付近にのみフォーカスがあっているように見える。
Fish-Eye Takumar 18mm F11 / RVP100

KW Praktica / プラクチカ - Primoplan
              58mm F1.9

門前仲町のすずしろ庵の店先。みずみずしい大根に惹かれる。
Primoplan 58mm F1.9 / RDPIII
KW Praktica / プラクチカ - Primoplan
              58mm F1.9

カワヅザクラ。隅田川テラスの春。このレンズもいい。
35cmまで寄れるので使いやすいし、描写も気に入っている。
Primagon 35mm F4.5 / RDPIII


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