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休八写真館35mm判カメラ室

KW Praktica FX2



KW Praktica FX2 / プラクチカ FX2 Praktica の改良機。外装は変わらないが、レンズをはずして見える範囲だけでも、内部構造の改良が見て取れる。フラッシュの接点も同軸 1本となった。

しかし、もっとも大きい改良は、ウェストレベルファインダー部である。フラットな形状だったものが、大きく曲面を描く形状になってい る。デザイン的には後退したように思っていたが、ペ ンタプリズム・ユニット(別売り)を一体装着するための改良であった。

そもそもレンズを通して投影される像は上下左右逆像である。これをミラーで上に反射すると上下正像、左右逆像になる(=ウェストレベルファ イ ンダーの像)。そして、さらにペンタプリズムで上下左右正像にできる(=アイレベルファインダーの像)。1949年 Zeiss Ikon の Contax S による開明である。

KW の一眼レフ Praktica (Praktica FX2 の先行機) でも、このペンタプリズムユニット(別売り)があり、ウェストレベルファインダーに装着できた。ただし、Praktica のウェストレベルファインダーは四方を壁で覆うデザインであったため、その上にペンタプリズムユニットが装着された。まるで二段重ね のアイスクリームのようになり、かなり背が高く、不安定であった。機動性や操作性でアイレベルファインダーの良さをスポイルしていたと思う。

そこで、この Praktica FX2 では、ウェストレベルファインダーの壁の形状を変えた。四方を囲むのではなく、前面を大きく、背面を小さくした。しかも、背面の壁は上から押さえるときれ いに下がるようになった。また、Praktica では背面に格納されていたピントルーペが前面部に格納されるようになった。これらによって、ペンタプリズムユニットがファインダーの後ろ半分を覆うように 収まるようになった。つま り、2段重ねのような形状ではなく、ほとんど一体化できるようになり、正面から 見ると装着の区別がつかないほど綺麗に収まるようになった(右写真はペンタプリズムユニットの有無を示す)。

アイレベルファインダーを装着しての撮影は軽快。フィルムの巻き上げノブやシャッターのレリーズボタンはウェストレベルファインダーでの使用を前 提としていることを感じさせるが、操作性が悪いわけではない。またペンタ部がしっかりと装着されているため、持ち歩くときのバランスはよいし、や はりファインダー像がしっかり見えるのは快適だ。アイレベルもやっぱりいいなぁ、などと思ってしまう。

キャノン F-1 やニコン F3 など、ファインダー部を取り替えられるカメラでは、アイレベルファインダーを取り外し、ウェストレベルファインダーを取り付けて写真を楽しむことができる が、Praktica FX2 のようにウェストレベルファインダーが基本なのも面白いと思う。

追記1: Praktica はいろいろな名称の改良機が出ているが、大きく分類するとファインダー部がフラットなのが第1世代で主な機種名は Praktica と Praktica FX。ファインダー部が大きな曲面になるのが第2世代で主な機 種名は Praktica FX2 / Praktica FX3 である(FX3 は FX2 の輸出名なので、同機種とみてよい)。なお、FX という名前はフラッシュ接点(F接点、X接点)を備えていることを示すが、FX という名前がついていなくても、フラッシュ接点を持っている Praktica が多数存在する。

発売年
1955年   愛着度★★★
型 式
35mm フィルム一眼レフカメラ
シャッター フォーカルプレーン・シャッター、1/500, 1/200, 1/100, 1/50, 2/25, 1/10, 1/5, 1/2, B
レ ンズ
M42マウ ント  (Tessar 50mm F2.8 が標準)
測 光
なし
ファ イ ンダー
ウェストレベルファイン ダー、全 面マット、左右逆像
フィ ル ム交換
1.使用済みフィルムが ある時 は、上面右上のロックボタンを押しながら、上面左上の巻き戻しノブで全部巻き戻す。
2.背面を開けて、フィルムを取り出す。
3.新しいフィ ルムをセット。巻き上げは上面右上のノブを回す。
その他
ストロボ接点は同軸一芯。クイッ クリター ンはまだ無 い。
大きさ・重さ w147mm x d81mm x h81mm 614g (Primoplan 58mm 装着で 732g)
関連 web
Mike's collection / Praktica FX2 variation  http://www.praktica-collector.de/133_Praktica_FX2.htm


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