updated on 2011/02/17

休八写真館＞35mm判カメラ室

Kodak Retinette & Retinette f (model 022 & 022/7)

Kodak Retinette & Retinette f /
コダックレチネッテ

名機レチナから派生した新しいカメラ。

初期のレチネッテは普及版という位置づけで、レチナの蛇腹ボディに安いレンズを組み合わせたものだったが、この model 022 (写真右) から独自のモデルになった。すなわち、固定鏡筒のボディとなり、堅牢性と速写性を与えられた。

レンズには、Schneider Reomar が付いていたが、フランス版の model 022/7 (Retinette f / 写真左) には Angenieux が付くなど、バリエーションもある。

手にすると意外なほどコンパクト。それでいて、金属のボディは質感がある。各部の造りはしっかりしていて工業製品としての品格さえ感じられる。

ライカやコンタックスとは違うカタチとオモシロサ。真ん中ファインダーのカメラは各社が作っていたので、とりたてて新しいデザインではないけれど、ボディ形状や軍艦部、レンズの配置など全てにおいて、絶妙なバランスの良さ。

シャッターは軽い。ホールド感もいい。絞りリングとシャッタースピードリングが一緒に回ってくれるので、測光のあとは楽だ。フィルム巻き上げは底面右に付いているレバーを右手親指で操作するのだが、これもなかなかよい。撮れた写真は精密さには欠けるが、色がいい風合いで、見慣れた景色が少し違って見える。

追記１：　コダックは、ドイツのナーゲル社を1932年に買収し、それまでにないカメラを製作しはじめる。これがいわゆるドイツ・コダック社の製品で、ライカ、コンタックスに対抗して、レチナを発売し、同時に 35mmフィルムをパトローネ入りで販売した。レチナはだんだんと高性能化していったが、それを埋めるようにレチネッテが発売された。

追記２：　アンジェニューは、ムービーカメラ用のレンズで有名なフランスのメーカー。

追記３：　model 022 も 022/7 も操作はおおむね同じ。まず、鏡胴手前の絞りダイヤルのロック解除のボタンを押して、シャッター速度との組み合わせを作る。それから、鏡胴先のダイヤルを回すとシャッター速度が絞りとの関係を保ったまま廻るので、自分の使いたい速度に変えられる。Angenieux では絞り8のところに印があり、ここをEV値と合わせることで絞りとシャッター速度の組み合わせを作ることもできる。いずれにせよ、絞り値とシャッタースピードの組み合わせをまず決定してから、シャッタースピードを決めるという手順に慣れれば、それほど難しくはない。

	Retinette (model 022)	Retinette f (model 022/7)
発売年	1954年　　　愛着度★★★	1955年　　　愛着度★★★
型式	35mmフィルムカメラ（距離目測カメラ）	35mmフィルムカメラ（距離目測カメラ）
シャッター	レンズシャッター、Compur Rapid 1/500～1, B	レンズシャッター、Compur Rapid 1/250～1, B
レンズ	Schneider Reomar 45mm F3.5　（ft 表示）	Angenieux 45mm F3.5　（m 表示）
測光	なし
ファインダー	透過式
フィルム交換	１．使用済みフィルムは、底面レバー横のの小ピンを押し込み、上面左のノブを廻して巻き戻す。２．背面を開ける時は、底辺左のノブを廻し、出てきた小ピンを押す。古いフィルムを取り出す。３．新しいフィルムをパトローネ室に入れ、フィルムのリーダー部を引き出し、右手のスプールに差込み、巻き付ける。４．巻き上げは底辺の巻き上げレバーを回す。５．フィルムカウンターは背面の開閉で最初に戻る。カウントアップ式になっている。
大きさ・重さ	w126mm x h86mm x d67mm 483g	w126mm x h86mm x d67mm 483g

東京・佃の一角にある中華料理屋。 Schneider Reomar 45mm F3.5 / RAIII	東京・月島川水門の船だまり。 Schneider Reomar 45mm F3.5 / RAIII	東京・隅田川の勝鬨橋のアーチ。 Schneider Reomar 45mm F3.5 / RAIII
東京・明石町の聖路加タワー Schneider Reomar 45mm F3.5 / RAIII

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