updated on 2009/09/23

休八写真館＞針穴カメラ室（中判）

Holga 120PC

ピンホール・カメラにはレンズがない。レンズが無いから、像の歪みと、色の吸収がなく、像と色の再現性に優れる。焦点が無いからパンフォーカスになる。イメージサークルも無いので、露光面を極端に広くすることができる。だから、パノラマ写真だって撮れるし、複数ピンホールを使った写真だって撮れる。

でも、集光ができないから、光量不足になり、長時間の露出が必要になる。このため、相反則不規が起こり、露出時間を ”適当” に伸ばす要領が必要になる。早く動くものは写らない。花や木々でも被写体ボケが起こるぐらいだ。光も全てが通過するので、紫外光なども入ってきてフィルムを感光させてしまう。

このように、ピンホール・カメラには長短あって、まるで違った撮り方が必要だし、普通のカメラとはまるで違った写真が撮れる。こうした全てがピンホール・カメラの面白さだ。

ホルガ120シリーズは、ブローニー判のトイカメラ。6x6cm と 6x4.5cm のフィルム面を持つので画質はよい。ただし、レンズ周辺での光量不足、ケラレ、ボケがあって、フィルム平面性もあまり良くない。でも、これをピンホール・カメラに改造するとしたらどうだろう。プラスチック・ボディは加工がしやすそうだし、レンズはいらないし、フィルムの平面性も重要ではない。うん、試してみよう。やってみよう。

そう考えていた矢先に、ピンホール・タイプのホルガ 120PC が発売された。

120PC は、レンズの替わりにφ0.25mmのピンホールが入っている。フィルム面との距離を計ると 48mm だったので、画角は 80°だということがわかる。これは35mmフィルムカメラだと 28mm 前後の広角レンズに相当する。ファインダーは便利だが、実際の画角よりも視野が小さいので注意が必要。3割増しぐらい大きな写真が撮れると思ってよいようだ。シャッターはバルブになっているので、押したままで長時間露出することになる。

追記１：　ホルガは中国のカメラメーカー。語源は広東語の好光（ホウグォン＝とても明るい）だという。ホルガには35mmシリーズと120シリーズがあり、ガラスレンズ、アクリルレンズ、内蔵フラッシュ、バルブ、三脚穴などの組み合わせで、いくつかのバリエーションがある。

追記２：　裏面には晴れ1.5-3秒、曇り4-6秒、朝夕7秒以上、とシールが貼ってある。これは ASA 100 の時の目安だろう。実際には、ASA 400 以上を入れて撮影したい。

追記３：　光量が極少になるとフィルムの感光反応が鈍くなり、露光時間を長くしないと適正な露光ができなくなる。これを相反則不規（そうはんそく・ふき、不軌とも書く）という。光のあたり方とフィルム特性に依存するため、厳密に時間を決めるのは難かしく、"適当"に時間伸ばしをすることになる。また、カラーフィルムでは色の補正（＝フィルターの使用）も必要になることがあるが、一般に最近のフィルムでは機能があがっていて、１分ぐらいまでは相反則不規が出にくいものが増えている。

追記４：　専用レリーズ SRS-120 （専用コネクター SCC-120 と30cmレリーズ SC-30 のセット品）をつけると三脚の取り付け面が平らになって具合が良い。UVフィルタも46mm径なら取り付けられるが（強引にねじ込むのだけれど）、レンズキャップが付かなくなるので滅多に使わない状況。

発売年	2008年　　　愛着度★★★
型式	中判フィルム 6x4.5cm／6x6cm ピンホールカメラ
シャッター	リーフシャッター
ピンホール	φ0.25mm 焦点距離 48mm F192 6x4.5 で画角 74° （35mm判で40mmレンズに相当） 6x6 で画角 80° （35mm判で45mmレンズに相当）
測光	なし
ファインダー	素通し
フィルム交換	１．使用済みフィルムがある時は、上面の巻き上げダイヤルで全部巻き上げる。２．両側面の留め金を下げて、背面をはずす。フィルムを取り出す。３．古いスプールを巻き取り部に移して、新しいフィルムをセット。４．巻き上げは右手上面の巻き上げダイヤル。５．フィルムカウンターは背面の赤窓で見る。
大きさ・重さ	w140mm x h100mm x d72mm 190g
参考文献	藤田一咲, 「気まぐれカメラ BOOK」玄光社 2007 田所美恵子　「日曜日の遊び方　針穴写真を撮る」雄鶏社 1998 「PINHOLE写真術　アナログ的写真のススメ」　日本カメラ社 2007


江東区越中島の路傍にあるインド神たち。なんとなく惹かれる。三脚使用。Φ0.25mm F192 f=48mm / Provia 400X	江東区民プールの壁沿いのひまわり。色彩の再現性がすごい。三脚使用。Φ0.25mm F192 f=48mm / Provia 400X

とびらへ

前へ　次へ

↑　トップへ