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Web の歴史 (3) Webサービス


■1.ネット・ショップ

1980年代のパソコン通信の時代から、ネット・ショップはありました。初期のやり とりは、テキストベースのリストから商品を選び、メールで注文し、指定口座に入金、それをショップが確認してから商品を配送するというものでし た。

これを大きく変えたのが、1994年にできた amazon です。Web ページで商品の説明と写真を見ることができ、簡単な操作で購入でき、支払いはクレジットカードでできる(=電子商取引)、画期的なショップでした。最初 は、本だけを扱っていましたが、 やがて「世界最大のオンライン書店」に なり、さらには、CD、家電品、日用品、食品なども扱うようになって、巨大化して いきました。

また、1995年には eBay、1998年には ヤフオクな どのオークションサイトが誕生します。フリーマーケット的な手軽さとネッ トならではの品揃え、入札の便利さなどでこれも瞬く間に普及していきました。1990年代から2000年にかけてはこうした新しい商取引がどんどん生まれ た時代で、ドットコム・バブルの時代ともいいます。

日本では、価格の比較サイトである価格コムも誕生しました。最初 はPC関係 だけを扱うサイトでしたが、家電用品を中心に扱う商品が増え、日常的なものとなっていきました。

注) パソコン通信は、電話回線を使った通信システムで、通信速度は 2400 bps 程度でした。特 定のサーバー (Nifty serve や Compuserve など)に接続して、文字ベースでやりとりをするのが普通で、現 在のインターネットのように複数のサーバーに同時接続したり、切り替えたりはできませんでし た。契約した登録者のみが利用できるクローズド・ネットワークだったのです。

注) bps は bit per second の略記で、ボーと読みます。8bit = 1byte なので、2400bps だと、英語で300文字、日本語で150文字を1秒間に送れますから文字のやりとりはスムーズでしたが、画像や音声を送るには貧弱で、400x500 pixel 程度の小さな画像でも20分以上かかりました。現在のインターネットはカテゴリ4で 20Mbps ほどのスピードが出ますから、1万倍ほども高速化されています。動画や音声もストレス無く転送できる(=瞬時に表示や再生がされる)のは、パソコン通信の 時代を知る人間には驚異的です。

Net shop, Search site

■2.検索サイト

Web 黎明期はリンク集のようなものが重宝されましたが、これを発展させたのが、1994年に米国で生まれた Yahoo ! です。当時の Yahoo! は、人海戦術でよいサイトを見つける、またはサイト管理者からの申請に応じて、データベースを作り、これを検索結果として表示するというものでした。 1998年には Yahoo! Japan が設立され、日本語検索ができるようになりました。


1998年ごろ、Google が生まれました。画期的だっ たのは、ロボットやクローラーと呼ばれる自動徘徊・情報収集型のプログラムによって、データベースを構築・更新するようになったことです。最新で詳細な検 索結果を提供できるようになり、検索サイトでは、圧倒的なシェアを占めるようになりました。現在でも、この方式が引き継がれています。
 
なお、1997年には、米国NIHの図書館が論文の検索サイト Pubmed を開設しました。PubMed というのは、Public medline の意味で、medline というのは、もともと紙媒体で配布されていた論文リスト雑誌です。この Pubmed によって、論文の検索・閲覧は Web で行うのが普通になりました。このほか、遺伝子データベース BLAST や疾患データベース OMIM なども医学生物学分野では欠かせないサイトになっています。


■3.Wiki

ホストだけでなく、ユーザーも書き換えが可能な Web の仕組み、それが Wiki という Web 言語です。双方向で Web 情報を更新できるので、新たなサービスが生まれました。もっとも成功したのは Wikipedia

Wikipedia の特徴は、知識や情報の提供者が直接記事を書くこと、それを修正したり維持管理するのもボランティアによるもの、というところにあります。パソコン通信の 時代からあるパブリック・ドメインが思想基盤となっています。

注)パブリック・ドメインとは、知的財産や知的創造物を共有するという考え方。初期においては自作プログラムなどを無料で配付することが多く、こ れがパブリック・ドメインの考え方を成長させました。厳密には著作権を放棄したものをいいますが、著作権を維持しつつ、使用は許可するという パ ブリックドメインもあります。転用などの際にはこうした違いに注意する必要があります。
注)Wiki も HTML と同じくマークアップ言語。「速い」というハワイ語からの命名。


■4.動画配信

初期の動画配信は全部をダウンロードしてからでないと視聴できませんでしたが、ストリーミング(データを転 送しながら視聴できる仕組み)
が できるよ うに なって、一挙に普及します。世界的には YouTube (2005年)、 日本でもニコニコ動画 (2006年)などが大きなサイトとして成長しました。 近年では AI を使って、個人個人におすすめの動画を次々提供する TikTok が多くのユーザー獲得に成功しています。

また、DVD視聴を有料でネット配信する(いわばケーブルTV的な)サービスの代表は、NetFlix (1997年) です。映画やTVドラマなどのオンデマンド配信というかたちで始まりましたが、後に、オリジナル・コンテンツを制作するようにもなりました。今では、Amazon Prime (2005年)、Paramount+ (2014年)、Disney+ (2019年) なども参入して、競争は激化しています。

日本では、TV会社が番組の再放送チャンネルとして使用するようになり、TVer (2015年) や NHK+ (2020年) といったサービスが始まっています。これらは、YouTube の普及により、無断で番組配信されるようになったことへの対応策でもあります。ラジオでもネット配信を始めたのが radiko (2010年)、ケーブルTV 的な会社としては、Abema TV (2016年) があります。

Movie, Net TV


■5.Web 広告

静止画と動画がありますが、紙での広告、TV広告と比べて掲載料が安く、掲載方法も簡単です。内容に興味をもってくれそうな視聴者に広告提供 できることや、そこからリンクなどを貼って視聴者をHPなどに誘導できること、動画であれば時間制限もないことなどでもすぐれています。それで、いまや広 告の主流とな り、動画サイトやSNSで必ず目にするようになりました。

さまざまな Web サービスが無料で提供されているのは、こうした Web 広告からの収入によるものなのです。


■6.Web 電話、Web 会議、クラウドストレージ

2003年に、Web を使った音声通信サービス Skype が始まります。Web 回線を使った電話のような仕組みでしたが、ADSLなどの電話回線とちがい、無料で世界中に電話できるため、一挙に普及します。最初はタイムラグや音声の 途切れもありましたが、だんだんと改善され、通常の国際電話と比べても遜色のないものになりました。

Skype でもテレビ電話機能がありましたが、2009年に生まれた Slack は、グループチャットや音声通話を主体としたサービスで企業を中心に普及。2012年の Zoom によって、テレビ通話が強化され、Web 会議や Web 講義の普及に貢献しました。Microsoft も 2016年に Teams をリリース。2020年以降、コロナ禍によって需要が高まった Web 会議や Web 講義、Web 商談などをこれらが支え、大きなインフラの変化をもたらしました。

これらと平行して、クラウドストレージも普及しはじめます。SkyDrive (後に名称変更して OneDrve)、DropBoxiCloudGoogleDrive などです。遠隔でもデータ共有できるようになり、さまざまなビジネスや個人利用に使われるようになりました。

注)タイムラグや音声の途切れの主な原因は、パケット通信にあります。通信は、一定のデータ量ごとに区切って送受信する (このひとかたまりをパケットという)ので、パケットごとにデータを圧縮して送り、受け取ったら解凍・展開するという動 作の繰りかえしになっています。それで、パケット間ではどうしても動作がとまったり、ゆっくりになったりすることが生じやすいのです。しかし、通信の高速 化、端末の 高性能化、プログラムの高度化などでパケットの継ぎ目がほとんどわからない程度になってきて、スムーズな画像や音声が視聴できるようになってきました。

Communication, SNS, Cloud


■7.SNS

2001年に始まった2ちゃんねるは、パソコン通信時代のフォー ラムによく似た掲示板形式のコミュニケーションサイトでした。ただ、無記名で投稿できたため、さまざまな問題がおこりはじめ、登録者だけが意 見交換できる場として、 SNS(Social networking system) が作られました。

本格的なSNSの開始点は、2004年の Facebook で す。文章、画像、 リンク、コメントなどの機能が揃っていて、電子掲示板やブログに代わるツールとなりました。「いいね」や「友達申請」などの機能はよく知られ ています。また、2010年に開設された関連SNSである Instagram もよく普及して、「インスタ映え」という流行語も生まれました。

2006年に開設された Twitter はスマートフォンでの利用を前提に作られたSNSで、ひとつの つぶやき(tweat)が、140文字以内という制約つき。ただし、リツィートとハッシュタグという機能があって、迅速かつ簡潔に情報交 換網を作ることができるという特性がありました。最初は若者の交遊サイトのような立ち位置でしたが、2011年3月11日の東日本大 震災のあと、さまざまなインフラが無い中での情報交換に役立ち、社会的に広く認知されるようになりました。

2011年開設の Line も今や広く普及しているSNSです。FaceBook や Twitter は、個人対多数の関係を築くツールでしたが、Line は個人どうしのやりとりやグループ内でのやりとり (Chat)が簡単にでき、スタンプや写真投稿もしやすいという特性があります。このため、従来のメールやメーリン グリストに代わるツールとなりつつあります。

SNS はいずれも、架空登録を避けるためと個人を特定できるようにするため、スマホと連動して登録作業をします。つまり、スマホ時代ならではのコミュニケーショ ンツールでもあります。ウィルス やハッキングなどの危険性は低いという大きなメリットもあり、多くの人が安心して使えるサービ スとして発展してきました。

ただし、SNSといいながらも、多くの人がアカウントを持つようになり、それゆえ、政治的な発言の場となったり、犯罪、いじ め、なりすましなど、新しい問題も生じてきています。これらの問題は日 常生活で生じる問題とほぼ同一であり、それだけ SNS が日常的なものになっていることを反映しています。


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