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Web の歴史 (2) 言語


■1.Mosaic と HTML 1.0

1993年、NCSA の Marc Andreessen らが、最初のブラウザ Mosaic を作りました。このソフトの対応言語が HTML でした。

HTML とは Hyper Text Markup Languageのことです。ハイパーテキストというのは、文章の中に画像をいれたり、関連するページにジャンプできる機能が盛り込まれているテキストを いいます。1979年の GML や、1986年の SGML などがその先行言語といわれていますが、1987年、Bill Atkinson が作った Hyper Card の影響も大きいと思います。ハイパーテキストが一般に広く認知されるようになったからです。

ハイパーテキストのように、文章以外のものを文章中に盛り込ませる時には、その挿入場所の指示と入れるものの所在やファイルを指示する必要が あります。これを実現するのが、タグであり、そのルールをまとめたのが HTML なのです。

HTMLなどの言語の流れ


■2.W3C と HTML 4.01

Mosaic  の開発者が作った新たなブラウザが NetScape。これに対抗して Microsoft が作ったのが Internet Explorer。両者は、 激しいシェア争い(第1次ブラウザ戦争)をして、ブラウザの高機能化、多機能化が進みました。その結果、タグの種類や用法が一挙に膨らんで、 同じタグであっても、ブラウザごとに使えたり、使えなかったりするという状況が生じました。そこで、W3C (World Wide Web Consortium) が設立され、標準化を行いました。これによって、HTML 3.2 ぐらいでやっと安定化。1999年に規定された HTML 4.01 が標準言語となりました。

w3cW3Cは、 1998年に XML (Extensive Markup Language) をリリースしました。この言語はタグをユーザー自身で作っていける仕様になっていて、無限とも言える拡張性を持っていました。しかも、文法がシンプルでも あり、多くのメーカーやユーザーが受け入れました。ブラウザ表示以外にも適用できるため、たとえば、Word の docx、Excel の xlsx、PowerPoint の pptx などは XML で記述されたファイルになっています。

W3Cは、2000年に XHTML 1.0 をリリースしました。XML と HTML の統合を目指した仕様になっていて、HTML 4.01 の後継としました(HTML は開発を中止)。ですが、XHTML は、言語の拡張性は高いものの XML には及ばず、文法ミスにうるさい上に、HTML 4.01 とはタグのルールがちょっとずつ異なる、という気難しい言語でした。そのため、一般には XHTML は普及が進まず、HTML 4.01 がずっと使われ続けました(何と15年以上です)。

一方、2000年以降、ハードウェアで は、スマートフォンやタブレットの普及など機器の多様化が起こり、インフラで は、動画や音声の利用、
Wiki や SNSな どの双方向サービス、ネット ショッピングやネット決済の普及など、それぞれ大きな発展がありました。こうした新しい状況に対して、HTML や XHTML では、アドイン(機能強化のための追加ソフトの導入)で対応していたのですが、いくつも重いアドインを加えていくことになったり、設定が複雑化してきてい ました。アドインも多種多様であるため、互換性がそこで崩れるという状況も生まれていました。

こうした状況から、新しい HTML 言語への要求が高まり、2004年には、Apple,Mozilla, Opera の開発者らによって、 WHATWG (Web hypertext application technology working group ) が作られ、新たな HTML言語(後継バージョン)が模索されはじめたのでした。


■3.WHATWG と HTML5HTML5

2014年、WHATWG によって、あたらしいHTML言語、HTML5 がリリースされました。次のような特徴がありました。
  1. XHTML ではなく、HTML 4.01をベースにした言語で、その文法をよく残しつつ、上位互換性を確保していました。言語としての柔軟性と拡張性も担保されていて、文法ミス に寛容です。メタコマンド(ヘッダーに記述されるコマンド)もシンプルになりました。
  2. 動画や音声を再生するためのタグができました。これによって、フラッシュなどのアドインが不要となりました。アドイン機能は残されましたが、ブラウザ固有 の機能強化(セキュリティ対策)などに振り分けられるようになりました。
  3. CSS や JavaScript など補助言語(埋め込み言語)との棲み分けがより明瞭になりました。
  4. XHTML に見られた XML 的な拡張性指向は打ち切られました。これにより、HTML は XML と統合するのではなく、共存するということが明確になったと思います。
こうした特徴は、HTML 4.01 に慣れ親しんだユーザーにとってもわかりやすく、置き換えも容易でした。それで、HTML5 は広く受け入れられ、徐々に置き換わっていったのでした。


■4.CSS と JavaScript

ウェブで使われる言語は、今やたくさんのものがありますが、HTML にとって重要なのは、 CSS JavaScript で す。いずれも、HTML を補強するために開発された言語(埋め込み言語)だからです。

CSS は HTML の文字修飾やレイアウトを補助します (=HTMLの拡張仕様)。例え ば、このページでも、行間の調整を CSSでやっています。また、上の言語の流れ図の自動サイズ調整(フレームサイズを変更しても全表示される)も CSSでやっています。スマホ、パッド、PCごとにレイアウトが変わるサイトがありま すが、これらも CSS によるものがほとんどです(ソースを見るとよくわかります)。

【ムソ暦】  (「展 覧会の絵」の展覧会より)

一方、JavaScriptは、計算して答えを返すよ うな作業をするの が得意で、例 えば、円ドルの為替計算 や日数計算などを作ることができます(右囲みなど)。もともとは、Netscape で開発された言語でしたが、ライバルであった Internet Explorer でも使われるようになって一挙に普及が進みました。 


■5.サーバー言語

FaceBook、twitter、Line、Wiki、掲示板など、ユーザーが何かを書き込むと、すぐに Web 情報が更新されますが、こうした仕組みを実行しているのがサーバーで働くプログラミング言語で す。主なものに Perl、Java、C、ASP、PHP、Ruby などがあります。

また、web ショップなどでは、商品管理をリレーショナル・データベース(RDB)で 行っています。標準言語は SQL で、派生言語の MySQL、postgreSQL、SQLite、Ingress、Oracle などがよく使われています。

これらのサーバー言語とHTMLの関係はシンプルです。ユーザーインターフェース部を HTML で行っており、ユーザーのリクエスト(例:ログインする、購入ボタンを押すなど)に応じて、必要なプログラムが HTML から呼び出されて動く、結果に応じた新しいHTML画面がサーバー言語によって形成されて表示される、という仕組みになっています。


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