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休八写真館中判カメラ室(ガラス乾板)

Voigtländer Bergheil Deluxe



Voigtlandar Bergheil Deluxe
        フォクトレンダー ベルクハイル・デラックス ベ ルクは山、ハイ ルは万歳の意味。ベルクハイルは、ドイツの山で交わす挨拶。コンパクトで高機能で 堅牢であって美しく、確かに山行きに向いている。

レンズが交換でき、しかもマウントがバヨネット式である。この時代のカメラとしては画期的だし、シンプルでいて堅牢なマウントは独創的だ。し か も、前板は 上 下左右のアオリができるし、蛇腹の繰り出しは2段になっていてマクロ撮影などもできそうだし、フ レームファインダーではパララックス補正もついている。

背面のピントグラス部で精密なピント合わせができるが、ここにガラス乾板を差し込めば 6.5 x 9cm (大名刺判)の写真が、120 判のロールフィルムホルダを差し込めば、6 x 9cm の写真も撮ることができる。

仕上がりも見事で、深緑色のトルコ革の蛇腹、淡緑色のロシア革のボディ、 美しいメッ キ、2カ所に仕込まれた赤い水準器など、高貴な佇まい(たたずまい)を感じさせる。機能と美しさが見事に調和したクラフトシップの塊のようなカメ ラだと思 う。

1925年にドイツのカメラメーカーは合併してツァイス・イコンを作る。このとき、合併に参加したのは、コンテッサ、 ネッテル、 イカ、エルネマ ン、カール・ツァイス。合併に参加しなかったのが、フォクトレンダー、カメラ・ヴェルグシュテッテン、フランケ&ハイデッケ(現在のロー ライ)など。

前者は 工業製品的なカメラを、後者は工芸製品的なカメラを得意としたように思う。しかし、どちらにしても、すばらしい品質と設計と仕上がりのカ メラであった。

追記1: 数 種のベルクハイルが作られたが、デラッ クスはレンズ交換式であり、 6.5 x 9 の大名刺判と 9 x 12 の大手札判があった。レンズは、標準の他に望遠 Tele-dinar 255mm F6.3 が作られたのみであるが、前板部分にとりつけるバヨネット金具を作製すれば、多くのレンズを取り付けられそうだ。

追記2: 私の入手した カメラのレンズはヘリ アーではあったけれど、惜 しむらくは T (タイム)がついていなくて、ピントグラスでのフォーカス合わせが難しい。短いレリーズを取り付けてB(バルブ)でシャッターロックをして、タイム代わり にしている。

発売年
1931年  愛着度★★★
型式
ガラス乾板(大名刺判 6.5×9cm)/レンズシャッ ター/レン ズ交換式/ハン ド&スタンドカ メ ラ
レンズ
専用マウント。標準レンズは Heliar 105mm F3.5
シャッター
Compar T, B, 1s 〜 1/400
シンクロ接点

測光/測距
なし
ファインダー
ミラーファインダー、フレームファインダー、ピントグラス
フランジバック 180-270mm
アオリ
ライズ 5mm、フォール 15mm、シフト左右 XXmm
フィルム交換
ピントグラス を差し替えてガラス乾板使用。
シース(3 1/4" x 4 1/4")を使うと、ガラス乾板の代わりにシートフィルム(4x5 から切り出して作る)を使用できる。。
ロールフィルムフォルダの装着で120フィルム(6×9cm)を使用できる。
大きさ・重さ
w103mm x h135mm x d180〜270mm (収納時 d55mm) 840g、専用フィルムホルダー XXg
参考文献
高島鎮雄, 「クラシックカメラへの誘い」 朝日ソノラマ 2007
高島鎮雄, 「ベルクハイルデラックス」, クラシックカメラ専科 No.2 p154 (1980年)

<付記:組立・撮影手順>

1.前蓋をあけ、ロック位置まで蓋を引き出す。
2.前枠部を引き出して、前枠基部に装着。
3.後蓋をあけ、フードを開き、ピントグラスを見る。
4.レンズの絞り開放にして、T(タイム) にして、像を映し、フォーカスを合わせる。
5.Tを解除して、通常のシャッターにする。
6.露出を決める(絞りとシャッター速度を合わせる)
7.ピントグラス部を外してフィルムホルダーを取り付ける。
8.ホルダーの遮光板を引き上げる。
9.フレームを合わせる。
10.シャッターチャージをして、シャッターを切る。


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