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休八写真館中判カメラ室(ガラス乾板)

KW Patent Etui



KW Patent Etui パテント・エツイ パ テント・エツイ、宝石のようなカメラ。

コンパクトな箱を開け、レールを引き出して、レンズのはまっている前板をスライドさせて手前まで持ってくる。

レンズは Zeiss Tessar 120mm F4.5、シャッターは Compar 1/250。レンズの左肩にはミラーファインダーがついており、そのすぐ横には小さな水準器があるが、収納時にはこれらがうまくたたまれている。 前板には 針金の枠(フレームファインダー)がついていて、ここでもフレーミングで きる。これら二つのファインダーは、手持ち撮影の時に重宝する。

背面の薄い扉を開くとフードが折りたたまれている。これを四方に開くとピントグラスが現れる。レンズの絞りを開放にして T (タイム)にすることで像が映るようになり、正確なフォーカスあわせができる。フォーカスは右手前にあるノブを回すことで前板を前後させて合わせ る。繰り 出 しは2段になっていて、長く引き出すと接写もできる。前板のスライドは上下できるようになってい て、アオリもできる。

背面のピントグラス部はスライドで交換できるようになっており、もともとはガラス乾板を差し込んで 6.5 x 9cm (大名刺判)の写真を撮る。ありがたいことに、ここには装着できる 120 判のロールフィルムホルダがあって、これを入手できれば 6 x 9cm の写真が撮れるようになり、中判カメラとして使用できる。

パテント・エツイなどのハンドカメラは、後のスプリングカメラやフィールドカメラの原型ともいえるカメラだ。いずれも、小型軽量に作られ、携 帯が でき、 手持ち撮影もできる。しかも精巧で美しい。

パテント・エツイを作ったのは、カメラ・ヴェルクシュテッテン(Kamera Werkstaiten, KW)。後にプラクチカやプラクチシックスを作るドイツのメーカーだ。戦争やドイツの東西分断が無ければ、今でもいいカメラを作り続け ていたかもしれない。

追記1: Patent は登録、特許、しゃれた、工夫された、といった意味。エツイは小箱。ふたつ合わせて、しゃれた小箱という意味だろうか。6.5 x 9 の大名刺判だけでなく、9 x 12 の大手札判もあった。また、レンズも数種あり、ボディの色も黒、青、赤、橙があった。KW のカメラと歴史はこちらへ。

追記2: 背面に装着するロールフィルムフォルダーは、スライドレールが薄いため、専用の フォルダーでない と使えない。ホースマンやグラフレックスなどのフィルムバックを使って自作することも不可能ではないとおもうけれど、スライドレール がかなり薄いこととピ ント面が異なるため、作業は難しいようだ。

追記3: 運良く入手できたロールフィルムフォルダーだったが、光線漏れがあって苦労した。引き蓋部のモルド劣化だけでなく、蝶番部 や留め金部付近からも 光線が漏れていて、補修には日数を要した。

発売年
1928年  愛着度★★★★
型式
ガラス乾板(大名刺判 6.5×9cm)/レンズシャッ ター/レンズ交換式/ハン ド&スタンドカ メ ラ
レンズ
Zeiss Tessar 120mm F4.5
シャッター
Compar T, B, 1s 〜 1/250
シンクロ接点
なし
測光/測距
なし
ファインダー
ミラーファインダー、フレームファインダー、ピントグラス
フランジバック 105-190mm
アオリ
ライズ 5mm、フォール 15mm
フィルム交換
ピントグラス を差し替えてガラス乾板使用。
シース(3 1/4" x 4 1/4")を使うと、ガラス乾板の代わりにシートフィルム(4x5 から切り出して作る)を使用できる。。
ロールフィルムフォルダの装着で120フィルム(6×9cm)を使用できる。
大きさ・重さ
w90mm x h140mm x d135mm (収納時 h120mm x d35mm) 503g  専用フィルムホルダー 208g
参考文献
長峰隆寿, 「パテント・エツイ」, クラシックカメラ専科 No.2 p152 (1980年)

<付記:組立・撮影手順>

1.前蓋をあけ、ロック位置まで蓋を引き出す。
2.前枠部を引き出して、前枠基部に装着。
3.後蓋をあけ、フードを開き、ピントグラスを見る。
4.レンズの絞り開放にして、
T(タイム) にして、像を映し、フォーカスを合わせる。
5.Tを解除して、通常のシャッターにする。
6.露出を決める(絞りとシャッター速度を合わせる)
7.ピントグラス部を外してフィルムホルダーを取り付ける。
8.ホルダーの遮光板を引き上げる。
9.フレームを合わせる。
10.シャッターチャージをして、シャッターを切る。

KW Patent Etui パテント・エツイ

東京・隅田川の永代橋。西詰めから。  Zeiss Tessar 120mm F4.5 / RDPIII
KW Patent Etui パテント・エツイ

東京・隅田川の永代橋。東詰から。  Zeiss Tessar 120mm F4.5 / RDPIII
KW Patent Etui パテント・エツイ

東京・隅田川の永代橋の南景。水上バスが通る。  Zeiss Tessar 120mm F4.5 / RDPIII

KW Patent Etui パテント・エツイ

東京・隅田川の永代橋。大島川水門あたりから。  Zeiss Tessar 120mm F4.5 / RDPIII

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