ヘルシンキだより #13 1997-
6-19 記 | 11日: | Kollar の口演。有名な「トリに歯を作る」実験の話。オリジナルスライドはやはりすばらしいものでした。 |
| 12日: | Jukka Jernvall の口演。彼は新しいタイプの進化学者です。 |
| Tuija Mustonen のポスター。Fringe 遺伝子がマウスの帽状期歯胚で Buccal 側の外エナメル上皮に発現していました。 | |
| 13日: | Paul T.Sharpe の口演。歯のホメオ遺伝子発現の研究。あそこまでやられると後追いする気が失せるほどです。 |
| Hanko Peter の口演。Pax9 KO マウスを使って、Pax9 が Msx1, Bmp4, Lef1 の上位にある遺伝子であることを示しました。 | |
| Wilhelm Philbrick の口演。PTHrP KO マウスを使って、PTHrP が歯の発生には影響が少ない事、ただし、歯の萌出には必要な事を示しました。口演後、彼と Discussion。我々の PTHrP AS 実験と矛盾しない事を確認しました。彼とはこのあと、何度も Discussion したり、雑談したりしました。 | |
| 14日: | Kazuhiro Etoh の口演。歯の Lingual 側の口腔粘膜上皮が前腸の内皮細胞由来であることを示しました。Tuija の Fringe 発表とあわせて、感じたのですが、今後の歯の発生研究は、「歯の方向がどうやって決まるか」ということになると思います。 |
このほか、Cheng Dan Fong(Amerin 1/2
の発見者)、Christine van der Heyden(Zebrafish の歯の発生)、Janna
Waltimo(ヘルシンキ大学歯学部)などと親しくなりました。Richard Ten Cate
は私のポスターを結構、丹念に見てくれました。Malcolm Snead は、その巨体と人間の良さに驚かされました。Ruch
のグループの Re'gine Schmitt はわざわざ私を探し出し、Organ culture
の方法やアンチセンス法について質問してくれました。どうも、Kristina Heikinheimo
と一緒に仕事をしていたのではないかと思います。 



バイキング船(9世紀の建造)と木造教会(11世紀末ごろ建造)のすばらしさは言葉にあらわせません。どちらも木で造られていながら、大きな建造
物であり、なめらかなカーブは美しく、それでいて機能的でもあります。また、どちらも厳しい自然に耐えうる強さがあります。ムンク、ビーゲラ
ン、 イプセン、グリーグ、ナンセン、アムンゼン、ハイエルダールなどさまざまな人物を輩出した国にふさわしい歴史を感じました。 
朝 7:15
にオスロ駅へ。7:42 発のベルゲン行き列車に揺られて、ミュルダール Myrdal(海抜
867m)まで約4時間半。途中は、ほとんど上り坂でしかも山間を縫う様に進みます。最高地点はミュルダールより1時間ほど手前のフィンセ
Finse 駅(海抜 1222m)でした。トンネルと雪原のくり返し、2度ほど「氷河 glacier
が見えます」というアナウンス。でも、照り返しの強い真っ白な世界で彼方を見つめるのは、結構きつく、はっきりとわからないままでした。見所は、時に列車
の右、時に左と変わります。その度にお互いゆずりあうようにして、景色を楽しみました。オーストラリア人の
Steave、ブラジル人夫婦、アメリカ人の女性などが一緒でした。
ミュルダールに 12:28 到着。フロム Flam 線に乗り換え、12:32
発。フィヨルドの谷間へと下って行きます。途中、いくつも滝があります。これらはすべて雪解け水によってできる滝で、初夏の今しか見られないものです。そ
のひとつヒョース滝 Kjosfoss のところでは、列車がわざわざ停車してくれます。この滝は高さ 93m
だそうで水量も多く、すばらしいものでした。列車はこのあともどんどん下って行き、フロム到着(13:30)。 
昼食をとり、フェリーで出発(14:40)。世界一長いソグネフィヨルド Sognefjord から分岐したアウランフィヨルド
Aurlandsfjord とナールフィヨルド Naeroyfjord
を2時間の遊覧。延々と続く垂直な壁の峡谷に感動はやや麻痺気味。むしろ、時々あらわれる小さな村落や、崖の上の小さな家に感嘆しました。グドバ
ンケン Gudvangen に 16:40
着。このあとバス(というよりタクシーバン)に乗って、オスロへ。途中、休憩と夕食をとり、オスロ駅に戻ったのは 22:30 でした。 | とびら へ | 前へ 次へ |
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