| © 2012, Tatsuyuki KAMIRYO | ネアンデルタール人を推理する |
六十万年から四十万年ほど前のアフリカでネアンデルターレンシスとサピエンス(の遺伝子)が分岐
し た、という意味は、その頃にネアンデルターレ
ンシス系統の先祖がハイデルベルゲンシスの系統から離れていく、そのきっかけになる(遺伝子の)変化がおこっただろう、ということです。そういう
時期には、まだサピエンス出現の兆しなど何もありません。ネアンデルターレンシスの方だって、ハイデルベルゲンシスの小集団(おそらく二十人
ほ
ど。コミュニケーション能力が高い現代人でも、統率のとれる集団の人数はせいぜい百五十人とされています)のどれかに、そういう兆しが芽生えたと
いうことです。その「兆し」とは、たとえば大脳がチョッと早く大きくなれるとか、そういう、眼には見えない変化のことです。
なお、人類集団がアフリカ大陸を出てシナイ半島を横切り、パレスチナ地方経由でユーラシア大陸以遠に広がっていくことを、よく「出アフリカ」
と いいます。これはユダヤ・キリスト教の経典にある、モーゼがユダヤ人をエジプトから連れ出す、「出エジプト」をもじった表現です。| とびら へ | 前へ 次へ |
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