■1.Fish Scales の概要
「宇宙空間における骨代謝制御:キンギョの培養ウロコを骨のモデルとした解析」
金沢大学の鈴木信雄先生、東京医科歯科大学の田畑純(当分野)、服部淳彦先生(教養部)の3人を中心として実施されました。
キンギョから抜いたウロコを無菌にして、専用培養器に入れて、宇宙へあげ、"きぼう"船内実験室内の細胞培養ユニットで培養し、この間に
起こる変化を「微小重力 下で
起こる変化」と捉え、「細胞形態」と「遺伝子発現」にどのような変化があるか、また新規薬物による効果の有無を調べました。
右は Fish Scales の公式デカール。私のデザインです。
■2.キンギョの準備
キンギョは大和郡山で作られた系統のヤマトです(写真1)。実験には、東京海洋大学の遠藤雅人先生(海洋科学部)が人工繁殖で同腹個体を
大量 に 作り、これを選抜して、約300匹用意しました。
キンギョの飼育とウロコの準備は、東京医科歯科大学のM&Dタワー8階に設置されたウロコラボ(写真2)で行われました。ウロコ
ラボの運用は田畑が行い、歯学部4年生のボランティア6名(西井直人くん、北村智久くん、中野崇文くん、馬場優里さん、柳綾香さん、三上
理沙子さん)がサポートしてくれました(写真3)。
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写真1 キンギョ(ヤマト)
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写真2 ウロコラボ
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写真3 実験サポートの歯学部4年生たち
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■3.打ち上げ〜実験〜帰還
2010年5月14日、スペースシャトル・アトランティ
スの ミッション STS-132 で宇宙実験用のウロコが打ち上げられました(写真4)。
ISS では、野口聡宇宙飛行士によって培養実験が行われました。実験の最終日は、JAXA筑波宇宙センター内の管制室
で鈴木・田畑・服部がモニターすることができ、状態のチェックなどを行いながら、作業をすすめてもらいました(写真5)。
2010年5月26日、スペースシャトル・アトランティス
STS-132で、実験に使ったウロコ達が帰還しました(写真6)。フロリダのケネディ宇宙センター内にもラボを設置しており、そこで田畑らが試料を受取
り、すぐに状況 を確認して追加の処置を行いました。試料は
JAXAの手で日本まで運ばれ、つくばにて我々グループへ引き渡され、解析を開始しました。
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写真4 アトランティス
STS-132の発射
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写真5 JAXA筑波宇宙センターで |
写真6 アト ランティス
STS-132 の帰還 |
■4.成果など
TV取材
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SPACE@NAVI-Kibo (No107) 「Fish
Scales」, JAXA, 2010年6月23日ネット配信
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講演
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池亀美華: 微小重力に対するウロコの破骨細胞の応
答:国際宇宙ステーションにおける宇宙実験.第53回歯科基礎医学会・サテライトシンポ10(岐阜市)2011年9
月
田畑純: 歯からウロコへ、そして宇宙へ.
赤ちゃん歯科ネットワーク・第20回例会講演(浅草)2017年4月
田畑純: 宇宙ではどうして骨がもろくなるのだろう? 〜目からウロコの僕らの宇宙実
験〜. 橿の木会・さわやか歯科セミナー・こども向け講演(橿原市)2017年8月
田畑純: 重力のありがたさ 〜キンギョのウロコの宇宙実験による骨代謝の解析研
究〜.橿の木会・さわやか歯科セミナー・歯科医師向け講演(橿原市)2017年8月
田畑純: 歯からウロコへ、そして宇宙へ.九州歯科大・大学院セミナー 2017年
12月
田畑純: 鱗を用いた宇宙実験:微小重力下における硬組織の変化九州歯科大・最新生命
科学 2019年11月 |
論文
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Ikegame M, Hattori A,
Tabata MJ, et al. Melatonin is a potential drug
for the prevention of bone loss during space flight.
J. Pineal Res. 67 312594 (2019) DOI 10.1111/jpi.12594
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*このページに掲載のシャトル、ISS、ソユーズ、HIIB などは、NASAとJAXA の公開写真の転用です。この研究プロジェクトは、JAXA にも紹介ページがあります。