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2011/09/24 |
ラヴェル版の面白さは、管楽器の用法の妙にあります。例えば、第1プロムナードのトランペット・ファンファーレ、古城で流れるアルト
サック スのメロ
ディ、ビドロのテューバの迫力などなど。これを聴いていると、吹奏楽や金管楽器に向いた素材であると思えてきます。メジャーな編曲は、ハイン
ズレー編
(1963年)、ハワース編(1977年)が双璧。ハインズレー編は木管なども含めた編成のためのアレンジで、フェネル指揮・東京佼成ウィン
ドオーケスト
ラの演奏がおすすめできます。一方、ハワース編は金管編成のしかも結構難度の高いアレンジです。強者そろいのご本家、フィリップ・ジョーン
ズ・ブラス・ア ンサンブルの演奏とベネズエラ・ブラス・アンサンブルの演奏をおすすめします。
なお、ラヴェルの影響はあまりに大きいため、ラヴェル版そのものに聞こえるような編曲・演奏が多いのですが、こうした状況にあって、高
橋徹 版 (1999年)は異彩を放っています。レメンス音楽院楽団の演奏をおすすめします。
フェネル+東京佼成WOの
ハインズレー版
|
PJBE
の ハワース版 |
ベ
ネ ズエラ BEの ハワース版 |
レ
メ ンス音楽 院楽団の 高橋版 |
ブラール
のオルガン版 |
ウィー
ブシュ の オルガン版 |
ク
ラッブ&ド ローズヴォールの アコーディオン・デュオ版 |
Ma.Gr.Ig.Al.
の ロシア民族楽器合奏版 |
山下和仁の
ギターソロ版 |
ピ
ア チェーレ の フルート合奏版 |
ア
ン サンブ ル・アメディオの マンドリン合奏版 |
■5.ジャズとロック (1962年〜)
今でこそ、さまざまなジャンルの「展覧会の絵」の編曲がありますが、その先鞭をつけたのは、1962年のオールイン・ファーガスン
(Allyn
Ferguson)によるビッグバンド・ジャズ演奏といってよいでしょう。ジャズの音盤はあまり数が出ないためか、入手が難しいことが多いの
ですが、この
ファーガスンの音盤はLPでも再ブレスされ、CDにもなり、今やMP3での販売もされています。しかし、この後のジャズ演奏はあまりないよう
です。単曲で
の演奏はしばしばみつかるのですが、全曲にチャレンジすることはなかなかないのです。そうした中にあってシンセティック・ジャズのコーラル・
コンサートは おすすめ。また、最近、ドイツのジャズ界で次々と盤が出ていて注目です。
オールイン・ファーガスンの
ビッグバンド・ジャズ版
|
コー
ラル・コ ンサートの シンセティック・ジャズ版 |
ELP
の ロック版 |
冨
田 勲の シンセサイザー版 |
「音楽は人の会話である」とムソルグスキーは語っており、このため、ムソルグスキーは生涯の多くをオペラと歌曲の作成に費やしていま
す。 従って、
「展覧会の絵」は彼の作品群の中では余録のようなものかもしれません。しかし、冨田勲のシンセサイザー版を聴いていると、この「人の会話」の
具体化のよう
に感じることがあります。そして、合成された音声でありながら、詩情性がよく出ています。このことは冨田勲以降の電子音楽を聴くようになっ
て、むしろ本来 は無機的な音なのだと知らされるようになりました。
まだサンプリング技術がなかった時代ですから、ヴォーカルをフィーチャーした音声などは、すべて手作 業での合成でした。
なお、冨田勲は1966
年に手塚治虫の依頼で、アニメ版「展覧会の絵」のための管弦楽曲編曲を行っています。秋山和慶+東京交響楽団によって演奏されていますが、ア
ニメにあわせ
ることを意識してか、非常にコミカルに作り上げていて、これもおもしろいと思います。シンセサイザー版「展覧会の絵」のリリースは1974年
ですが、この 1966年版を拡大してよりコミカルに雄大にした感じになっています。
冨田勲は「月の光」、「火の鳥」、「惑星」、「ダフニスとクロエ」、「大峡 谷」などさまざまなクラシックを題材としてとりあげていきましたが、中学生だった私は冨田音楽の虜になり、冨田勲のLPすべてを買いそろえ、 それを中心に 本来のクラシックも聴くようになりました。私にとって大きな音楽経験でした。
それから、ちょっと構成的に難しいかもしれませんがコーラス版。しかも無伴奏か簡単なピアノ伴奏だけで混声合唱の本格的なものをできな いで しょう か。歌詞はい りません。アレンジも人の声の特性にあわせた方がいいでしょう。神谷百子のマリンバ版(山田武彦)のような編曲がいいように思っています。
いずれにせよ、ELPが示したような大胆で自由な発想のアレンジが私は好きです。場合によっては、曲の入れ替えも含めたアレンジも面白 いと 思ってい ます。 「展覧会の絵」はそういう自由な遊びが許されてる曲なのだと思っています。
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