© 2001-2024, Kyu-hachi TABATA updated on  2012/05/24

休八写真館35mm判カメラ室

BelOMO Chaika II


BelOMO Chaika II /
        ベロモ チャイカ2
ベラルーシのハーフ版カメラ。

チャイカとはロシア語でカモメの意味だ。1963年、ヴォストーク6号で飛行した世界初の女性宇宙飛行士、テレシコワのコールサイン Я чайка (ヤー・チャイカ、こちらはカモメ)にちなんだものだろう。чайка のロゴの й の上のアクセント記号のようなところが、カモメのシルエットになっており、とてもおしゃれだ。

このカメラの美点は3つある。

ひとつめは、天蓋がフラットであることだ。本来、天蓋部にある巻き上げレバー、シャッターレリーズボタン、シャッター速度のダイヤル などを背面や前面に移動している。そして、それらの操作性が実によい。ボディのアールも大きめで全体にやわらかな印象を与えてくれている。このデザインの 優美さはロシアカメラの中で突出していると思う。

ふたつめはシャッターレリーズの配置だ。天蓋ではなく、前面、レンズ右上にあり、カメラを持つ右手の人差し指が自然にかかるところにある。 従っ て、縦でも横でも自然な構えでシャッターを押せるので、押す時の感覚にほとんど差がない。縦位置での撮影が多いハーフカメラとしては、理想的であ る。レンズシャッターであるため、振動が小さいのも大きな長所で、手ぶれをしにくいカメラだと思う。

3つめはレンズの優秀さで、装着されている Industar 61 は Tessar ゆずりの写りである。私のチャイカは絞りもシャッター速度も正確で思ったとおりの写真が撮れる。ファインダーがどこまで写るのかがわからないのだが、 まぁ、気楽にシャッターを押すことが多く、あとは現像後のお楽しみである。

興味深いことに、チャイカ II と III は、レンズが M39スクリューになっていて、簡単に脱着できる。とはいえ、ライカ・スクリュー(L39マウント)とも初 期ゼニット(ゼニットマウント)ともフランジバックは異なるため、これらのレンズを付けても使用できない。装着しても、撮 影距離や画角が大きく変わってしまうため、距離目測が全くできないからだ。ただし、脱着は無駄ではない。チャイカのレンズを Zenit 3M に装着して超マクロ撮影を楽しむことができるからだ。

ただ、レンズを脱着できるのは、レンズ交換のためではないと思う。チャイカ II のボディを組み込んだ警察の自 動撮影装置、 顕微鏡用ユニット、複写用ユニットなどを web で見ることができる。こうした機器の構造を見ると、レンズを外して組み込んでおり、脱着はこうした特殊用途向けの仕様と考えられるのだ。

追記1: BelOMO はベラルーシ(白ロシア)のミンスクにある光学機器メーカーの連合体。カメラ関連のメーカーとしては、MMZ と Vileiki の二つがある。Chaika を製造していたのは MMZ 。

追記2: フィルムが浮きやすく、巻き上げ不良になることがある。フィルムの装填時にきちんとスプールに巻き付かせ、テンションを与える ことが大事だ。うまく装填されるとコマ間は驚 くほど正確である。

追記3: ときどき、シャッターが開きっぱなしになる。シャッター羽根について汚れだろうか。

発売年
1967年  愛着度★★★
型 式
35mmフィルム 24x18mm ハーフサイズ/距離目測
シャッター ビハインドシャッター、1/250, 1/125, 1/60. 1/30, B
レ ンズ
Industar 69 28mm F2.8 (M39レンズ、脱着できる)
測 光
なし
ファ イ ンダー
ビューファ イン ダー
フィ ル ム交換
1.使用済みフィルムが ある時 は、底面にあるノブを引き出して巻き戻す。
2.背面を開ける時は、左側面のスライダーを動かす。使用済みフィルムを取り出す。
3.新しいフィ ルムをパトローネ室に入れ、フィルムのリーダー部を右手のスプールに巻き付ける。
4.巻き上げは、右手背面の巻き上げレバー。
大きさ・重さ w112mm x h78mm x d53mm 390g
関連 web
フィルムを通せば/Chaika II: http://www.dancestep.net/camera/camera/chaika_2.php
参考書籍
中村陸雄, 「ソビエトカメラ党宣言」 原書房 2001

BelOMO Chaika II / ベゴニア

ベゴニア。
Industar-69 28mm F2.8 /RDPIII

BelOMO Chaika II / ツルバラ

ツルバラ。
Industar-69 28mm F2.8 /RDPIII



とびら へ 前へ  次へ
↑ トップへ