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休八写真館工作室

ハンザ・フィールド69用レンズボードの製作



Hanza Filed 69 board フィールドタイプのカメラは、レンズを装着したボードごと取り 替えて使用 する。従って、レンズの数だけボードを用意するのが普通で、巷ではリンホフ・ボードやトヨ・ボードが標準的なボードとしてよく普及している。

ただし、Hansa Field 69 のボードはサイズが特殊。すでに製作・販売は終了しているし、数が出ていないので中古の入手はほとんど無理。必要ならば、自分で作るし かない。

幸い単純な板なので自作はできそうだけれど、金属板を切ったり、レンズ差込みの丸い穴をあけるのはさすがに難しそうだ。やはり、DIY のお店か、プロに頼む方がいいかな? でも、材料費+工賃はどれくらいになるのだろう。

そんなことを考えていた矢先、きりいた.com というサイトを見つけ た。 料金体系がシン プルでリーズナブル。早速、図面を作り、依頼した。数回のやりとりをはさみ、 10日ぐらいで図面通りに切られたアルミ板が届い た。レーザー加工なので仕上がりがと ても綺麗だったし、寸法が正確なので感心した。

ボードの裏側部は遮光の工夫が必要だ。正規ボードと同じように黒い塩ビ板で艶消しのものを貼ることにしてハンズで探したところ、セーム革仕上 げの 黒い塩ビ 板 を見 つけた。ただし、表のセーム革地ではなく、裏の梨地がおあつらえむきの艶消し黒になっていた。それでセーム革面をアルミと接着し、梨地面を活かす よ うにした(写真上)。

きりいた.com の料金は 200mm x 200mm 単位で決まるので、ボードを6枚作ることにした。全部をレンズ用にするほど、レンズを揃えることはなかろうと考え、2枚を針穴用のボードにしてみ た。長時 間露光が多いので、キャップがわりの鉄板を開け閉めすることでシャッターとしよう。それで、マグネットシートを針穴部の周囲に貼 り付け、これで鉄板のキャップを脱着できるようにした(写真下)。


材料

・1.5mm厚 アルミ板: きりいた.com で加工を依頼。
・0.3mm厚 塩ビ板: 表がセーム革地、裏が梨地で艶消し。色は黒。 
・コニシ・ボンドGPクリヤー (#14372)
・カッターなどよく切れる刃物

作り方

1.
正規のレンズボードを採寸して、図面を作る (下図 A)。材 質はアルミ。62mm x 75mm x 厚み2mm。
#0 シャッター用として、
レンズ取り付け穴の直径は 35mm とする。
2.
きりいた. com に注文。図面を送り、1.5mm厚のアル ミ板を加工してもらう。実質1週間 ぐら いで手元に届く。
3.
0.3mm厚の塩ビ板(色・黒、表・セーム地、裏・梨地艶消し)をアルミ板の裏 に貼る。接着剤はコニシ・ボンドGPクリヤー (#14372) を使用。接着したら、厚みは、ほぼ 2mm厚になる。
4.
アルミ板に合わせて、塩ビ板をカッターできれ いに 切り取 り、はみ出した接着剤などをミツワ・ラバー・クリーナーで取り除いて 完成。
5.
レンズを装着し、カメラに装着する。

board

応用 (針穴用ボード)

1.
正規のボードと同じ大きさ、厚み、手順で作るが、真ん中の穴を 15mm x 15mm にする(上図B)。
2.
黒い塩ビ板を裏に貼り付ける。
3.
別途用意した針穴プレート(25x25mm)を裏に貼り付ける。 針穴プレートの作り方はこちら
4.
キャップは、0.3mm 厚の鉄板(両面を火であぶって酸化しておく)を 30 mm x 30mm に切って使う。切る時は、まずケガキで印をつけ、そのあと、アクリル用のオルファ・Pカッターで削るようにして切った。
5.
ボードの切り抜き部周囲にマグネットシートを貼り付け、ここにキャップをつけられるようにす る。
6.
撮影するときは、鉄板のキャップをはずして露光。

*通常用、針穴用あわせて6枚作製 し、費用は 大体 \3,600 ぐらいかかりました。1枚あたり \600 になります。


追加 (他のサイズ)

#0用のレンズボードだけでなく、#00用、#1用のレンズボードも作成。作り方はほぼ同じ。
それぞれのレンズ取り付け穴の直径や用途は下記のとおり。

#00
Φ27mm
:最近は滅多に見られないサイズ。スーパーアンギュロン65mm F8など。
#0
Φ35mm
:ハンザ用としては標準。ただし、後玉が大きいレンズは使用不可。
#1
Φ42mm
:ハンザ用としては特殊。後玉が小さければ使用できるが、とりつけにはコツがいる。


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