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休八写真館大判カメラ室(4x5判)

Chamonix Saber


Chamonix Saber
4x5 (シノゴ) を手持ちで撮れるレンジファインダー機。ポラロイドのラ ンドカメラ 100 シリーズを ベースにしている。

もともとランドカメラで使われるインスタント・フィルムは、大判に近いサイズ。 従って、より大きなイメージサークルを持つレンズ(=大判レンズ)に替え、4x5のフィルムホルダーを使えるように改造すれば、ランドカメラをベースに大 判カメラを作ることができる。こういう発想で作られたのが、このセイバーだ。

ベースはランドカメラ 250 か 350。使われている部品は、アーム、 前板の金属部、後 板の一部、シャッター部、距離あわせのメカニカ ル部、ファイン ダーなど。 このほかは取り外され たり、削られたりした。当然ながらインスタントフィルム の装填部はきれいに外されている。

新たに加えられたのは、大判レンズとレンズシャッ ター。組み込めるレンズには選択肢があり、ローデンシュトックの Apo-Sironar 135mm、シュナイダーの Symmer 120mm
、ニコンの Nikkor W 135mm などがある(私は Nikkor W 135mm の機体を入手 )。こ の他、美しい木目の前板と左グリップ、蛇腹、アルミ外装な どは新造部品である。ファインダーはランドカメラの高級モデルに使われていたひとつ窓式のレンジファインダーだが、折りたたみ式ではなく、据え付け型に なっているのと外装が黒くなっているので、この部分も新造だろう。いずれも美しい仕上がり。新旧のパーツが織り混ざっているが、一体感が あっ て不自然さがな い。よいところをそっくり残していて、ベース機へのレスペクトが伝わってくる。

カメラの 楽しみのひとつは「さわる」ことだと思う。 手触り感のよさや、取り回し感のよさが、カ メラを扱う楽しさを増してくれるのだが、まさにこ のセイバーには、それがある。手作り部分の質感の良さ、軽量ゆえの取り回し感の良さ。

左手のグリップ部は、ランドカメラにもあった造形を再現したもの。 右手のグリップ部はアルミ枠を加工した新しい造形。従って、左右の手は、自然と新旧をつかむようにしてカメラを構えることになる。これも、なかなかイイと 思う。

階段、瓦礫、山道など三脚を立てにくい場所での撮影、街中での撮影、風の強い日の撮影、大きく見上げるような撮影。普通の大判カメラに とっては難しいと ころで、力を発揮する。また、軽快に撮れることもあって、大判フィルムの操作に慣れるのにももってこいである。気軽で自由。そういう撮影 の楽しさがセイバーの魅力でもある。

追記1: セイバー saber は、サーベル(軍刀)のこと。組み込まれるレンズによって、レンズはめ込み部の形に違いがあったり、グリップ部や最外殻と元のカメラボディ部とのすき間の 処理にも若 干のヴァリエーションがある。4x5の手持ちカメラは、他社からもいくつか出ていて、レンズ交換が出来たり、ライズやフォールが出来たり とより高機能なものもあるが、いずれ も大きく重いし、広角が多い。逆に標準レンズを使っていて、折りたたみ式でレンジファインダーになっているというスペックは例がないと思う。こうした点 で、セイバーは他社のカメラにはない魅力がある。

追記2: レンジファインダーはかなり正確に連 動しているが、近距離では、ピントずれがあって、4-5mから手前は用心が必要。開いて撮るときなどもそうだが、やはり、手持ちであっても、ピントグラス できちんとピント合わせをする方がよい。冠布なしでも、遮光型のピントグラスならば、そこそこにピント合わせができる。

追記3: フィルムバックの取り付け位置を間違えやすい。左の外枠ぎりぎりにフィルムバックを取り付けてしまうことがあるが、それをやる と 撮影枠がずれてしまうのと、画面全体が露出オーバーのようなもやがかかる。光線漏れの一種だが、奇妙な漏れ方なので最初は二重写しをした のかと思い、原因がわかるのに時間がかかった。正しい位置は、パッキンが付いているところなのだが、ピントグラスの形状がフィルムバック の形状とはちがうこともあって、ピントグラスの確認作業のあとのフィルムバック交換時に間違いやすい。何にせよ、撮影時には撮るものに気 持ちが入っていて、手元の確認がおろそかになる。気をつけなければいけない。


発 売年
2010年?  愛着度★★★★
型 式 大判フィル ム/レンジファインダーカ メ ラ
レンズ Nikkor W 135mm F5.6
シャッター Copal #0  
そ の他 アオリなし。三脚用ネジ穴は横・縦にある。
大 きさ・重さ w195mm x h160mm x d170mm (収納時 d90mm)  1100g (本体+ピントグラス)
参 考 web Chamonix View Camera: http://www.chamonixviewcamera.com/
参 考書籍 玉田勇 「大判写真入門」 写真工業 2007 (改訂7版)
玄光社Mook 「ビューカメラマニュアル」 玄光社 2000 (5版)

Chamonix Saber / シャモニー セイバー /
              東京国際フォーラム / Tokyo Forum

東京・国際フォーラム。  Nikkor W 135mm F5.6  / Neopan 100 Acros

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