© 1996-1997, Kyu-hachi TABATA
ヘルシンキだより #2      1996-11-16 記

こちらは毎日のように雨ですが、この雨が降っている間は秋。昨日、初雪でしたが、今日はまた雨。路面が凍る 日も度々になり、「やあ、冬がきたなあ」と人が言ってました。ヘルシンキは秋が一番憂鬱で、冬は気持ちいいよと言う人が多いのに驚きま す。私などは−20度まで下がると聞いてちょっと不安を感じているのですが。


2-1 メールの宛て先

geb02335@niftyserve.or.jp  自宅で送受信。日本語可です。
次のアドレスも有効ですが、制限があります。
tabata@operoni.helsinki.fi  大学で送受信。ただし日本語不可です。
(makoto.tabata@helsinki.fi でもよい)
tabata@dent.osaka-u.ac.jp 大学で時々受信。送信は不安定。
なお、通信のタイムラグはほとんどありません。こちらとそちらの時差、および自宅で読むか大学で読むかということが実質的なタイムラグに なります。急ぎの時は、ファクスか電話をご利用ください。なお、ファイル添付は、まだテストしておりませんので、どのアドレスが有効かま だ試していません。ただ、Nifty はファイル添付ができません。

2-2 こちらの histochemistry

昨日から、ヒスの部屋で仕事をはじめました。パラフィンの包埋台がよくできていておどろきました。パラフィ ンを常に 60度に温めていてフットスイッチひとつで必要なだけのパラフィンが小さな口から出て来ます。技官の人達もなれた手つきで次々と包埋して 行きます。
こちらのルーチンの手順は次の通りです。

 ・4% PFA/PBSで固定一晩

 ・アルコールアップ。途中でエオシン染色
 ・キシレンにおきかえ。
 ・パラフィン100%に移す。60度で30分〜1時間30分
 ・小さな時計皿の上に組織片(パラフィン少量含む)を移し、冷却して固化。
  エオシンにつけるのは小さな組織でも見易くするためで、なかなか便利です。

クリオスタットはライカの新しい高級機です。しかし、刃が昔ながらのホンモノの刀のような刃で、ちょっと驚きました。「ディスポはないの か?」ときくと、「これには付けられない。便利か?」と聞かれる始末。「便利だ。自分はディスポ以外を使ったことがない。こんなのアブナ イよ。」


今、注文しているミクロトームがあって、それには付けられるとのこと。もう少し待てとのことでした。ありがたや。


2-3 動物について

こちらでは動物のほとんどを自前の飼育センターで準備しています。セキュリティは施設内でも一段と厳重です。動物を殺すところまでがセン ターの仕事なので、必要な試料をセンター内で採取してから、自分のラボへもどります。


動物の殺し方は、1研でいつもやっている方法がもっとも一般的なので驚きました。「おまえはどうやって殺す?」と聞かれて、困ったな。 ちょっと野蛮な殺し方かなあと思いつつ、この指を使って首を折り、脊椎を壊すんだというと「それが一番いいよねえ」といわれました。変な 動物愛護がなくて安心しました。


飼育センターでは、CO2ガスをバケツに注入してその中でマウスを殺します。入り口には、「動物を殺さないなら、誰が真の殺人者(病原体 など)を殺すんだ?」という意味のポスターが貼ってありました。


ちなみに Tabby も自前で飼育しています。

2-4 セキュリティナンバー取得(11月6日)

こちらではハンコがありませんから、かわりにセキュリティナンバー Henkilo"tunnus を発行してもらいます。11月4日に警察で手続きをし、11月6日に配布されました。10桁の数字です。これを覚えることがヘルシンキ市民の第1歩のよう です。あとで知るのですが、セキュリティナンバーを提示すると市の交通局でも、銀行の窓口でも、コンピュータにその人間の個人情報が出て 本人との確認が出来るようです。

次に便利なのが、バスカードの取得です。バスの定期券のようなものですが、写真入りの免許証のような作りで IDの代わりになる点でも日本の免許証と同じぐらい保証が高いものです。外人にとってはパスポートがなくてもこれさえ提示すればすんなり 話が進む場合が多く、両替、口座開設などで利用しました。もちろん、定期券としても超便利で、ヘルシンキを走るすべてのバス、トラム、メ トロを自由に乗り降りできます。バスを利用する人のほとんどがパスを利用しているというほど普及しているようです。

(追記)セキュリティナンバーは1年以上の滞在をする場合、外国籍でも取得可能となります。バスカード購入はセキュリティーナンバー取得 により、約2/3の値段になります。



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