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2014/04/06 |
トゥシュマロフ編(1891) |
ウッド編 (1915) |
フンテク 編 (1922) |
カイエ編 (1937) | ゴルチャコフ編
(1955) |
スメタ チェク編 (?) |
アシュケナージ編
(1982) |
ユー編 (2002) | ブレイナー編 |
|||||
Marc Andreae w/ Munchner P. |
Nicholas
Braithwaite w/London P.O. |
Vladimir Ashkenazy w/ Swedish R.S.O |
Leif Segerstam w/ Finnish R.S.O. |
Horia Andreescu w/ Netherlands R.S.O. |
Eugene Ormandy w/ Philadelphia O. |
Kurt Masur w/ London P. O |
Kurt Masur w/ Gewandhaus O. Leipzig |
Karl
Anton Rickenbacher w/ Radio S.O. Krakau |
Gennadi
Rozhdestvensky w/ Prague S. O. |
Vladimir Ashkenazy w/ Philharmonia O |
Hironyuki Iwaki (岩城宏之) w/O.Ensamble Kanazawa |
Jefrey Crellin w/ Autsralia Pro Arte Chamber O. |
Peter Breiner w/ New Zealand S.O. |
arr. M.Touschmaloff
& N. Rimski-Korsakoff (1891) |
arr. Henry Wood
(1915)
|
arr. Leo Funtek (1922) | arr.
Leo
Funtek (1922) |
arr. Leo Funtek (1922) | arr. Lucien Caille (1937) | arr. S. P. Gorchakov (1955) | arr. S. P. Gorchakov (1955) | arr. S. P. Gorchakov (1955) | arr.
Vacav
Smetacek |
arr. Uladimir Ashkenazy | arr. Julian Yu (2002) | arr. Julian Yu (2002) | arr. Peter Breiner (2014?) |
テイチク BASF ULX 3185-B
[LP] |
Lyrita SRCD 216 | Teldec Video 9031 70774-6 [LD] | BIS
CD-325 |
Electrecord EDC-735 | Biddulph WHL 046 | Teldec 4509-97440-2 | Pioneer PIBC-1043 [DVD] | RCA/BMG74321 88320 2 | Don
Industriale
DI-05 023A [CDR] |
London/ポリドール F25L-5311 |
Warner WPCS-11745 | Move Reco MD 3312 |
Naxos 8.573016 |
Munchen 1973/11 |
London 1990/1/10-11 |
Stockhorm 1983 |
Helsinki 1986/2/17,
19 |
? | 1937/10/17 | Snape 1990/12 | Leipzig 1993/9/15-16 | Krakau -2015,
Kyu/10/12-15 |
Prague 2004/10/28 |
London
1982/9 |
金沢 2003/9/3-5 | Melbourne 2005/10/2 |
Wellington 2012/2/7-9 |
プロムナードは第1のみ。弦楽合奏ではじまり、後半にドラ
ムや シンバル
でどしんどしんと歩くような表現がある。これがなかなかいい。友の遺作展に訪れたムソルグスキーがまず会場の前にたたずみ友を懐
かしむ。そしてゆっくりと
会場へと足を運ぶかのようだ。しかし、グノムが省略されており、すぐに古城へ入る。このあともテュイルリー、ビドロが省略されて
いるので、すぐに雛の踊り
となる。リモージュなどでハープが効果的に使われており、キエフ終盤の編曲もおもしろい。演奏もよく、おすすめできる。 トゥシュマロフ(1861-1896 ロシア) はR=コルサコフの弟子。36歳という若さで亡くなったため、この編曲以外には名を残していない。しかし、これこそが展覧会 の絵の最初の管弦楽版である。 クレジットには、編曲者としてR=コルサコフの名を連ね ていることが多いが、トゥシュマロフ単名では、名が通らないので連名にしたといわれており、ここでは単名表記とした。Andreae のHPはこ ちら。 Acanta
233609
待望のCD化。構成 などには変更無し。マスター音源からのデジタル化とのこと。
|
プロムナードは第1のみ。ブラスの重奏で華やかに始まる。
グノ ム
はムチなども使って効果音がいい。古城も弦と管がうまく使われている。何よりも副旋律の入れ方のセンスが抜群。テュイルリでは
ヴァイオリンのソロで奏でら
れるが、これがいかにも小さな子の可愛いらしい仕草を思わせる。ビドロでもタンバリンが牛車のきしみを表現していて思わずうまい
と手を叩きたくなる。雛の
踊りは、家鴨の鳴き声を思わせるオーボエにフルートやヴァイオリンがからむ。まるで冨田のシンセサイザー版のように猫と雛の追っ
かけっこを思わせる。サ
ミュエルもいい。バーバ・ヤーガもいい。何カ所も独創的な部分があり、オーケストレーションも見事で、ラヴェル版と見事に対比で
きる出来だと思う。すばら しい。おすすめできる。 Sir Henry Wood (1869-1944) は、英国の指揮者。1895年、クインズホールでプロムナードコンサートを組織して、終生これを指揮した。これこそが、イギリスの夏の大イベントである現在のBBCプロムスである。 |
3部構成になっており、第1部は、アシュケナージ自身によ る曲 解説 (26分ほど)。第2部は、スウェーデン放送響・アシュケナージ指揮のレオ・フンテク版。第3 部にアシュケナージ演奏によるピアノ版(原典版)となる。ウィーン原典版のピアノ譜などに解説を寄せるアシュケナージならではの 力の入り方だ。そしてこの フンテク 版がまたいい。アシュケナージ自身も、管弦楽への編曲を行っているが、これを1982年に録音したあと、このフンテク版を収録し ていることが興味深い。映 像のすばらしさ、構成の良さもあって、超おすすめできる。DVD化が待たれる。 | ラヴェル編を近代的な建物とするならば、フンテク編はオー
ソ ドックスな 古典建築だろうか。ラヴェル編に馴化
された耳に、セゲルスタムが鮮やかに生き生きと表現にしてくれるフンテク編は聴き応えがある。 Leo Funtek (1885-1965)はスロヴェニア出身で、フィンランド・シベリウス音楽院でヴァイオリン演奏の教授や、フィンランド国 立歌劇の主任指揮者を務めた (1925-59)。ラヴェルに先立ち、真に完全な形で管弦楽曲への編曲を行い、ヘルシンキPOが初演した(1922年)。 この記念すべきフンテク版を初 録音したのは、1944年フィンランド生まれのレイフ・セゲルスタムと、彼が首席指揮者をつとめる(1977-1987年) フィンランド放送響。フンテク と縁の深いフィンランドならではの演奏である。 |
フンテク版の盤は実に26年ぶりぐらいだ。アシュケナージ盤もセゲルスタム盤も今や入手がむ
ずかしいので貴重な盤である。全体に弦楽器が主体の演奏でつややかな旋律が楽し
める。管楽器は合奏時にやや音が揃わないところがあるのがそれほどは目立たない。カタコンブの強奏などでは効果的に音を重ねていて、迫力があった。 |
オーマンディも38歳という若さだ。カイエ版は弦の強い
フィラ デ
ルフィア管で作られただけあって弦楽器をフルに使用した編曲で、古城やテュイルリで弦が主旋律をとる。ビドロは逆に管楽器の主旋
律でしかも大変早いテンポ で始まる。卵の
殻をつけた雛の踊りでは、ふんだんにパーカッションを使っており新鮮。ゴールドベルグとシュミイレ、リモージュなどは、ラヴェル
と似た構成だが、ところど
ころ副旋律が入れてあり面白い。キエフの大門などでは、原曲にない下降旋律や、副旋律が入り乱れ、華やかな感じが良く出ている。 Lucien Caillet (1891-1984)はフランス生まれのバス・クラリネット奏者で、1916年からフィラデルフィア管に在籍。ラヴェルと 同じフランス人でありながら、 「展覧会の絵」をもっとスラブ音楽らしく編曲することに成功していると思う。ただし、当時の指揮者ストコフスキーは自ら編曲 したもの(1939年)を好ん で演奏。このCDは、その後任指揮者となるオーマンディに よって指揮、録音されたもの。 History 205236-303
オーマンディの10枚組CDの中の1枚に 再収 録されていた。 |
ラヴェル編と比べ、やや地味な感じであるが、プロムナードもすべて取り入れており、原曲に忠実であろうとしてい
る。また、主旋律に対して不協和音になるような旋律を効果的に入れている箇所があり、面白い。不安なモチーフをうまく表現してい
ると思う。Masur のリズム感、躍動感のよさもよく伝わってくる。おすすめできる。 モスクワ音楽院の教授 Sergei Petrovicth Gortchakov による編曲(1950)で、ラヴェル編に対してよ りロシア風にすることを目的としたという。 マズア(1927- ドイツのブゼク)は、1970年からライプツィヒ・ゲヴァントハウス管弦楽団の首席指揮者として名高い。1991年からは ニューヨークフィルの首席指 揮者も兼務し、同フィルの団員、ファンからも強い支持を得ている。ロンドン・フィル(LPO)は弦の音が若々しく清明で、全 パートの音の立ち上がりがきれ いで好感がもてる。 |
1970年よりライプツィヒ・ゲヴァントハウスの首席指揮者であるマズア(1927- ドイツ出身)によるゴルチャコフ版「展覧会の絵」。しかも映像版であり貴重である。ラヴェル版とくらべると管楽器の使い方がおと なしめであり、全体にシン プルな感じになっている。 | 録音が今ひとつ鮮明さにかけるのが残念だが、ゴルチャコフ版としては マズ アと違っ
た演奏で興味深い。 カール・アントン・リッケンバッカーは1940年バーゼルの生 ま れ。ピエール・ ブーレの弟子。 RCA/BMG 74321 80400 2 ウスチノフの語りが8カ所に入る。併録は、ホヴァンチナ前奏曲(ムソルグスキー)。くわしくはこちら。 |
Vaclav Smetacek
による編曲。出だしはオーボエでやや軽い足取りのプロムナード。時にはラヴェルと同じ様な編曲や構成になるものの違和感はない。
リモージュなどでは金管や
マリンバが活躍し、躍動感がある。最後のキエフのところでは、迫力のある展開。久々に面白い編曲が出てきたと思う。演奏もよい。
CD-Rだが、おすすめし たい。 Vaclav Smetacek (1906-86)はブルノ生まれ。チェコフィルのオーボエ奏者であったが、後に指揮者に転じ、プラハ放送響、日フィル、東 響などで指揮をした。 |
ラヴェル版では「サミュエル」のあとのプロムナードが省略されているが、これも原曲どおり演
奏さ れる。ま
た、ラヴェル版とひと味ちがうと感じさせるところが多く、成功していると思う。たとえば、「雛の踊り」では、幻想的でユーモラス
な雰囲気を出しているし、
ヴァイオリンなどの使い方、打楽器や低音楽器の使い方がうまく、アシュケナージ自身のピアノと共通のめりはりのきいた仕上がりと
合わせ、印象的である。 アシュケナージ(1937-)はモスクワ音 楽院 出身の現代を 代表するピアニスト。このCDでは、ピアノ版 とあわせ、自ら編曲した管弦楽曲版を自ら指揮。 London/ポリドール
POCL-2371
Classics for Heavy Metal Kids Vol.4
と称するオムニバス。演奏は、アシュケナージ編&指揮のもの(左のカラム)であった。
|
噂のジュリアン・ユー版のCDがついにリリースされた。冒
頭の プロム ナードから、個
々の楽器によるメロディラインのリレーや中国風のメロディが入り驚かされる。このほかにも輪唱のような効果や音の重ね方に工夫が
あり、全体に遊びの要素が
たっぷり。雛の踊りは特筆できる面白さ。サミュエルでは、サミュエル役をティンパニが務めるし、テュイルリーはメロディ楽器がめ
まぐるしく変わるし、 死者の言葉で、では音階をずら したようなメロ
ディ。いずれも思いがけないところから目を見張るような速球が飛んでくる感じでびっくりする。全体にコラージュ的で、電子音楽的
な感じもしてしまうが、個
々の楽器がどのように演奏されているのかを思い浮かべると、ちょっと面白い。キエフの出だしのジャーン、ジャーンというところが
ベートーヴェン風に聞こえ るのは岩城さんのウィットだろうか。 岩城宏之さん、2006年6月13日、亡くなる。ベートーヴェンの交響曲を一日で全部演奏し てし まう”振るマラソン”の様 子が追悼番組で取り上げられていた。「自分のためにやっている。面白いからやっている。すごいなぁ。一日で全部やれるんだ。 わくわくするなぁって思ってい るんですよ」と言われていた。さまざまな病気と戦いながらの音楽の旅。この「展覧会の絵」を録音したのも、楽しい曲だったか らだろうか。合掌。 |
全体を通して、メロディを奏でるのは多くの場合、ごく数本
の楽 器。それ
らがリレーするようにメロディや和音を受け継いでいく。しかも、その受け継ぎ部分は、少しずつ重なるように演奏されることがあっ
て、まるで、墨跡が重なり
合うことで絵に陰影を付ける水墨画を思わせるし、ある楽器の音が自然に次の楽器へと変容するようにも聞こえて面白い。ロシア風で
あることを必須事項とせ
ず、自由に曲想を広げているのがこのユー編の魅力だ。やや律儀でコラージュ的であった岩城版と比べ、この盤ではすべての楽器の音
が渾然一体となっていて、 その魅力 をより明確に伝えてくれる。おすすめできる。 ジュリアン・ユー(1957-)は北京生ま れの 作曲家。 1980-82年、東京音楽大学で学ぶ。1985年からオーストラリアに移住して音楽活動を行っている。 ジェフリー・クレリンはブリスベーン生まれ。メルボルンSOのオーボエ奏者であり(1977-)、オーストラリア・プ ロ・ア ルト室内楽団の創始者で芸術監 督(1990-2006)。同楽団は1990年にメルボルンで創立。このCDでは、全曲をユーによる編曲で固めており、コロ ラチューラ協奏曲とかっこうで は、クレリンがオーボエのソロをとる。 |
見事な構成。映画音楽のように編曲されていて、娯楽性がたっぷりである。時々、入るチューブ
ラーベルの音やティンパニによる通奏、弦楽器の使い方など憎いばかりである。雛の踊りも音程を下げて演奏されるが、このアイ
デアはかなりいい。つづくビドロは、鉄工所のテーマとでも思えそうなアレンジ。原曲から自由に創造して新しい音楽を作ってい
る。シンセサイザー的な音の使い方もあって、きわめて現代的である。面白い。おすすめできる。 ピーター・ブレイナーは、指揮者、作編曲家、ピアニスト。すで に180枚以上ものCDやレコードをリリースしている。映画やTV番組の音楽も製作しており、ビートルズやエルヴィ ス・プレスリー、クリスマスキャロル等をバロッ ク風にアレンジしたシリーズは人気が高い。 |
(time 24'05) | (time 30'29) | (time 34'43) | (time 38'08) | (time 36'08) | (time 29'55) | (time 33'35) | (time 33'18) | (time 33'16) | (time 34'00) | (time 34'05) |
(time 31'40) | (time 31'58) | (time 40'32) |
併録:スケルツォ変ロ長 調、古 典様式による交響的間奏曲、祝 典行進曲(いずれもムソルグスキー) | 併録:トッカータとフー
ガ(バッ ハ)、葬送行進曲(ショパン)、スペイン舞曲(グラナドス)、葬送行進曲(グリーグ)など |
併録:アシュケナージに よる曲解 説、展覧会の絵(原典版) | 併録:はげ山の一夜( ムソルグスキー)、死の歌とおどり(ムソルグス
キー、カレヴィ・アホ編曲) |
併録:交響 曲8番(ドボルザーク) | 併録:交響曲6番「悲 愴」(チャ イコフスキー) | 併録:古典交響曲(プロコフィエフ) | 併録:交響曲第4番イタリア(メンデルスゾーン) | 併録:ホヴァンシチナ前奏曲、はげ山の一夜(ムソルグス キー) | 併録:チェロ協奏曲第1 番(マル チヌ) | 併録:展覧会の絵(原曲) |
併録:古典交響曲(プロ コフィエ フ | 併録:オーボエと弦楽オ ケのため のコロラチューラ協奏曲(グリエール)、かっこう(グリンカ)、四季から抜粋2曲(チャイコフスキー) | 併録:死の 歌と踊り、子供部屋(いずれもムソルグスキー/ブレイナー編) |
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