© 2001-2024, Kyu-hachi TABATA updated on  2011/10/28

休八写真館35mm判カメラ室

栗林写真機製作所 Petri Color 35D



栗林写真機製作所 ペトリカラー35 / Petri Color 35 ペ トリの技術の結晶。一点に凝集したようなき らめき。

35D はペトリカラー35(1968年)のマイナーチェンジモデルである。シャッター速度が max 1/250 から 1/300 に引き上げられているが、外見上はほとんど差がない。ロゴも同じであるために、ペトリカラー35として売られていることもある。

CdS 露出計が組み込まれていて、ファインダーに露出の +/- が指針で表示される。上面ふたつのダイヤルはシャッター速度と絞りなので、このふたつを回して、露出を適 正にする。この露出計はシャッターを巻き上げた状態でオンになり、シャッターを切った瞬間にオフになる。また、露 出窓はレンズのすぐ上にあり、キャップを閉め ると露出窓も隠れる。このため、うっかりキャップを付けたまま撮ろうとしても、露出計が動かないことで気づく。よ く考えて作られていると思う。

レンズは沈胴収納されていて、ファインダーすぐ横の黒いダイヤルを回すとせり出してくる。あるところまで出してくると、そのまま距離合わせ ダイヤルになっていて、ファインダーの中の距離表示が動き始める。距離は目測だが、40mm の F2.8なので、それほど困らない。沈胴時は、シャッターがロックされていること、レンズを近接付近までせり出させるとフィルム感度(ASA/DIN)を 設定できるようになっている。本当によく考えて作られている。

フィルムの巻き上げはレバー式。ほぼ同じ大きさのオリンパス Trip 35 がダイヤル巻き上げであるから、これもスゴイと思う。しかも、フォクトレンダーの Vitomatic のように金属板をうまく曲げて作っているので、通常はほとんどボディに収納されている。その上、レバーが引き込まれている部分にできる細いすきまには、内 側か らカバーが入るようになっ ていて、埃などの侵入を防いでいる。操作性も抜群で、ほとんど右手だけで作業ができる。左手は仕事がないのだけれど、きちんとホールドすることに徹するこ とができて、右手が自由に操作できるのを確保していると思う。

40mm F2.8 というレンズもなかなか面白い。標準なのだが、広角の要素があるし、50mmよりも人間の視野に近い画角のようにも思う。オリンパス Trip 35 (40mm F2.8)、Rollei 35 (Xenar 40mm F3.5)、Leitz-Minolta CL (Summicron C 40mm F2)など、話題を集めた小型カメラでは、40mm 装着が案外多い。レンズ設計も無理がないのかもしれない。

私にとっては オリンパス XA 以来のちょっと楽しいコンパクトカメラである。

追記1: 1970年には、35E が発売されたが、連動距離計が組み込まれ、露出もオートになった。しかし、マニュアルカメラでなくなったことと、デザイン的な後退があって、その魅力は大きく失われた。

追記2: Petri Color 35Dは、正面から見て右上、ファインダー窓の横の黒いプレート部に "D" の陰刻がある。私の所有カメラでは、目立たないが、この陰刻部が朱色に塗られているモデルもあるようだ。なお、Petri Color 35 にはブラックモデルがあるが、35D にブラックモデルがあったかどうかは不明。

追記3: 最初、露出がアンダー気味だったのだが、だんだんと適正になってきた。ドンぴしゃの露出で簡単に撮れるようになった。

発売年
1969年6月   愛着度★★★★★
型 式
35mm フィルム
シャッター B、1/15、1/30、1/60、 1 /125、 1/300
レ ンズ
C.C.Petri 40 mm F2.8
測 光
CdS
ファ イ ンダー
距離目測、露出表示と距 離表示あり。
フィ ル ム交換
1.使用済みフィルム は、下面右のロックピンを押しながら(フィルムロックの解除)、上面左のクランクを使って巻き戻す。
2.背面をはずす時は、下面中央の折りたたみネジを起こして左に回す。使用済みフィルムを取り出す。
3.新しいフィ ルムをパトローネ室に入れ、フィルムのリーダー部を引き出し、フィルム押さえの下を通す。
4.リーダー部を右手のスプールに差込み、巻き付ける。右手上面の巻き上げレバーで巻き上げる。
5.フィルムカウンターは背面の開閉で自動復帰。順算式。
大きさ・重さ w102mm x h67mm x d60mm (レンズ沈胴すると d48mm) 404g
参考 web
タロン・ペトリのカメラ: http://www.asahi-net.or.jp/~rd2h-ari/TARON_PETRI_LIST.htm
CameraQuest / Petri color 35: http://www.cameraquest.com/petri35.htm

Petri Color 35D

お茶の水のニコライ堂。

C.C.Petri 40 mm F2.8 / RDPIII
Petri Color 35D

隅田川を上る卑弥呼号。永代橋の上から。

C.C.Petri 40 mm F2.8 / RDPIII
Petri Color 35D

小春日和の隅田川テラスで。朝顔がまだ咲いている
最近接撮影は80cmぐらいまでのようだ。

C.C.Petri 40 mm F2.8 / RDPIII
Petri Color 35D

雲が夕焼け空を切り分けて、中央大橋だけが幻想的に浮かび上がる。
いつもカメラを持ち歩いていることへのご褒美のような一瞬。

C.C.Petri 40 mm F2.8 / RDPIII

とびら へ 前へ  次へ
↑ トップへ