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休八写真館工作室

レフレックスレンズのAF化  (サムヤン ミラー 500mm f6.3)



Samyang Reflex 500mm数年前に Opteka mirror 500mm f6.3 というレフレックスレンズ(EFマウント対応)を入手し た。全長 11.5cm 重さ 696g と実にコンパクトかつ軽量である。絞り固定、マニュアルフォーカスのレンズである。

EOS Kiss X5 に付け、月を撮ったり、金環日食を撮るのに使った。Canon Reflex 500mm f8.0 (FDマウント)と比べて、明るいのが使いやすかった。

この Opteka mirror 500mm f6.3、実は韓国の三洋オプティクス (Samyang Optics)
製 で 、Kenko、Pro Optics、Vivitar、Optika などのブランド名でも販売されている。T マウントで設計されているので*1、Tアダプタ(Tリング)を付け 替えると、さまざまなメーカーのカメラ で使うことができる便利なレンズである。

*1 Tマウント(=T2 マウント)は、直径 42mm ピッチ 0.75mm フランジバック 55mm のスクリューマウント。フランジバックが長いため、アダプタを噛ませて、他のマウントに変換できる。Tアダプタは各社から、いろいろなマウント変換ができ るものが製品化されている。

EOS Kiss X5 / スーパームーン

2012年5月5日のスーパームーン。

EOS Kiss X5 + Samyang mirror 500mm F6.3 (*)
EOS Kiss X5 / 金環日食 東京
                  2012年5月21日

2012年5月21日の金環日食。隅田川テラスで撮影。

EOS Kiss X5 + Samyang mirror 500mm F6.3 (*)

* Canon の APS-C は焦点距離が 1.6倍伸びるので、35mm判で 800mm 相当になる。いずれもMFで、三脚使用の撮影。


■1.レフレックスレンズとは

一般 に、望遠レンズは焦点距離が長くなるほど(=望遠になるほど)、鏡筒も長くなる。光路が長くなるからだが、この光路を2枚の 鏡を使って反射させ、一往復するように折り返す設計にすれば、1/3ぐらいに鏡筒を短くでき る。これが、レフレックスレンズの光学設計であり、特徴は次のようにまとめられる。

長所
短所
1.コンパクトかつ軽量。
2.マクロ的な撮影もできる。
3.リングぼけもきれい。
4.安価。
1. 手持ち撮影が可能だが、超望遠なので手ぶれしや すい。
2.ピント合わせがシビア。暗いので合わせにくい。AFはない。
3.解像力がやや甘く、シャープネスが足りない時がある。

反射式望遠鏡と原理は同じだが、違いもある。

反射望遠鏡は対物レンズがなく、ニュートン式ならば、後端に主鏡、前端付近に斜鏡があるだけである。レンズがないので色収差が全くないというメ リットが あるが、中に埃が入りやすく、外気の影響も受けやすい。

対して、レフ レックスレンズはカセグレン式に対物レンズを組み合わせたもので、埃や外気はシャットアウトできるが、色収差が生じる。ま た、後端に主鏡があるのは同じだが、前端中央に副鏡があり、これによって、光は一往復して主鏡中央部を抜け、センサー面(フィルム面)に結像する 。

Samyang mirror lens

Web にはいろいろな情報がある。特に下記はオススメ。

いろいろな反射望遠鏡: https://global.canon/ja/technology/kids.....
Samyang Reflex 500mm: http://www.bobatkins.com/photography....
レフレックスレンズ大全-前編: https://camerafan.jp/cc.php?i=103
レフレックスレンズ大全-後編: https://camerafan.jp/cc.php?i=106


■2.Tアダプタの交換(EF マウントから K マウントへ)

レフレックスレンズは、長所だけを 見ればいいレンズである。だから、使いこなしたい。

短所1を克服するのに、Pentax K-5IIK-70 を使うことにした。これらには「ボディ内手ぶれ補正」があるからだ。無論、
三脚を使う、とい う選択枝もある。だが、やはり、手持ち 撮影にもこだわりたいのである。

私の持っているレンズは、EOS EF マウントなので、まず、レンズの後端部分を反時計回りに回 してTアダプタ(T-EF アダプタ)を外す。これで T マウントレンズになるので、これにケンコートキナーの 「Kマウント対応 T アダプタ(T-K アダプタ)」を付ける。これで、Kマウントになり、Pentax K シリーズのカメラが装着できるようになった。


Samyang Reflex + Adaptors


Tリングの塗装剥がし■3.T アダプタの改造(塗装剥がし)

続けて、Pentax F-AF アダプタ
*3を 装着した(上の写真)。短所2への対応である。だ が、そのままではF-AFアダプタは作動しない。シャッター半押しでも、F-AF アダプタが微動だにしないのである。

まるで、通電していないかのようだな、と思ったところで、「Borg レンズのAF化」の際に必要となる作業を思い出し た。T-K アダプタの後面(Kマウント面)の「塗装剥がし」である。

作業は簡単で、K マウントの電子接点があたるところ(右写真の▲から▲の範 囲)をサ ンドペーパーなどで研磨する
*4。 歯科用エンジン(工作用ルーター)などに研磨ビットを装着して研磨してもよい。研磨 面をきれいに仕上げ、研磨粉をブロアーなどで除去すれば、できあがりである。

装着してみる。F-AFアダプタが作動するようになった。ただし、うまく合焦しない。F6.3 では暗すぎるのか、レンズ解像度が低いからだろう。今一歩のところで作業が止まっている。

*3 Pentax がAF製品を発売し始めたとき、MFレンズも使えるように販売したコンバーター。MFレンズとボディの間に挟むことで、MFレンズをAFレンズとして使用 できる。Borg レンズの AF化もこのアダプタを使って行われている。

*4 剥がすことで電子接点は通電できるようになり、装着を認識するのだろうか。なお、剥がし方には進化があって、最初は全剥がしであったが、やがて、1点剥が し、2点剥がしも出てきた。露出精度が変るのだという。


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